ありさの「虐待日記」 小学館文庫495

 

著者:白石宏一 しらいしこういち

1951年東京都生まれ。

フリージャーナリスト。

 

P115

<虐待は私のうちの問題だから、構わないでくれ>と亜里沙さんは言いたいようだが、そうはいかない。木下弁護士によれば、そういうことになる。虐待されて育った子どもの反抗が親に向かわない場合には、社会に虐待を返そうとする可能性がある。

「だからこそ、虐待は個人の問題にとどまらない。社会に対する影響が非常に大きいんです。虐待されている子どもは親に棄てられているわけだから、社会に対して“育ててくれ”という権利がある。子どもは社会の財産だと考えれば、社会の財産を破壊しようとする虐待行為に対しては“いけない”“NO”という権利が、社会にはあるんです」

 

P152

「孫の孫の代になったら、虐待されない、愛される子どもが育っていくでしょうね。もちろん私たちは、そのときには生きていないでしょうから、おそらくその孫の子どもにも会えないでしょうけれど。でも、孫から繋がる子どもやその孫などの多くの人が、今、私たちが努力することで幸せな方向に行けるかもしれないんです。そう考えたら、虐待を防ぐ努力には取り組む価値が大いにあると思うんです。」