家族の闇をさぐる 小学館 1600円
著者:斎藤 学 さいとうさとる
1941年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。同大助手、フランス政府給費留学生、国立療養所久里浜病院精神科医長、東京都精神医学総合研究所副参事研究員等を経て1995年9月より家族機能研究所代表。日本子どもの虐待防止研究会理事。日本嗜癖行動学会理事長。学会誌「子どもの虐待とネグレクト」「アディクションと家族」編集主幹。著書に、「家族依存症」「『家族』という名の孤独」「アダルト・チルドレンと家族」「『家族』はこわい」「封印された叫び〜心的外傷と記憶」など多数。最近の訳書に「父・娘近親姦」がある。
連絡先:〒106-0045 東京都港区麻布十番2-14-6 イイダビル2F 家族機能研究所 TEL03-5476-6041 http://www.iff.or.jp
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家族とは婚姻によって生まれ、成長し、停滞し、やがて滅亡するという流転を経るものである。不滅のものではないから、ひとつ家屋にこびりついて過ごすことには無理があるし、ましてそこに次の世代を引き入れようなどという野心を持つべきではない。
老人は老人どうし集まるのがよい。時々なら寄ってくれる子や孫との再会を首を長くして待つくらいがちょうどよいのだが、核家族の中だけで老人になってしまうと、家族外の人と口をきくのさえ煩わしくなってしまう。
これからの子は保育園で保母、保父たちにケアされ、長幼様々な近所の子供たちに囲まれ、地域のオジさん、オバさんたちとふれあい、近隣の老人たちの買い物を手伝いながら大人になるような社会の中で育てたいものである。
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もちろんプライヴァシーは大切にされなければならない。しかし他者の存在を受け入れようとしない対人恐怖的な孤立主義の中でしか守れないプライヴァシーなどというものはない。他者の尊厳を顧慮する必要のない絶対君主には、保護すべきプライヴァシーもありはしない。他者も人と思い、その他者との交流を必須と考える平凡人だからこそ、交流のルールとしてのプライヴァシーが大切なものになる。
平凡人に過ぎないのに他者を木石と見なし、一方でその木石を鬼神のように怖れるとき、私たちは孤立する。親がそのようであるなら、子もそのようになる。