児童福祉法

 

第1条〔児童福祉の理念〕

@ すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。

A すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

 

第2条〔児童育成の責任〕

 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

 

第4条〔児童〕

この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。

一 乳児 満一歳に満たない者

二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

 

第6条〔保護者〕

この法律で、保護者とは、親権を行う者、後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。

 

11条〔児童福祉司の設置及び職務〕

@ 都道府県は、児童相談所に児童福祉司を置かなければならない。

A 児童福祉司は、児童相談所長の命を受けて、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基いて必要な指導を行う等児童の福祉増進に努める。

B 児童福祉司は、政令の定めるところにより児童相談所長が定める担当区域により、前項の職務を行い、担当区域内の市町村長に協力を求めることができる。

 

11条の2〔任用資格〕

児童福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、左の各号の一に該当する者の中から、これを任用しなければならない。

一 厚生大臣の指定する児童福祉司又は児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業し、又は厚生大臣の指定する講習会の課程を修了した者

二 学校教育法(略)に基く大学又は旧大学令(略)に基く大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者

三 医師

四 社会福祉主事として、二年以上児童福祉事業に従事した者

五 前各号に準ずる者であつて、児童福祉司として必要な学識経験を有するもの

 

12条〔児童委員の設置、職務〕

@ 市町村の区域に児童委員を置く。

A 児童委員は、児童及び妊産婦につき、常にその生活及び環境の状態をつまびらかにし、その保護、保健その他福祉に関し、援助及び指導をするとともに、児童福祉司又は社会福祉事業法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)の社会福祉主事の行う職務に協力するものとする。

B 民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。

C 児童委員は、その職務に関し、都道府県知事の指揮監督を受ける。

 

13条〔市町村長・児童相談所長と児童福祉司・児童委員との関係〕

@ 市町村長は、第十一条第二項又は前条第二項に規定する事項に関し、児童福祉司又は児童委員に必要な状況の通報及び資料の提供を求めることができる外、児童福祉司に必要な援助を求め、児童委員に必要な指示をすることができる。

A 児童福祉司及び児童委員は、その担当区域内における児童又は妊産婦に関し、必要な事項につき、その担当区域を管轄する児童相談所長又は市町村長にその状況を通知し、併せて意見を述べなければならない。

B 児童委員が、児童相談所長に前項の通知をするときは、市町村長を経由するものとする。

C 児童相談所長は、その管轄区域内の児童委員に必要な調査を委嘱することができる。

 

15条〔児童相談所の設置〕

都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

 

15条の2〔業務〕

@ 児童相談所は、児童の福祉に関する事項について、主として左の業務を行うものとする。

一 児童に関する各般の問題につき、家庭その他からの相談に応ずること。

二 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。

三 児童及びその保護者につき、前号の調査又は判定に基づいて必要な指導を行なうこと。

四 児童の一時保護を行うこと。

A 児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項第一号から第三号までの業務を行うことができる。

 

16条の2〔所長・所員の資格〕

@ 児童相談所の所長及び所員は、事務吏員又は技術吏員とする。

A 所長は、左の各号の一に該当する者でなければならない。

一 医師であつて、精神保健に関して学識経験を有する者

二 学校教育法に基く大学又は旧大学令に基く大学において、心理学を専修する学科又はこれに相当する課程を修めて卒業した者

三 二年以上児童福祉司として勤務した者又は児童福祉司たる資格を得た後二年以上所員として勤務した者

四 前各号に準ずる者であつて、所長として必要な学識経験を有するもの

B 判定を掌る所員の中には、前項第一号に該当する者又はこれに準ずる資格を有する者及び同項第二号に該当する者又はこれに準ずる資格を有する者が、それぞれ一人以上含まれなければならない。

C 相談及び調査を掌る所員は、児童福祉司たる資格を有する者でなければならない。

 

17条〔一時保護施設の設置〕

児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。

 

18条の2〔福祉事務所の業務〕

@ 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として左の業務を行うものとする。

一 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。

二 児童及び妊産婦の福祉に関する事項について、相談に応じ、必要な調査を行い、及び個別的に又は集団的に、必要な指導を行うこと並びにこれらに附随する業務を行うこと。

A 児童相談所長は、その管轄区域内の福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)に必要な調査を委嘱することができる。

 

18条の3〔保健所の業務〕

保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。

一 児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。

二 児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。

三 身体に障害のある児童及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。

四 児童福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。

 

25条〔要保護児童発見者の通告義務〕

保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。但し、罪を犯した満十四歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

 

25条の2〔福祉事務所長のとるべき措置〕

福祉事務所長は、前条の規定による通告又は次条第一項第三号の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の一の措置を採らなければならない。

一 第二十七条の措置を要すると認める者並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を要すると認める者は、これを児童相談所に送致すること。

二 児童又はその保護者をその福祉事務所の精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。

三 第二十二条から第二十四条までの措置を要すると認める者は、これをそれぞれその措置を採るべき都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知すること。

 

26条〔児童相談所長のとるべき措置〕

@ 児童相談所長は、第二十五条の規定による通告を受けた児童、前条第一号又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十八条第一項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の一の措置を採らなければならない。

一 次条の措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。

二 児童又はその保護者を児童福祉司又は児童委員に指導させること。

三 前条第二号の措置が適当であると認める者は、これを福祉事務所に送致すること。

四 第二十二条から第二十四条までの措置を要すると認める者は、これをそれぞれその措置を採るべき都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知すること。

A 前項第一号の規定による報告書には、児童の住所、氏名、年齢、履歴、性行、健康状態その他児童の福祉増進に関し、参考となる事項を記載しなければならない。

 

27条〔都道府県のとるべき措置〕

@ 都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号の一の措置を採らなければならない。

一 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。

二 児童又はその保護者を児童福祉司、精神薄弱者福祉司、社会福祉主事又は児童委員に指導させること。

三 児童を里親(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう。以下同じ。)若しくは保護受託者(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童で学校教育法に定める義務教育を終了したものを自己の家庭に預り、又は自己のもとに通わせて、保護し、その性能に応じ、独立自活に必要な指導をすることを希望する者であつて、都道府県知事が適当と認めるものをいう。以下同じ。)に委託し、又は乳児院、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設若しくは教護院に入所させること。

四 家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること。

 

28条〔保護者の児童虐待等の場合の措置〕

@ 保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第二十七条第一項第三号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。

一 保護者が親権を行う者又は後見人であるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。

二 保護者が親権を行う者又は後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は後見人に引き渡すこと。ただし、その児童を親権を行う者又は後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。

A 前項の承認は、家事審判法の適用に関しては、これを同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。

 

29条〔調査・質問〕

都道府県知事は、前条の規定による措置をとるため、必要があると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する吏員をして、児童の住所若しくは居所又は児童の従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。

 

32条〔都道府県知事・市町村長の権限の委任〕

@ 都道府県知事は、第二十七条第一項又は第二項の措置をとる権限の全部又は一部を児童相談所長に委任することができる。

A 都道府県知事又は市町村長は、第二十一条の十第一項若しくは第二項又は第二十二条から第二十四条までの措置を採る権限の全部又は一部を、それぞれその管理する福祉事務所の長に委任することができる。

 

33条〔一時保護〕

@ 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。

A 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十七条第一項又は第二項の措置をとるに至るまで、児童相談所長をして、児童に一時保護を加えさせ、又は適当な者に、一時保護を加えることを委託させることができる。

 

33条の7〔親権喪失宣告の請求〕

児童の親権者が、その親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、民法第八百三十四条の規定による親権喪失の宣告の請求は、同条に定める者の外、児童相談所長も、これを行うことができる。

 

33条の8〔後見人選任の請求〕

児童相談所長は、親権を行う者及び後見人のない児童について、その福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に対し後見人の選任を請求しなければならない。

 

33条の9〔後見人解任の請求〕

児童の後見人に、不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、民法第八百四十五条の規定による後見人の解任の請求は、同条に定める者の外、児童相談所長も、これを行うことができる。

 

34条〔禁止行為〕

@ 何人も、左の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為

二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為

三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為

四 満十五歳に満たない児童に戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為

四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為

四の三 戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項第一号から第六号までに掲げる営業及び同条第四項の風俗関連営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為

五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

六 児童に淫行をさせる行為

七 前各号に掲げる行為をする虞のある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなす虞のある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされる虞があるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為

八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつ旋する行為

九 児童が四親等内の児童である場合及び児童に対する支配が正当な雇用関係に基くものであるか又は家庭裁判所、都道府県知事又は児童相談所長の承認を得たものである場合を除き、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

 

37条〔乳児院〕

@ 乳児院は、乳児を入院させて、これを養育することを目的とする施設とする。

A 前項の規定による養育は、必要があるときは、乳児が満二歳に達するまで、これを継続することができる。

 

38条〔母子寮〕

母子寮は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護することを目的とする施設とする。

 

47条〔児童福祉施設の長の親権代行〕

@ 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は後見人のないものに対し、親権を行う者又は後見人があるに至るまでの間、親権を行う。但し、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、命令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。

A 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができる。