セクシャルアビューズ 朝日新聞社560円

 

著者:山口遼子 やまぐちりょうこ

1974年早稲田大学教育学部卒業。小・中学校教諭を経てフリーライター。

女性・夫婦問題、教育、育児がテーマ。共著に、「子育てはつらつ」など。

 

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 たとえば、アメリカやカナダなどでは、精神的に何か問題のある人は、必ず過去に虐待を受けているかどうかを調べる。町を歩いていても、ラジオなどからは虐待防止を促す放送がしょっちゅう流れる。日常的に、この問題を考える土壌が出来ている。

 「日本はアメリカと違って、そういう問題が少ないからって、よく言うでしょう?そうじゃないのです。表に出したがらないから、目につかないだけなの。それと親が子を犯すわけがないっていう、『親子神話』がまだまだ強いですから」

 昔、精神障害者を座敷牢に閉じ込めていたのと、大して変わらないのが日本の現状だ。

 「だから、こうした状況の中でいちばん必要なことは、被害者の悩みを解決するところ、つまりカウンセリング施設をもっとたくさんつくることでしょう」

 たとえば、施設に入ってもまた父に抱かれたいと出ていってしまう子は、おぞましさとスキンシップを求める気持ちに、自分が引き裂かれている。しかしわかっていても、そうしてしまう。こういう子はメンタルなケアをされなければ、いつまでたっても同じことをくりかえすはずだろう。今のシステムでは、親と離すことはできても、カウンセリングまではなかなかできない。

 「父親だってそうですよ。アメリカでは、子どもに性的虐待をした父親は、セラピーを受けることが法律で決まっているのです。罰だけ科したってだめ。虐待する側だって病んでいるわけですから、治療すれば治るものなのです」

 この点について前出の斎藤学先生にも聞いてみた。

 「医学は進歩している。必ず治るものです」とのお話だった。