白雪姫コンプレックス 金子書房1854

 

著者:佐藤紀子 さとうのりこ

成城精神分析オフィス主宰。

精神分析家(精神分析学、臨床心理学専攻)。

 

P247 あとがき

 第四章「電車の中で」のような出来事は、多くの方々も見聞きしている、かなり日常的な出来事です。「虐待」というと、とかく「特別な密室の中における目を覆いたくなるような暴行」といったイメージでとらえがちですが、このように“きわめて日常的な生活”の中にあるのだということを、この章で説明することを試みました。第五章「全身を覆われている者としてのシンデレラ」と第六章「子供セクハラの話」では、児童虐待のうちでも深刻の度合いの強い「性的児童虐待」=「子どもセクハラ」を事例をあげて論及しました。読者の方々がよくご存知のシンデレラの話に隠された秘密とは?数々の近親姦のケース、珍しい多重人格と子どもセクハラの関係など、論じてみました。

 旧版を出版してから既に十年。とくに「母性信仰」や「セク・ハラ」には鈍感であった日本では、いったいいつになったら児童虐待についての社会認知が一般化するのかと、きわめて心もとないイライラするような気持ちでいましたが、あっという間に世の中は変わっていき、今では、二十代の若い母親たちが「子育てに自信が持てない」「わが子を可愛いと思えない」「虐待しそうだ」と正直に訴えるようになりました。また、長い間の“沈黙を破って”子どもの頃の被害体験とその苦しみを自ら公表する人や、進んで自己再建に取り組む人も増えてきています。