02/12/03 第1回児童虐待の防止等に関する専門委員会議事録 社会保障審議会児童部会 第1回児童虐待の防止等に関する専門委員会 議事録 日時 平成14年12月3日(火) 10:00 〜12:42 場所 厚生労働省専用第17会議室 出席委員 柏女 霊峰 淑徳大学 社会学部 社会福祉学科 教授 津崎 哲郎 大阪市中央児童相談所長 松原 康雄 明治学院大学 社会学部 社会福祉学科 教授 青木 晋 東京家庭裁判所 判事 奥山 真紀子 国立成育医療センター こころの診療部長 加賀美 尤祥 日本社会事業大学 社会福祉学部 教授 影山 秀人 横浜みらい法律事務所 弁護士 川名 紀美 朝日新聞 論説委員 才村 純 日本子ども家庭総合研究所ソーシャルワーク研究担当部長 佐藤 拓代 大阪府健康福祉部 地域保健福祉室長 高橋 利一 法政大学 現代福祉学部 教授 田中 康雄 国立精神・神経センター精神保健研究所 児童・思春期精神保健部 児童期精神保健研究室長 西澤 哲 大阪大学大学院 人間科学研究科 助教授 柳田 喜美子 日本医師会 常任理事 山田 和子 国立保健医療科学院 公衆衛生看護部看護マネジメント室長 吉田 恒雄 駿河台大学 法学部 教授 次第 1.開会 2.委員紹介 3.あいさつ 4.議題 (1)委員長の選出 (2)委員会の公開 (3)委員自己紹介及び委員からの意見陳述 (5)意見交換 5.その他 ○司会 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第1回社会保障審議会児童部会児童虐待防止等に関する専門委員会を開催させていただきます。 申し遅れましたが、私は事務局を担当しております厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課虐待防止対策室の室長補佐の倉林と申します。どうぞ、よろしくお願いいた します。 本日は御多忙のところ、児童虐待防止等に関する専門委員会に御参集いただき、ありがとうございます。初めに委員に御就任いただきました皆様を御紹介させていただきま す。 お席の順番でなくて、本委員の方から御紹介させていただきたいと思います。 最初に淑徳大学教授の柏女先生。 次に、大阪市中央児童相談所 津崎先生。 それから明治学院大学教授 松原先生。 続きまして、専門委員の皆様方でございます。 東京家庭裁判所判事 青木先生。 国立成育医療センター診療部長の奥山先生。 日本社会事業大学教授 加賀美先生。 横浜みらい法律事務所 影山弁護士でございます。 朝日新聞論説委員 川名先生 日本子ども家庭総合研究所部長 才村先生。 大阪府健康福祉部地域保健福祉室長の佐藤先生です。 続きまして、法政大学教授 高橋先生です。 国立精神・神経センター保健室長の田中先生でございます。 大阪大学大学院の助教授 西澤先生でございます。 それから、日本医師会の常任理事の柳田先生でございます。 引き続きまして、国立保健医療科学院の山田先生です。 駿河台大学教授 吉田先生でございます。 以上の皆様方です。 また、オブザーバーといたしまして、警察庁、法務省、文部科学省、それから最高裁判所からも出席をしていただいております。 ここで、事務局を代表しまして、雇用均等・児童家庭局長の岩田からごあいさつ申し上げます。 ○岩田局長 皆様、おはようございます。児童虐待の防止等に関する専門委員会の第1回の会合の開催に当たりまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。 まずは、それぞれ大変 お忙しい委員の先生方に、今回、御就任を引き受けていただきまして、大変ありがたく思っておるところでございます。 児童虐待防止に関する法律が施行になりましたのが約2年前でございます。この法律はさまざまなインパクトを世の中に与えたと思います。まず、この問題について国民の 理解を広げるということで大変大きな影響があったと思います。また、職業として、この問題にさまざまな立場でかかわっている人たちのこの問題についての理解、取り組み を深めるという意味でも、大変大きなインパクトがあったと思っております。 雇用均等・児童家庭局は、最重点課題の1つとして、ここ数年、この児童虐待の問題に取り組んでいるところでございますが、私としては2つのことに留意をして取り組ん でいるつもりでございます。 1つは、児童虐待の問題に対応するためには、その予防から始まって、早期発見、早期対応、そして、場合によっては虐待する親から子どもさんを保護し、そして、子ども さんのケアをし、親に対してはカウンセリングをする。そしてまた、家族が再統合した後のアフターケアをするといった、一連の取組を行わない限りにおいては、この問題の 解決はあり得ないと思っております。 虐待防止法の施行を契機に、早期発見、早期対応は随分我々は経験を積んだのではないかと思いますが、それと比べると、予防とアフターケアについてはまだまだ我々は努 力をしないといけないと認識をいたしているところでございます。 もう一つ心掛けておりますのは、この問題に対応するためには、児童福祉の機関や施設だけでは不十分であり、関係機関の協力体制をどのように構築することができるかと いう点です。福祉は勿論ですけれども、医療や保健やそして教育や警察や裁判所や、こういうさまざまな機関、施設等の連携を中央レベル、都道府県レベル、市町村レベルで 整備をするということを進めてまいりました。既に国のレベルと都道府県レベルでは関係機関のネットワークは整備され、現在市町村レベルでその整備が進んでいるところで ございます。 直近の情報では、約七百の市町村でネットワークができたと聞いております。このネットワークは、ときどき会合して情報交換をするというだけのネットワークであっては ならないわけでございまして、個々具体的な事案の解決のための、行動型のネットワークであってほしいということで、連携のマニュアルをつくっていただたくなど努力をし て頂いているところでございます。 しかしながら、いまだ、虐待についての大きな改善が見られるには至っておりません。昨年度全国の児童相談所で扱いました児童虐待の件数は2万4,000 件に上っておりま すし、最悪のケースとしてお子様が亡くなるという非常に痛ましいことも、引き続き起こっている状況にあります。 こういうことを背景にいたしまして、今回、児童虐待の問題について専門家にお集まりいただき、御議論いただくことになったわけですけれども、その関係でもう一つだけ コメントしておきたいと思っておりますのは、児童虐待防止法に関する法律が制定されましたときに、その付則で、施行後3年をめどとして法律の施行状況を勘案し、検討し 、必要であれば見直しのための措置を講ずるという趣旨の規定がございまして、今、2年経ちましたので、これから1年の間に、各方面でこの問題についての見直しの議論が 高まるのではないかと思っているところでございます。 厚生労働省として、この問題にどのようにこれから対応すべきかということを考える上で、是非、御専門家の皆様方の御意見をちょうだいしたいということで、社会保障審 議会児童部会の下に、この専門委員会を設置させていただいたということでございます。医療の分野、保健、福祉、法律など、さまざまな分野から本当にすばらしい委員の先 生に御就任をお引き受けいただいたということで喜んでおります。これからの議論を楽しみにさせていただいております。どうぞ、よろしくお願いしたいと思います。 ○司会 引き続き、厚生労働省からの出席者を紹介させていただきます。ただいまごあいさつ申し上げました雇用均等・児童家庭局長の岩田でございます。同じく雇用均等・児童家 庭局の審議官の渡辺でございます。同じく、雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長の唐澤でございます。同じく虐待防止対策室長の古川でございます。以上で御紹介を終わらせ ていただきます。 それでは、この委員会を進めるにあたりまして、委員長を選考していただきたいと思います。社会保障審議会令第6条第3項に「部会に部会長を置き、当該部会に属する委 員の互選により選考する」と規定されておりまして、本専門委員会におきましても、この規定に準じまして、委員の皆様方において委員長の選出をお願いしたいと存じますの で、どなたか御推薦がございましたらお願いいたします。 ○才村委員 現場経験と行政経験が両方おありで、しかも虐待防止の政策的な研究にも地道に取り組んでおられる柏女委員に委員長をお務めいただいたらどうかと思うんですが、いかが なものでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○司会 ほかに御意見ございませんでしょうか。 それでは、本専門委員会の委員長を柏女委員にお願いいたしたいと思います。 ○柏女委員長 今、委員長の方に御指名をいただきました柏女でございます。 本当に論客の方が大勢お集まりの中で、若輩ものの私が対応できるのかはなはだ心もとない気持ちでいっぱいでございますけれども、是非自由かっ達な御意見をいただきま して、先ほど岩田局長さんが厚生労働省としてこの問題にどう取り組んでいくのか、そのスタンス、施策を固めるための御議論をいただきたいという役割をいただいておりま すので、是非、皆様方の御協力をいただきながら進めていきたいというふうに思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。 それでは、座らせていただきます。 私一人でこの座長の役ををやっていくのは非常に任が重いというふうに思いますし、またこの社会保障審議会の令第6条第5項というところに、「部会は審議委員のうちか ら部会長があらかじめ指名するものがその職務を代理する」という規定がございます。そこで、それに準じまして、この専門委員会でも私の方から委員長代理を指名させてい ただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 委員長の代理につきましては、同じく社会保障審議会の児童部会の委員であります松原委員にお願いをしたいというふうに思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思 います。 よろしくどうぞお願いいたします。 それでは、この1枚目のところに今日の議題が書いてございます。2番、3番、4番について、これから進めていくわけですけれども、まず委員会の公開をどうするかとい うところについて考えていきたいというふうに思います。それから、厚生労働省の方から行政説明をいただき、そして、先生方にお送りをした文書の中にもありましたけれど も、各委員の自己紹介を兼ねて、この行政説明を伺っていただいた上で、厚生労働省から私どもに依頼された児童虐待防止のための取り組み、今後どう改善していったらいい かということについて、それぞれの委員の方々は、御意見をお持ちだと思いますので、それを手短に御報告をいただいて、そして、最後に今後の議論の進め方について若干提 案をさせていただきたいと思います。12時半ぐらいまでめどに進めさせていただきたいと思いますので、よろしくどうぞお願いをいたします。 それでは、2番の議事の公開等について御説明をお願いをしたいというふうに思います。事務局の方、何か御意見がありましたら、お願いしたいと思います。 ○古川室長 議事の公開について申し上げます。社会保障審議会の運営規則5条に審議会の会議は公開とするという規定がございます。この考えに則りまして、会議は公開とすること、 会議の資料も公開とさせていただくということ、それから議事につきましては、委員の御発言を要約して、議事要旨として公開をさせていただくということ、その場合、発言 者名も合わせて掲載をさせていただくということ。議事要旨につきましては、各位に議事要旨案をお送りして、ごらんをいただき、御了解を得てから公表するということにさ せていただきたいと思っております。以上でございます。 ○柏女委員長 今、事務局の方から議事の公開についての御説明がありましたけれども、もしこのことについて御意見がありましたらお願いをしたいと思います。 よろしいでしょうか。この児童虐待の問題、非常に大きな社会的な関心を持っておりますので、できれば、ここでの議論を是非公開をしながら、皆様方も一般の方の御意見 をいただきながら進めていきたいと思いますので、原則公開という形にさせていただいてもよろしいでしょうか。それでは、よろしくどうぞお願いをいたします。 それでは、続きまして事務局の方から本日資料を御用意いただいておりますので、それについての御説明をお願いをしたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。 ○古川室長 では、A3の横表の資料を提出させていただいておりますので、それを説明申し上げたいと思います。座って失礼いたします。 まず、この表の構成でございますけれども、左から検討事項、現状、施策、指摘事項と書いてございます。項目といたしまして、まず行政が取り組んでおります施策あるい は法律の根拠などを右から2つ目の欄に整理をいたしました。そして、そうした施策に関連する事項として国会や関係者の方々などから指摘をされている事項について一番右 の欄にまとめてございます。 そうした関連事項をいわば小見出しという形で1つにくくるとすればということで、一番左の欄に私どもの方で1つの整理としてまとめさせていただいたということでござ います。この項目の整理の仕方以外にもいろいろな整理の仕方はあろうと思いますけれども、議論のきっかけということで、このような整理をさせていただきまして、そして 、その左から2番目にそうした項目についての、いわば現状のデータという形で整理をさせていただいたということでございます。 実際に整理をしてみまして、この虐待問題の課題の幅広さと深さを実感をしたわけでありまして、説明申し上げるのも、この検討項目とそれに対応した現状の部分だけ簡単 に申し述べさせていただきたいと思います。 まず一般の子育て支援という検討項目でございますけれども、ここにつきましては、出生数が約120 万、育児学級などにおいてさまざまな取り組み、地域保健における子育 て支援等々、さまざまな活動が行われているという現状にございます。 虐待の要因と申しますのはさまざまでありまして、例えば育児不安であったり、地域からの孤立であったりという指摘がございます。そうした意味からすれば、一般の子育 て支援策というものは虐待予防を、いわば下支えする基本的な取り組みということで極めて重要だと思われるわけでございまして、こうした一般子育て支援施策の中でどのよ うに虐待の意識を持った施策を講じることができるかということも一つの考え方だろうと思うわけでございます また、次にまいりまして、虐待ハイリスク家庭の把握ということでございます。児童虐待の発生は年3万5,000 件というような推計もございます。その虐待事案の周囲には それを取り巻くいわゆる虐待ハイリスク群というのが多数存在しているわけでございます。非常に観念的でありますけれども、虐待に至るまでにはいわゆるローリスクからハ イリスク、そして虐待に至ってしまうということだとすれば、このハイリスクの段階、つまり虐待の一歩手前でいかに把握して、施策を講じることができるかということが重 要だというわけでございます。 そういう意味でこのハイリスクの家族の把握というのは大きな課題でありまして、各自治体におきましても、2つ目の○に書いてございますけれども、地方自治体における 虐待ハイリスク把握・支援マニュアルの作成・導入の動き、それから母子保健事業におけます産後うつスクリーニングの導入など、さまざまな取り組みが始まりつつあるとい う状況にあります。 その一方で、保健機関は妊娠期以降さまざまな母子家庭サービスを通じて、家庭との接点を持ちやすいと言われているわけでありますけれども、そうでありながらも、虐待 死亡例を見てますと、転居、健診未受診、出産直後などの理由から保健機関においても把握できていない事例があるということでございまして、こうしたいわば狭間といいま すか、隙間をどのように埋めていくかということも問題と言えようかと思います。 また、出産直後といいますのは産後うつの好発時期ということでございますけれども、現実問題といたしまして、3、4か月健診までは接点がなかなかないということも1 つの事実としてあるわけでございまして、そうした時期への対応も重要だという指摘もされているということでございます。 1枚おめくりをいただきまして、そうした把握をしましたハイリスク家族のリスクをいかに低減するかということでございます。言うまでもなく、虐待を受けた児童は健全 な発達・発育が阻害されるばかりではなく、生涯にわたり深刻な影響があるということでございます。こうしたリスクを低減する取り組みというのが極めて重要だと思います 。 その一方で、2つ目の○の3つ目の項目でございますけれども、保健師が1年間ハイリスクと把握をした世帯に対しまして、1年間継続支援をした結果として、2割はリス クは低下した。しかし6割は現状維持で、虐待発生というのも2割、これは大阪におけます御研究の結果ということでございまして、これがすべて全国的な傾向ということで はありませんけれども、1つの地域での結果としてこのような事実が出ているというわけでございます。その意味で、保健師さんがフォローするという状況にあったとしても ハイリスクに至っていますとなかなかそのリスクを低下させるというのは、容易ではないという事実があるということでございます。 となれば、そのハイリスクに至る前の段階で、しかし一般子育て施策といいますと非常に先ほど申し上げたように、120 万人の出生ということで、対象者が広うございます ので、いわばその中間的なところで、潜在しているハイリスク群というのをいかにつかまえることができるかということも大きな論点としてあるのではないかと思うわけでご ざいます。 真ん中の表は保健所などにおけますさまざまな妊婦、乳児などに対する活動ということで、虐待に限ったものではございませんけれども、さまざまな取り組みがこのように 行われているということでございます。そして、それのみならず、医療機関などにおきましても、積極的なハイリスク支援というものが行われているところでございまして、 今日もお配りをいただいておりますけれども、日本医師会でおつくりいただきました児童虐待の早期発見と防止マニュアルの配布などを通じまして、積極的に支援をしていた だいているということでございます。また、看護協会におきましても、看護職のための指針など、また各病院につきましても、個別のさまざまな取り組みが行われてきている ということでございます。 続きまして、連携による支援体制の確保ということでございます。先ほどの局長のあいさつの中にも話がございましたけれども、虐待に関しましては地域でのネットワーク というのが極めて重要だという指摘がございます。14年6月現在市町村における虐待防止ネットワークが設置されているのが約700 、計画中を含めまして約1,000 ということ でございます。そして、それぞれ地域によってさまざまなメンバー構成があるわけでございます。一概に評価するということはできませんけれども、より幅広い多様な機関の 参加をお願いしたいと思っているわけでございまして、そのような働き掛けも必要と考えているわけでございます。 そして、先ほど申し上げたとおり、乳幼児と大変接点を持ちやすい保健機関ですら、接触が途絶えてしまうというケースがありますので、唯一もっぱら保健機関に頼るとい うことではなくて、多様な視点から多様な機会を通じて情報を把握するという取り組みが必要だろうという観点からも、ネットワークの重要性についてはいろいろな場面で指 摘をされているということでございます。 そして、次の虐待を認めない社会づくりという欄でございますけれども、依然として通告には躊躇があり、あるいは通告者が特定されはしないかなどさまざまなためらいが あると言われているわけでございます。そもそも虐待があってはならないという強い意識を社会全体が持つということがそもそもこの虐待問題の大前提であろうと思いますの で、表にありますように人権尊重の規定を明確化するというような指摘もありますけれども、さまざまな形で周知徹底を図っていくということも必要かと思われるわけでござ います。 続きまして、早期発見早期対応、いわゆる二次予防につきましてでございます。まず、対応機関の機能・システムということで項目立てをさせていただきまして、対策の中 心となっております児童相談所の体制につきまして、現状を記述させていただきました。設置箇所数や職員の方の数というのは現状ではこのような体制になっておりまして、 こうした中で日々取り組んでおられるというわけでございます。 ただ(2) でございますけれども、全相談件数を見ましても、虐待のみならず相談件数自体が増えているということもございますし、Bの虐待相談自体も急増しているというわ けでございます。そうした中では、今のままでは児童相談所の体制は限界であるという御指摘も非常に強く聞こえてくるわけでございまして、指摘事項の中でも児童相談所の 在り方、例えば設置を中核市でも可能にしたらどうかというようなさまざまな御意見があるというわけでございます。こうした児童相談所の在り方につきましても是非御議論 いただければと思っているところでございます。 それから(3) といたしまして、職員の資格研修などにつきましても指摘がございます。より専門的な資質の向上を図るべきだということでございまして、いかに効率よく、 皆さん忙しい中で自らを高めるという取り組みをしていただけるかその体制の整備ということにつきましても、御議論いただければと思います。 合わせて福祉事務所の体制ということも項目立てをさせていただきました。児童相談所のみならず、地域の福祉拠点として福祉事務所は極めて重要かつ貴重な財産と言える と思います。もちろん、郡部・都市部におきましては、その役割が微妙に違うということで一概には言えませんけれども、福祉事務所の家庭児童相談員をはじめ虐待に対応す る機能を有しているわけで、地域に応じた在り方というものを是非提示していただければと思っているということでございます。また、児童委員、主任児童委員につきまして も、地域の拠点として御活躍いただければと思っているわけでございまして、その更なる活用についてのヒントをいただければと思っております。 1枚おめくりをいただきまして、早期発見、通告、対応のシステムということでございます。一次から三次すべての分野につきましても、やはり連携が重要ということでご ざいまして、再掲ということでありますけれども、こうしたネットワークの重要性、さらにこれを発展させていくための工夫についてここでも御議論いただこうということで 、掲げさせていただいたということでございます。 それから、通告でございますけれども、児童相談所におけます相談の経路を見ても福祉事務所や学校などの関係機関からが多くございます。関係者などからの御指摘として も通告義務というものを教師や医師などに周知徹底をさせるべき、あるいは国民に対しても通報の必要性を理解してもらうべきだという話もございます。やはり自らの問題と して虐待問題に関わっていくんだという意識を持ってもらうということが必要かなと思っております。 3番目として、適格なリスクアセスメント手法、ケースマネージメント手法という事項を項目だてをさせていただきました。これも複数の自治体においていろいろな試みが 成されてきているという状況にあります。より確実な支援を効率よく実施するという意味におきましては、こうした手法の確立は必要であろうということで、提示をさせてい ただきました。 更には自治体とNPO、民間団体の連携というのもこれからは重要であろうということで、すでに私どもが把握している限りでは4自治体で児童相談所とNPO法人との協 定という試みをしているというところもあるようでございますけれども、更なる民間機関や個人との連携のやり方も1つの論点ではないかと思っております。 続きまして、児童相談所の行政権限、裁判所の関与ということでございます。安全確認、立ち入り調査、一時保護、それから親の意に反する施設入所措置等、児童相談所で は日々御苦労されているわけであります。一番右側の指摘事項にもありますが司法や警察の積極的関与、それから通告から安全確認までの期間の明確化、立ち入り権限の強化 、それから一時保護する場合にも期限を設定したり裁判所で事後的な審査をしてほしい。それから、申立者を例えば本人含めて拡大をして欲しいというような、御指摘なども なされているわけでございまして、当然こうした点についても御議論いただければと思っているということでございます。 1枚おめくりをいただきまして、保護、支援、ア フターケアのいわゆる第三次予防についてでございます。第三次につきましても、児童相談所の行政権限ということで、まず親に対するカウンセリング、それから指導を受け るという問題がございます。これに関連して知事の勧告につきましては、いまだに0件ということでございます。これはそもそもこの制度がうまく機能していないのか、ある いは何かほかの理由があるのかなど、制度があるにもかかわらず活用されていないことの背景を分析し、必要な検討を加えていただければと思っているわけでございます。 また、33条の6親権の喪失宣告の請求でございますけれども、これに関連いたしまして、親権の在り方についても、より柔軟な親権というものがあってもいいのではないか という御指摘も関係者の中からいただいているわけでありまして、そうした点についても御議論いただければと思っているわけでございます。 続いて児童福祉施設の機能、システムということでございますけれども、児童福祉施設は施設種別を問わず在所人数が増加傾向ということでございます。その一方で里親に ついて漸減傾向にあるということでございます。例えば、乳児院でありますと、平成13年度の充足率は85.5%、児童養護施設は90%ということになっております。施設で90% ということになりますと、ほぼ常に定員が充足されているということでございまして、確かに余裕のない状況であるというのはこの数字からも見て取れるというわけでござい ます。 一方で、登録里親の数も減っておりますし、里親への委託数も減っているという状況にあります。里親制度については本年度より見直しをしたわけでありますけれども、こ うした中で、施設サービスそのものの在り方をどうするのか、児童福祉施設の機能をどのように考えるのか。それから里親制度をどのように考え、この施設と里親の関係をど のようにするのかということも指摘がなされているということでございます。それから、先ほど予防の段階でも申し上げましたけれども、施設職員の資質向上、関係者の資質 向上は常に指摘されていることでございまして、こうした取り組みも必要だということでございます。例えば、児童自立支援施設長は毎年全体の3分の1が異動してしまうと いうことで、3年経つと単純に考えれば全員変わってしまうわけでございますし、日々の業務の中で施設職員の方もさまざまな御苦労の中で、疲労やストレスがたまっている という話も聞くわけでございます。こうした面にも目を向ける必要があろうかと思っております。 最後、6ページでございますけれども、児童相談所の相談処理件数のうち約8割が指導となっている。すなわち在宅での対応ということになっているというわけでございま して、その意味では在宅への取り組みをいかに強化していくかということも大きな課題であろうと思われます。一口に在宅対応と申しましても、これは容易ならざることでご ざいまして、特に一般的には当事者がなかなか対人接触を図ろうとしないという面があるということでございますので、さまざまな工夫が他の福祉分野以上に必要と思われる わけでございます。 それから、児童に対する治療・指導法の確立ということでございます。現在でもさまざまな機関でここに記述させていただきましたようにいろいろな取り組みが行われてい るわけであります。こうした取り組みは、被虐待児の自立に向けた取り組みの中では避けて通れない充実すべき分野であろうと思っておりますし、心の治療などについても充 実せよという御指摘もございます。そうした取り組みについても是非御議論いただければと思っているところでございます。 また、児童のみならず、先ほどそもそも在宅だということになればまず保護者に対する治療・指導というものも確立すべきだという御指摘もあるということでございます。 基本的に家族を再統合するのが望ましいということであれば、当然保護者に対する取り組みも必要になろうと思います。これまではどちらかといえば福祉を中心として取り組 んでいただいたということでございますけれども、やはりこれからは医療のより積極的な取り組みを是非お願いできればと思っているわけでございます。 先ほども申し上げましたとおり、医療においても虐待防止に向けたさまざまな取り組みをすでに試みていただいておりますけれども、一層の取り組みをお願いできればとい うことで、あえて項目立てをして記述させていただきました。以上でございます。 ○柏女委員長 ありがとうございました。こちらの関連資料についてはよろしいですか。 ○古川室長 資料は例えば虐待防止対策としてさまざまな事業を行っておりますけれども、それの根拠となる通知を添付させていただいております。何を根拠にこのような事業が行われ ているのかということがおわかりいただけるようにということで、ここに配布させていただいたということでございます。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、資料一つ一つは後ほどゆっくり、時間の関係もありますので、ごらんいただくということにいたしまして、今、A3の大きな紙で、児 童虐待防止について、主として保健福祉の視点から発生防止というの第一次予防から早期発見早期対応あるいは介入という第二次予防、更には子どもの保護とか保護者へのケ アという第三次予防という、こういう切り口で現状を分析をいただきました。この虐待防止対策の切り口については、いろんな切り口があるかと思いますけれども、今回は先 ほどの岩田局長の方からのお話のとおり、言ってみれば入口から出口までというところを総ざらいをしていただいたということで、とてもわかりやすい資料をいただきました 。 この中身の議論に今入ってしまいますと際限がなくなってしまいますので、それはそれぞれの委員の方々の御紹介をいただいた後にしたいと思いますが、何か、この資料で どうしても聞いておきたいということがありましたら、お願いしたいんですけれども。 よろしいでしょうか。 それでは、後ほどの議論でということにさせていただきまして、それでは、この議事に沿いまして、次に各委員の方々から自己紹介を兼ねて、できれば今のペーパーに絡め た形で、今後の児童虐待防止対策について議論すべきこと、あるいはそれについての御意見などをいただければというふうに思います。 なお、御発言に際しましては、児童虐待の問題というのは今申し上げましたように非常に幅広い問題を含んでおりますので、児童虐待を契機として児童福祉あるいは保健福 祉対策全体の組み直しとか、そういう議論になってしまいますと、結論が出なかったり議論が散漫になってしまったりいたしますので、あくまでも児童虐待防止に向けた取り 組みという視点から御発言をいただければ幸いと思っております。 時間の関係ございます。お1人の先生それぞれに論客の方ですので、御発言いただくとお1人1時間にも2時間にもなるわけですけれども、とてもその時間はございません ので、お1人5分以内ということで、申し訳ございませんが、そうさせていただければというふうに思います。 皮切りに私の方から自己紹介を兼ねて発言をさせていただきまして、ついで青木委員から順に御発言をいただければと思います。 私は児童相談所で10年間心理職の仕事をいたしまして、その後、現在の厚生労働省、厚生省の方に参りまして、スタッフ職として仕事をした後、現在、児童福祉を中心とし て淑徳大学で教えています。 研究領域としては子ども家庭福祉サービスの供給体制をどうして言ったらいいのかということを研究テーマにしておりまして、例えば児童相談所とか福祉事務所とか、地域 子育て支援センターとか、町村保健センターなどの職員のタイムスタディ、運営実態調査などをしながら、相談体制、サービス供給体制をどう組み直していったらいいのかな ということについて研究をさせていただいております。今回はからずもとりまとめの大役を担うことになりました。このとりまとめに当たって、私の考えを最初に申し上げて おきたいなというふうに思います。 制度、仕組みについてのとりまとめいうのは2つのとりまとめ方法があるかと思います。1つは、なくてもできると、制度の改正がなくても現場でできるではないかと、そ ういう姿勢で取り組むのか、あるいはあった方がより現場がやりやすいという姿勢で取り組むかによって、大きくとりまとめ方法というのは違ってまいります。私としては、 是非後者の姿勢を取っていきたいというふうに思っています。あった方が、現場が、あるいは取り組んでいる人たちが力づけられて取り組めるんだという、そういうまとめ方 をしてきたいというふうに思います。そういう姿勢を私たちがとっていくことが、現場で日々苦労されていらっしゃる方を勇気づけることになるのではないかと思います。 今日は関係省庁の方もオブザーバーとしてお見えいただいております。是非、皆さんの力を合わせて、より現場が勇気づけられるような、そんなとりまとめができればなと いうふうに思っております。よろしくどうぞ、お願いをしたいと思います。 なお、今、青木委員からと申し上げましたけれども、柳田委員が11時に他の審議会の方に御出席の予定ということでございますので、柳田委員の方に最初、お願いしたいと 思います。よろしくどうぞお願いいたします。 ○柳田委員 日本医師会常任理事の柳田でございます。 私も地元の宮崎県の方で、児童分科会専門委員や、また県の男女共同参画センター等にも長くかかわっておりまして、児童虐待の問題もDVの問題等も根底でつながってい るというふうに感じているところでございます。 この度、厚労省が自ら取り組みをしていただいたことを力強く思っているところでございます。今後ともよろしくお願いいたします。では、日本医師会から意見を述べさせ ていただきます。 皆様のお手元に『児童虐待の早期発見と防止マニュアル、医師のために』が配布してあると思います。その冊子の6ページをお開きいただきますと、国の「少子化への対応 を推進する国民会議」において、日本医師会の重点施策として地域における母子保健医療体制の充実及び地域における子育て支援と児童虐待への取り組みを掲げております。 平成13年度、14年度の日本医師会としての具体的取り組みの1つとして、本マニュアルを作成したところでございます。 児童虐待の防止のためには先程も説明がありましたように、予防が重要でございまして、そのためにはやはりハイリスク群への社会的支援が必要でございます。特に、医師 として何ができるのかということを考えたときに、早く虐待を受けている子どもに気付く。すなわち早期発見に努めて、虐待による重症化を防ぐことが重要であるということ で、このマニュアルを作成したわけでございます。会員の先生方に「虐待」ということを念頭において、日常診療に当たっていただきたいということで、日医雑誌の付録とし て作成し、16万会員に既に、配布いたしております。会員外の方々に対しましては、明石書店より市販をいたしております。 内容は平成11年度に児童相談所に通告のありました子どもの虐待件数1万1,631 件のうち、医療機関から通告がありました573 件につき、各児童相談所にアンケートをお願 いし、また更に児童相談所に通告をした各医療機関に対しまして、その症例のケースレポートをお願いして、詳細な御報告をいただき症例集としてまとめたものでございます 。 この調査からわかりましたことは、医療機関から通告のあった児童虐待においては、虐待を受けている子どもは1歳未満の子どもが多く特に6か月未満の乳児が多いという ことでございます。育児に手の掛かるこの時期の家庭や母親に対し、保健師等による育児支援のための早期家庭訪問の実施等、何らかのサポートがあれば、こういった子ども の虐待は防げるのではないかというふうに考えております。 医師向けに作成したものではございますが、看護師さんを初めとした医療関係者及び児童相談所の職員の方々にも参考にしていただければ幸いでございます。 以上、意見を述べさせていただきました。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、青木委員からよろしくお願いいたします。 ○青木委員 東京家庭裁判所の裁判官の青木と申します。現在、東京家庭裁判所で家事事件を担当しております。裁判官に任官して16年目になります。 家庭裁判所の手続におきまして、児童虐待が問題になる典型的な事件類型と申しますと、皆様御承知のとおり、いわゆる児童福祉法28条事件、それから親権喪失宣告事件で ございますが、特に児童福祉法28条事件につきましては申立て件数が最近急増しておりまして、私自身もこれらの深刻な事件を実際に何件か担当しております。 また、現在、家庭裁判所調査官研修所で児童虐待が問題となった事例につきまして、家庭裁判所調査官に加えまして、教育関係者、関係機関職員、それから医師等の方々を 含めた共同研究が行われております。私も裁判官の研究員としてこれに加わっております。 今回、裁判官として、この委員会のメンバーに加わるということは、児童虐待の問題に関しまして裁判所を代表して意見を述べさせていただくということになるわけでござ いまして、いささか荷が重いわけですけれども、裁判所の実務の立場から率直に意見を述べさせていただきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。 児童虐待の問題につきましては、先ほどの説明にもございましたように、予防、早期発見・早期対応が極めて重要であるということでありますから、この委員会におきまし ても、対応の現状を踏まえまして、運用面、制度面に及ぶ幅広い議論がされることになろうかと思います。 家庭裁判所としましても、具体的事件におきまして適正かつ迅速に対応する、そういった取り組みを進めることにとどまらず、関係機関との連携を含めまして、この児童虐 待の問題を含む事件への関与の在り方を検討することが大きな課題となっております。 こうした議論を進めるに当たりまして、本日最初に述べておきたいことが1つあります。それは、児童虐待問題に関係するそれぞれの機関の特質や、その果たすべき役割に ついて相互理解を深める必要があるのではないか。正しい理解を、踏まえて議論する必要があるのではないか。こういうことでございます。 本年度、東京家庭裁判所と家事関係機関との連絡協議会というのがございましたが、そこでは児童虐待に関する問題が協議事項として取り上げられました。そのような場で しばしば裁判所の司法機関としての性格が十分理解されていないのではないかという声が出されております。 すなわち、私の理解するところによりますと、わが国の児童福祉法制におきましては、児童相談所を初めとする行政機関にその専門性や迅速な対応の必要性に鑑み一時保護 などの広範な裁量と権限を付与する、一方、司法機関としての家庭裁判所は中立的な判断機関として、申立ての当否を客観的な立場から審査するということをその職責をして いると考えられます。 例えば、児童福祉法28条事件におきましては、児童相談所からの申し立てを受けまして、児童相談所が児童を施設に入所する措置をとることの許否を、これを同意しない保 護者との関係におきまして、中立的な立場から判断する。そういう役割ということになります。そこでは、家庭裁判所の審判によって、親権ないし監護権を制限される立場に ある保護者の手続保障という観点が不可欠ということになりまして、客観的な証拠に基づく事実認定が必要ということになるわけです。 このような裁判所の司法機関としての基本的な性格につきましては、今後とも重ねて皆様方に御説明させていただく必要があろうかと思いますので、本日はこの程度にして おきますけれども、これからの議論におきましては、現在の制度がシステムとして機能しているのかどうか。仮に十分に機能していないとすれば、その原因がどこにあるのか 。それは制度そのものの問題であるのか。担い手の在り方の問題であるのか。あるいは運用上の工夫に限界があるのかどうか。そういった視点から多角的かつ実証的な議論が 必要であろうというふうに考えております。 長くなりましたが、以上でございます。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、奥山委員お願いします。 ○奥山委員 奥山でございます。よろしくお願いいたします。現在、今年の3月にオープンいたしました国立成育医療センターのこころの診療部というところに所属しておりますが、そ れ以前10年ちょっとでしょうか、埼玉の方で診療をしてまいりました。私自身もともと小児科医なんですけれども、子どもの心の問題というか精神的な問題を扱いたいと考え アメリカで勉強してまいりました。帰ってきてから子どもの精神的な問題を扱うということを主にやってまいりました。その帰ってきたのが1989年なんですけれども、その直 後ぐらいから、児童養護施設のお子さんたちの治療にかかわってまいりました。ですから、約10年ちょっと養護施設のお子さんたちの心の問題ということにかかわってきたん ですけれども、とてもとても山が大きすぎて、これは大変だということを非常に痛感しながら、少しずつ自分のやれる範囲ということでやってきました。しかし、治療だけや っていては子どもを救い切れないのではないかということで、かなり発見・予防・介入に関してもずっと、民間活動などを通して後押ししてきたつもりです。この間施策の方 もかなり変わってきたというふうに認識しております。しかし、この10年間ですごい勢いで相談数も増えているなど余りにも急速な展開の仕方にすべてが追い付いていない のが現状だろうと思います。 先ほど申しましたように、治療から始まって介入・予防という活動を続けてきたんですけれども、振り返りますと、結局私の足元であった医療とか、治療とかが一番置き去 りにされているのではないかというふうに気が付いて、もう少しここから先、医療の中で、しかも治療ということを中心に少し進めていきたいというふうに考えております。 先ほど申しましたように、急速な展開の中ですべてが追い付いていっていない。これは医療全体でも、医療の中での治療の分野でもそうです。特に先ほどアメリカへ行って 勉強してきたと申し上げましたが日本では児童精神科、小児精神科と言われるものが充実しておりません。そういう中で、対応していかなければならないという現状がありま す。一方、児童養護施設に行っておりまして、かなりの重症のお子さんに出会いながら、その重症のお子さんを、きちんとしたアセスメントから入院治療なり、インテンシブ な治療に結び付けていくとかなりよくなるケースがあるということはわかってまいりました。しかし、戻すと同じになってしまうという強いジレンマもあります。何らかのこ こに大きなシステムをつくる必要があるというふうに考えております。 その一番大きな理由としては、精神的な障害を持ってしまう大人の方たちを見ると、特に人格への影響が一番強いのは虐待の問題であるだろうと最近は言われるようになっ てきています。それほどの問題であるにもかかわらず、きちっとした対応をしてかないと、先がどうなるかということは論を待たない問題であると思われます。 では医療の中でどのようにやっていくかということになりますと、現在の段階ではまだ限界がある。その1つとして、そういう対応が必要だということに気付いている人は いるんですけれども、分散されているということが1つあるかと思います。やはり、結集して、先ほども申しましたように、少ない力ですから、ある程度結集してこの問題に 取り組んでいかなければいけないだろうというふうに思います。そういう意味で、現在の理想的な形の一つとしてはどこか頼れる、虐待に対してはこの医療機関であるという 頼れるセンターを各県1つつくっていく。そして、そこを中心として、在宅ケア、施設ケア、里親ケアを受けている子どもや親や代替親への対応をしていくということが必要 になってくるだろうと思います。 もう一つの方向性として、今まで児童精神医学の中で低年齢のお子さん関しての治療が弱かったんですけれども、虐待を扱う上ではやはり低年齢のお子さんに対しての対応 を強めていかなければならないだろうというふうに思っております。こういった問題に関して、医療のシステムをどうするかということを考えなければならないと思います。 また同時にもう一つ強調したい点は、医療だけ、福祉だけの対応ではなかなかうまくいかないということです。やはり福祉と医療が連携から更に一歩進んで合体しないとこう いう重症例はなかなかうまくいかないでしょう。生活を守る福祉と、治療をする医療が合体した形で対応していかないと、重症なお子さんたちに十分なケアとか治療とかが行 き渡らないのではないだろうかというふうに考えております。 これから議論の中で更にもう少し具体的にいろいろなものがイメージされ、つくられ、システムとして考えられていくことに少しでも寄与できたらというふうに考えており ます。よろしくお願いします。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは加賀美委員よろしくお願いいたします。 ○加賀美委員 加賀美でございます。私はここへは日本社会事業大学の教授という立場で参画をさせていただいておるわけでございますけれども、実は私はそもそもが児童養護施設に三十 何年という長いこと、現在もかかわりを持って仕事をしておるわけでございますが、そういう立場で、ここで言えば第三次予防にかかるところの領域の立場で御意見を言わせ ていただけるような機会を与えられたというふうに理解をしておるわけでございます。今、奥山先生から児童養護施設の子どもたちと医療の立場でかかわられたという視点か らお話がございました。 児童養護施設も私が今更申し上げるまでもなく、そもそもが戦争で親を失った子どもの施設として立ち上げられたわけですけれども、そうした理由で入所した子どもたちが 、何とか社会的自立をしていった後に入所してきた子どもたちの問題を振り返りますと、まさに家族の中での関係が壊れ始めていくというプロセスがあったわけで、そういう 子どもたちが入所して以来の児童養護施設の現状というのはがらっと変わりまして、まさに心に課題を持った子どもたち群の集まってくる場所ということになったわけでござ います。それはまさに今の子ども虐待の子どもたちが示しているさまざまな現象と全く同義であるというふうに理解をしております。 その子どもたちの問題、特に振り返りますと、40年代の児童養護施設に入所してきた低年齢の子どもたちの示した課題、それからその後50年代、60年代に入って入所してく るいわゆる非行を中心とした課題を持った子どもたち群、そういう子どもたちの状況をずっと振り返ってみますと、言ってみれば、特に入口である児童相談所の問題から、受 け皿である児童養護施設が戦争で親を失った子どもたちの施設として立ち上げられたというままで今日までずっと来てしまい、そこで、今日の問題が言ってみれば吹き出して いるという、そういう思いがしております。 というのは、特に先ほどの奥山先生のお話の中にありました養護施設等に入所してくる課題を持った子どもたちに対する治療効果があるということはあっても、それは本当 にごく一部のシステムでしかなく、社会全体の中にそういうシステムがないわけでございますから、そこいら辺りも含めて、特に児童相談所の実態も、児童養護施設等の児童 福祉施設の実態もそのままに置かれてきた状況の中で、そこについて思い切った手を打っていかなければならないんだろうというふうに考えております。 柏女先生の方から児童虐待防止というところに限ってというお話がございましたけれども、まさにそこの一番最後の砦になる部分である三次予防のところのシステムが本当 の意味で子育てのシステムとして機能し、そして、そこがセーフティネットとしてのベースが持ち上がっていかないと、日本全体の子どもの福祉が底上げをしていけないので はないかというふうに思っておるところでございます。そういう意味で、このような機会をお与えいただいて、そういう立場を過ごして来たものとして意見を述べさせていた だく機会を与えられましたこと、大変喜んでおります。 十分な私なりの意見を述べ、そして、これからの日本の子どもの福祉の問題に何らかの役割が果たせるかどうか大変不安ではございますけれども、努力をしてまいりたいと 思います。そういう意味で、児童養護施設の子どもたちの問題について、今後の課題、それから特に、ただ乱暴な言い方を申し上げますと、児童福祉法の第二条の子育ての社 会化の問題をもう一度システムとして見直すというところに思い切った取り組みをしていくというふうなことが今求められ、それが何よりの虐待防止につながっていく問題で はないかなというふうに理解をしておりますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、影山委員お願いします。 ○影山委員 弁護士の影山でございます。現在、全国各地で弁護士たちが児童相談所の嘱託であるとか、あるいは審議会の委員であるとかで、児童虐待とかかわるようになってきており ます。日本弁護士連合会においては、各地の弁護士の実践を情報収集したりしながら研究活動を進めておりますが、私もそのような弁護士の1人でございます。私の方からは 主に法的な観点からの論点を幾つか御指摘申し上げたいと思います。 現在の児童虐待防止法あるいは虐待をめぐる法体系全般が初期介入の方法等のみに偏っておりまして、予防とか援助・ケアについての骨格や指針を示すに至っていないとい うことをまず指摘しておきたいと思います。また、基本的には虐待への対応を行政にお任せにしているような状況でございまして、つまり、全責任を行政に負わせているとい うふうにも言えるかと思いますけれども、ところが、行政権限の範囲、つまりできることとできないことの限界というものが法律によって不明確なので、現場での使い勝手が 大変悪いシステムになっているというふうに考えております。 これを直すためには、もう少し司法の介入を認めて、同時に行政権限の範囲を明確化した方がよいのではないかというふうに考えております。具体的な論点を厚労省の方で おまとめいただいた今日のペーパーに基づきながら幾つか御指摘申し上げたいと思います。 まず、一次予防とまとめられている部分でございますけれども、子どもの人権尊重の理念というのを児童虐待防止法の1条に盛り込む必要があろうかと思っております。ま た、児童が虐待被害を第三者に伝えたり、被害を回避する技術を身に付けるための学習機会の提供というのは基本的に行政の責務というふうにいたしまして、義務教育の中で これをやれるようにすべきではないかと思います。 それから、二次予防の観点でおまとめになっている部分ですが、通報に係る刑事・民事の免責規定の更なる整備が必要かと思います。通報は虐待の恐れあることを知ったと きになされるというふうにするべきではないかと思います。 それから、性的虐待を受けた子どもについての司法手続き上の配慮でございますけれども、子どもへのインタビューは極力1、2回、それも訓練を受けた専門家が行って、 それを各司法手続きで使えるように、例えば刑事事件あるいは28条の審判あるいは親権喪失の審判等々でそれを使えるようにするシステムを考えるべきではないかと思います 。 それから、立ち入り調査権限ですけれども、事前もしくはやむをえないときは事後に、司法審査に掛かるようにすべきではないかと思います。その代わり、裁判所の許可が あれば、開錠もできるようにすべきではないかと考えます。 一時保護ですけれども、これも司法の事後的審査と期間制限の明確化をすべきではないかと思います。期間を延長する場合も司法審査に掛からしめるべきではないかと思い ます。ただし、同意や要請に基づく一時保護の場合はこのようなことは必要ないかと思いますが、この場合も期間を設け、期間延長の場合には再度の同意を求めるというシス テムが必要ではないかと思います。 28条の審判ですけれども、審判前の保全処分を認めるように法律で明記すべきではないかと思います。それから28条で分離をした場合、家庭裁判所はケア受講命令、もしく は親に対する治療プログラムを同時に審判において示すような制度を考えるべきではないかと思います。当然のことながら、その専門的な受け皿の設置も必要でありまして、 親のケアは児童相談所以外の機関で司法のチェックを受けながら進めるべきではないかと考えます。合わせて、親からの分離解除の申し立て制度があってよいのではないかと 考えます。 三次予防としてまとめていただいた部分について申し上げますと、柔軟な親権制度の創設は是非とも必要かと思います。親権の一部の一時停止、それと親からの解除の申し 立てというシステムが必要ではないかと思います。また、子どもからの親権喪失申し立て権を認めるべきではないかと考えます。 施設の小規模化と里親制度の拡充は現在大変緊急に必要なことではないかと思います。小規模の自立援助ホームの増設は是非できるような方向で制度設計をしていただきた いと考えます。施設・里親の処遇内容について、第三者機関による随時チェックができるようなシステムも必要ではないかと思います。子どもからも直接訴えることができる 第三者機関を設置すべきではないかと思います。 施設職員の労働条件の確保がきっちりできるように考えていく必要があります。特に夜間体制における職員の労働条件をしっかり確保できるようなことを守りながら、この 問題は進めていく必要があろうかと思います。 在宅支援強化と市町村の役割でございますけれども、これも大変重要かと思っています。また、児童及び保護者に対するケア、援助方法の確立整備も大変重要な課題かと思 います。それから、各機関の連携の必要性がございますけれども、合わせて、守秘義務をどういうふうに処理するのかについて、議論をしておく、あるいは法整備をしておく 必要があろうかと思います。 最後に親子再統合が不可能なケースも実は多いのではないかと思います。そのような場合の子どもの自立に対して、現在は何の保証もないというのが率直なところではない かと思いますけれども、行政はもっと責任を持ってよいのではないかと考えます。例えば食と住の提供、これは例えば18歳・19歳の児童福祉法の光が当てられていない年代の お子さんのケアをどうするかということとも密接に関連する問題でございいますが、是非重要な課題として御検討いただければと思います。 幾つか論点を指摘させていただきましたけれども、大変広範な課題がありますが、法的な課題に関しても是非十分な御議論をお願いできればと思います。以上でございます 。 ○柏女委員長 ありがとうございました。厚労省のペーパーに沿いながら、非常に具体的な論点について御指摘をいただきました。それでは川名委員お願いいたします。 ○川名委員 朝日新聞の論説委員をしております川名と申します。30年ぐらい新聞記者として働いています。この中では皆さんそれぞれ御専門の立場で参加しておられると思うんですが 、たった1人の素人かというふうに思っています。 私が子どもの虐待の取材を始めましたのは88年ぐらいからです。当時大阪本社に勤務しておりまして、そこにいらっしゃる津崎さんにもいろいろお力添えをいただいて取材 をしたんですが、88年ごろには厚生省にも一体年間虐待がどのぐらい発生しているかという統計の数字さえなく、また小児科の医師のところに取材に行っても、日本はアメリ カとは違うんですよ、日本には虐待なんていうものはありませんよというようなことを言われたような時代で、取り組んでいる方も本当に少ないような気がいたしました。そ れからすると、児童虐待防止法が成立したのは本当に感無量というか、わずか10年ぐらいで随分変わったものだというふうに思ったんです。 その88年ごろから取材を始めて、ある1人の医師に会ったんです。その方は熱心に取り組んでおられて、監察医もしておられましたので、変死をした人の遺体を調べるわけ ですね。その方にこれを見てくださいと言ってたくさんの遺体の写真を見せていただきました。本当にもう見るのがつらくなるような写真ばかりで、結局虐待というのは拷問 されて、その揚げ句に死んでいくことなんだなと。死ぬまでの期間に一体どのぐらいの苦しみがあるんだろうということが、その遺体から伝わってくるようなものです。その 数々の遺体の写真が今日まで断続的に虐待の問題を取材してきた大きな1つの理由です。もう忘れることができないんですね、その子どもたちの遺体は。 それからもう一つ、私は新聞記者として働いてきたんですが、1人子どもがおります。当時先輩の女性で子どもを持って働いている人は1人もなくて、まだ育児休業とかそ ういうこともなかったものですから、出産の3週間前まで働き、産後2か月で職場に復帰したのですが、とても6時ごろに保育所に迎えに行くというふうなことはできないわ けです。また御近所の方に二重保育で仕事が終わるまで見ていただくような生活だったんですけれども、毎日9時・10時になると、本当に申し訳ないという気持ちがいっぱい で、原稿を途中で、まだ書き上がらないけれども持って帰って家でやろうと思って大急ぎで帰るわけですね。それで続きを書かなければいけないものですから、子どもに早く 寝てほしいと思うわけですが、おんぶして、そういうときに限ってなかなか寝てくれないんです。子守歌を5曲ぐらい歌っても寝てくれない、背中の子どもは石のように重く 感じられますし、毎日睡眠も足りないというような状況になり、いらいらすることもありました。 そういう体験が自分にあったものですから、たまに報じられる虐待の事件がとても人ごととは思えなかったんです。週刊誌などでは大抵、「鬼の母」というような見出しが 付くんですが、特別な親に起こることではなくて、だれの上でも起こりうる。そう思ったことが取材を続けてきた2つ目の理由です。 具体的に児童虐待防止法をもっとよりよいものにしていくとか、それからもう本当に限界になっている児童相談所初め直接関係している機関の人手を手厚くしていくことは もとよりですが、周辺で圧倒的な孤独の中で子育てをしているお母さんたち、若い親たちをどのようにして支援し、また人と人とのつながりですね。お隣りで、自分の家のす ぐ隣で幼い子どもが餓死していてもわからない。あるいはお隣で女の子が10年以上監禁されていても気が付かない。このような社会であっていいのかというふうな思いがあり ますので、個別具体的な対策と同時に、困難なことではありますが、人と人とのつながりをどうやって取り戻していくかというようなことも合わせて考えていければというふ うに思います。以上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。素人とおっしゃいましたけれども、親の視点とか国民の視点はとても大切だと思いますので、是非積極的な御発言をお願いしたいと思います。あ りがとうございました。それでは、才村委員お願いいたします。 ○才村委員 日本子ども家庭総合研究所の才村と申します。よろしくお願いいたします。自己紹介を兼ねてということですので、私はもともと大阪府の児童相談所、今は子ども家庭セン ターと名前が変わっているんですけれども、児童相談所の児童福祉司を14年間しておりました。その後、大阪府庁で障害福祉行政の仕事をした後、当時の厚生省の児童家庭局 で児童福祉専門官をいたしまして、平成11年の4月から今の日本子ども家庭総合研究所の方で仕事をしております。 時間の関係で早速本題に入りたいと思うんですが、課題につきましては、各委員の先生方からいろいろと提起がございました。実に虐待防止制度はいろんな課題を抱えてい るんですが、今日はとりあえず児童相談所の問題に的を絞って申し上げたいと思います。 虐待防止法の影響等もございまして、児童相談所による立ち入り調査とか職権保護とか、28条申し立て、これは激増しております。例えば、立ち入り調査では平成9年度は 確か16件だったと思うんですが、平成13年度には194 件ということで、この4年で12倍以上の増加という状況になっております。これを見ましても、ときには親と対決してで もやはり子どもの安全・福祉、これを最優先しようとしている児童相談所の毅然たる対応が伺えるのではないかというふうに思います。 しかし、その陰で、児童相談所職員の苦労というのは並大抵のものではないと思います。もはや限界状況にあるのではないかといっても過言ではないと思います。私どもの 研究所では昨年度児童相談所の職員に関する2つの調査研究を行いました。1つは児童虐待対応に伴う保護者から児童相談所職員に対する加害・妨害等の状況の調査でありま す。 例えば殴られるとか、刃物で脅されるとか、メガネを割られるといった暴力事件とか、お前の家族がどうなっても知らんぞ、殺してやるといった脅迫・暴言、これが平成10 年度から13年度、この3年半の間に全国で352 件発生しております。特に平成13年度は上半期なんですが、この半年で平成12年度分1年を大きく上回っているということで、 まさに加速度的にこういう加害・妨害事件が増えているという実態が把握されました。 それともう一つの調査は児童福祉司のストレスに関する意識調査でございまして、児童相談所職員、とりわけ保護者への対応の矢面に立たされる児童福祉司のストレスも非 常に過大なものになっております。心身ともに極限状態とか、周囲すべてに怒りを感じることがあるといったふうに、メンタルヘルスに著しい影響を受けていると思われる回 答ですとか、中には実際に心身の不調をきたして医療を受けている人たちもいました。バーンアウトして気力が出ないとか、いつまでこの仕事を続けられるのかが不安である といった回答も見られました。この辺りを見ますと、児童相談所職員のストレスというのは限界にきているのではないかというふうに思われます。 そういった現状の中で厚生労働省の方もここ数年毎年のように地方交付税の積算基準を改定しまして、児童福祉司の増員に努めておられるわけでありますけれども、今の児 童相談所の現状を見ますと、やはり焼け石に水と言わざるを得ないのではないかと思います。職員の増員はむろん非常に結構なことではあろうかと思うんですが、まず児童相 談所1極集中といいますか、18未満のあらゆる相談を児童相談所は受けなくてはいけないという現状の児童相談体系をもう一度見直す必要があるのではないかというふうに思 います。 平成2年の福祉関係八法以来、高齢者や障害者の福祉サービスについては市町村に委譲されたわけですけれども、児童のみが基本的に都道府県事務として残されているわけ であります。これは利用者の便宜等を考えましても、少なくとも保護者自らが子どものために相談に来るケースというのは今後住民にとって身近な市町村で対応すべきではな いかというふうに思われます。 そこで、子どもの権利が侵害されていながら、保護者が行動を起こさないというか、相談に動かないとか、保護者自らが権利侵害を行っているケースは、これは公権力によ る介入が必要となるわけでありますので、より高度な専門性を持った都道府県で対応してはどうかというふうに考えております。ただ、具体的にどういったケースを市町村で 扱い、どういったケースを都道府県で扱うのか、非常に線引きは難しいわけですけれども、例えば児童福祉法の25条の通告対象ですね、つまり保護者に監護させることが不適 当と認める児童、これが1つのメルクマールになるのではないかというふうに考えます。 従来のほとんどの相談というものが市町村で対応されてくれば、当然市町村の力量が問われるわけでありますけれども、一旦市町村事務として位置付けた上で、サービスの 機動性とか柔軟性とか、24時間対応等を考えますと、民間機関に相談サービス業務というものを委託してもいいのではないかというふうに考えます。 例えば、児童福祉司と同等の専門性を持つ相談員をおいている、また心理職も配置されている児童家庭支援センターですね、こういったところも委託先として考えられます し、また児童養護施設などのノウハウ、人材を活用するといったことも考えられるのではないかというふうに思います。そうすることによって、児童相談所の業務は随分スリ ム化が図られるわけであります。スリム化した上で、児童相談所が虐待に適切に対応できる機関として機能するにはどういった体制が必要で、どの程度の人員が必要かという ことを検討すべきではないかというふうに思います。 むろん、業務がスリム化されたからといって、人員が大幅に削られて本来の使命を全うできないということであれば意味がないわけでありまして、やはり多忙のために今棚 上げになっている業務というものもあると思うんです。先ほどから出ています保護者へのケアとか施設へのサポート、また機関連携におけるケアマネージメント、こういった ものがほとんど現状では棚上げになっているわけですから、こういったものを棚から降ろした上で、どういった人員体制が必要かということを検討すべきではないかというふ うに考えております。 柏女委員長さんが行われた市町村職員等へのアンケート調査で、多くの市町村が虐待以外の相談業務については市町村において対応すべきである。一定条件が整えば市町村 で対応できるという答えも多く出されています。今、申し上げましたように、今の児童相談体系を一旦白紙に戻して、グランドデザインを描き直す、そういった時期に今来て いるのではないかというふうに思います。以上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは佐藤委員よろしくお願いいたします。 ○佐藤委員 大阪府健康福祉部地域保健福祉室の佐藤です。私は医師でして、10年間周産期医学をということで、小児科と産婦人科と新生児をやってきました。そのなかで社会的な背景 にいろいろと影響された分娩・子育てといったものを見てきたわけですけれども、保健所に転じましてからは保健師さんの児童虐待に関する取り組みを中間管理職として、あ るいは保健所の所長として見てきながら一緒に取り組んでまいりました。 私は皆さん方のお手元に配布されています平成13年度の厚生科学研究でつくりました子ども虐待予防のための保健師活動マニュアルというのを分担研究者として皆さん方の 力を借りながらつくらせていただきましたが、そのベースとなっているのは、大阪での医療と、それからあと保健のところで感じてきたことが中心となっています。 まず、大阪では63年に第1回目の保健・福祉・医療にかかる児童虐待の調査がなされたんですけれども、その中で保健が過去5年間で102 事例にかかわっていましたが、10 事例の死亡という状況でした。医療機関と、それから保健所だけが死亡の事例が報告されていまして、医療機関よりも保健所の死亡の事例が多かったわけです。この死亡の中 身はといいますと、ネグレクト、特にメディカルネグレクトが多くて、これではいけないということで、関係機関の連携が始まり、それから後は保健師さんに関するいろんな 研修が始まっていきました。 8年後には保健所に1年以上援助をしたということで、過去1年間の事例を聞いているんですけれども130 人の報告が上がってきまして、そこからの死亡は3人、2.3 %、 死亡を5分の1に減らすことができていて、しかもネグレクトによる死亡は0でした。今、こういうように死亡が把握できるような調査はしておりませんけれども、大阪では 平成13年度は500 事例ぐらい保健師さんが虐待に関する取り組みをしていまして、施設から在宅に帰るような子どもたちへの援助もしていっています。 大阪は保健師さんが全国的に見ると虐待によくかかわっているというように言われているんですけれども、これはやはり過去何回かの調査をしていて、そこから自分たちの 課題を把握し、それを現場にフィードバックしていって、次の活動に向けていった。一番中核となるのは、育児の問題をとらえるということ、背景にどんなことがあろうとも 、その目の前のいる親の子育てがどうなっているのかという育児困難に対応すること。それからあとは親を受容することといった、ごくあたりまえの基本的なことなんですけ れども、でも、これが中心だということが皆の頭の中に入っていたということで、かなり広がりを見せていくことができたんだろうと思っています。 ということで、母子保健からのアプローチとも言うことができると思うんですけれども、その母子保健からはハイリクスというものがいろいろと浮かび上がってくるという ことで、平成5年は養育問題に関する調査というものも行いまして、それがこの一次予防のところで取り上げられています1年以上援助して2割が虐待に移行し、6割が問題 がそのまま継続し、というようなデータにもなりました。母子保健からのアプローチだけでは子どもを救うこともできないというのもまた事実です。 そういうようなことも取り混ぜまして、マニュアルの中には親に寄り添うことを重要視する余りに、子どものリスクをとらえ切れていなかったというような反省点やら、あ るいは事例を抱え込み過ぎていて、関係機関の連携のタイミングがうまくいかなかった。そのときにはどうしたらいいのかとか、あるいは保健師さん特有の家庭訪問を拒否さ れたときにはどうしたらいいのかとか、そういうこと等も含めまして、この保健師活動のマニュアルをつくりました。 このマニュアルを6月につくって、全国に配布させてもらったわけなんですけども、配布するのと同時に、皆さん方の資料にもございますように、地域保健における児童虐 待防止対策の取り組みの推進についてということを厚生労働省の方から出してもらいました。全国的な取り組みになっていくんだなということを、私もこれですごく期待した わけなんですけれども、でも、各地からやはり聞こえてきますのは、マニュアルはできた、通知はあった、けれども、私たちが今市町村の保健センターで乳幼児健診とかいろ んなのに手が取られている。あるいは保健所にいたしましても、母子保健が業務分担性になっているところが多いわけですけれども、母子保健に割ける人員数が非常に減って きているという中で、では法に基づいた仕事でないものにどれぐらいの力を入れてやるんだというような声が聞こえてきました。 保健所、市町村保健センターは法律に例えば地域保健法とか母子保健法とか結核予防法とか精神保健福祉法とか、さまざまな法律に基づいて仕事をしていますので、やはり 通知を出していただいたのはありがたいんですけれども、法的な位置づけが欲しいという声が各地から私は聞いております。 という何らかの法的な位置付けがなされないものであろうかということが第1点と、それからあと広い意味でいいますと、今、私が思っていますのは、子育てが非常に二極 化しているように思われるということです。1つは子どもに何が起こっているかわかろうともしない、わかっていても全然それを解決することができないような子育てをされ ている方と、それからあとは不安が非常に高じてしまって、どんな些細なことでも不安で、虐待をしているのではないかと不安に思う方たち、この後者の方たちが調査による と2割弱出てきているというようにも言われてきています。 そこで、強い育児不安への対応ということは、すこやか親子21の4本目の柱の中でも挙げられたんですけれども、問題なのは子どもに何が起こっているかわかろうともし ていない、わかっていても子どもにとっていいことをしてあげることができないという、そういうような子育てだというように思っています。育児不安に関しましては、広く 地域にあるいろんな関係機関が連携して援助をしていって、裾野を広げていってくださったらいいんですけれども、前者の方のネグレクト、ほとんどネグレクトの子育てをし ている方たち、そういう人たちには専門的な目を持って、そこを把握して、そこに濃厚に子育てを援助していくようなことが今、非常に大事だと思っています。前者のネグレ クトに近い、何が起こっているかわからない親御さんたちというのは精神保健福祉の問題を抱えていることもありまして、私たちは母子保健からのアプローチでやってきまし たが、やはり精神保健福祉との連携をもっともっと強化しなければならないと思っています。 それから、また、二極化の子育てということ以外のことでいきますと、大阪でも死亡は阻止することができるようにはなってきましたが、まだ、産後うつか、あるいはノイ ローゼ、こういう一般的な名称で言ったら悪いのかもしれませんが、そういうことで乳児期早期に子どもを殺してしまう、そんな事件が目立ってきます。これは本当に先ほど の資料にもありましたように、母子保健サービスの中でも隙間に落ちている部分です。ここのところをもう少し強化していくには、周産期医療との連携をもっともっと強化し ていかなければならないだろうと思いますし、それからあとは子育てに対する不安というものが自ら訴えて出るような不安ばかりではなくて、育児の負担感とか、しんどさと か、あるいは何もできなくなるとか、そういったものも育児の問題で、ここにも援助が必要なのだというようなことを声を大きくして知らしめていかなければならないという ように思っています。 そういうことで、まとめて言いますと、母子保健からのアプローチをもう少し法でもってバックアップするような、その位置付けを明確にしていただくことが今必要である ということと、それからあとは保健の取り組みの中では精神保健福祉との連携、周産期医療との連携というのをもっともっとやっていかなければならないと、そういうように 今思っています。以上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、高橋委員お願いいたします。 ○高橋委員 高橋でございます。現在法政大学現代福祉学部で児童福祉論と福祉施設の経営他を担当しております。 本来、児童養護施設で長く仕事をしてまいりました。指導員・施設長に30数年従事し、その後、日本社会事業大学で10年近く教鞭をとって、今日に至っております。 私は、子ども時代から施設の子どもと一緒に生活をしてきました。現在も大学で教鞭をとるかたわら単身赴任で職員それから子どもたちをサポートする立場で施設に泊まり 込んでおります。見守る役というようなことでありますが、そんな中で見ている子どもたちにかわって、その背後の社会に対して代弁するということもあります。戦後の孤児 救済から、いわゆる崩壊家庭や養育拒否、養育不能などを理由とする措置児童の家庭の代替的な施設ということから、今日では家族の養育はあったとしても、それは虐待とい うようなことで子どもたちが被虐待児として施設へ措置されて来るということでソーシャルワーク・セラピー等治療的機能を備えた施設が求められ、機能的には既にかつての 家庭代替的な大規模児童養護施設はもう終わったというふうに私は思っております。 それから、サイズの問題も非常に問題になってきて、今、厚生労働省施策として小規模化を進めてくださっておりますけれども、まさに今、個別対応をしていく上では、小 規模にしていくことが必要でありますし、その小規模に対して支援をしていくセンター的な機関が構築されることが早急に必要であり、児童家庭センターや、里親教育につい てもそうであります。 こういうことも考えますと、現状に応じて将来を見据えた法改正によって現場を勇気づけるということで、それには最低規準の改正というのはどうしても必要なことである と思います。ある施設にいけば、その子は悪いことをした子供になりますし、知恵の遅れた子どもにもなりますし、親のない子どもになってしまうという、こういう施設が子 どもをつくることになる体系を何とかだれでもが利用できる施設の普遍化として、やはり再編成が必要なのではないだろうか。 構造改革以降、社会福祉全体の普遍化が唱われる中で取り残されていく児童養護施設というのは非常に見るに忍びない。子どもたちの権利擁護を前提とした児童福祉法や防 止法の改正に期待される。 今回のこの委員会では二次予防、三次予防辺りに関する、かかわりになるのではないかと思います。現在、私は東京の児童養護施設を束ねている児童部会の部会長もやって いるんですが、施設内で起こるいろいろな問題、新聞にテレビに報道されることはやはり家庭の代替的なそういう施設として経営や児童処遇が歴史的に続いてニーズの変化に 個別対応が適格になされていないなかで起こっている問題であろうと思います。 ですから、当然、スタッフの養成も重要でありますし、まず通告・相談に始まる入口でのアセスメントが重要で児童相談所における自立支援計画に対する適切な処遇方針が 欠落している現状からすれば体系そのものを変える必要があろうと思います。そして、生活する子どもたちがなかなか社会的に自立ができないで、分離不安を起こすと言うの も、もう一方背後に虐待の問題があります。それは養育困難等で入所して来た子どもを施設である程度時間が経過した中で評価してみれば、やはり虐待・被虐待の関係があっ て、それを解決できないために結局分離不安に陥るわけで、そうなると当事者中心のサービスということがどうしても必要になってくるわけで幼児から高齢児、多様な解決し なければならない問題への対応など、家族への支援、年齢の問題もありますし、サービスの質の問題もあります。したがって、ケアの連続性や家族の再統合など施設体系も治 療とソーシャルワークが両立する施設になっていかなければならないと考えるわけであります。 今、まさに児童相談所と施設は中長期計画を前提にした養育というよりも、日々の問題に翻弄しているという状態が一番当てはまる言葉ではないかと思います。司法的な介 入も当然必要でありますし、また、地域への支援として孤立していく家庭への支援というものも施設の機能としても必要でもあろうかと思います。この委員会でいろいろな議 論を期待しております。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは田中委員お願いいたします。 ○田中委員 現在、国立精神・神経センター、精神保健研究所におります田中といいます。どうぞよろしくお願いいたします。 私自身は約20年、19年精神科をやっておりまして、この7月に今の職場に来ました。それまではずっと北海道で精神科医療を行っておりました。10年ほど成人精神医療をや っていまして、その後10年ほど児童精神科医療をやっております。ここ10年ほどは児童の精神科を、入院・外来を含めた医療の中で携わってきておりました。 もう一つの立場としては、これも約10年ほど北海道の児童相談所の嘱託医として仕事をしてきたということ、それと、ここ5、6年ほどは地域ネットワーク活動ということ で、北海道の虐待防止協会というのもありますし、その地域支部の立ち上げや、取り組みなど、あるいは児童精神科ということで、軽度発達障害のある子どもとその親・関係 者をつなぐ懇話会活動をなどやってきておりました。 そういう中で、今回のこの防止に関する委員会の中で、先ほどの一次、二次、三次という予防についての、私がここまでやってきた中での若干の考えといいますと、まず1 つは地域ネットワークを立ち上げたり、かかわってきたものとしては、その一次予防というところに大きく関与するのではないかと思っておりますが、虐待あるいはマルトリ ートメントについては、現時点はやはりリスクファクターをどう消去していくかというよりも、どういうふうにそれを支えていくかという補償因子の方の増強を何とかできな いだろうかという視点をネットワーキングの中で考えておりました。 子どもに関してのアプローチとしては、早期療育の支援ということを考えておりましたし、外来等で親御さんと会いますと、マルトリートメントと言うほどではないんです が、育児にかなり追い詰められた状況の親御さんの話を伺うというようなこともあります。地域についてのアプローチなどは学校現場を中心に、何らかの予防教育的な強化が できないかというようなことで、幾つかの関連団体などの力も借りながら行ってきたということがあります。 二次予防については、児童相談所で10年ほど仕事をしておりまして、やはり児童相談所の内部はとても大変だなというのが率直な感想であります。仲間も随分多かったんで すが、本当に日々毎日の仕事の中に振り回されているというような状況です。医療として、防止プロジェクトチーム等々に関与してやってきた中で、児童相談所の早期介入の 機会に医療が役割をどうしたら果たせるかということをずっと考えております。数少ない経験なんですが、代理によるミュンヒハウゼン症候群というような場合には、精神科 医療の介入が極めて早期に必要な例ではないかなというようなことを感じておりまして、しかし、早期の介入には医療がジョイントする機会が少ないという中で、非常につら い思いをしております。 幾つかの児童相談所の中では既に児童相談所の併設というか、隣に合わせた形でクリニック機能を持っておりまして、宮城県あるいは仙台市などでかなり親支援なども含め て重大な活用をされているというふうに思いますので、こういった部分についてのシステムの変化などが必要になってくるのではないかということを考えておりました。 一番長く仕事をしている医療としての立場として、三次予防という治療介入なんですが、これについては奥山委員が先ほどおっしゃってくださったように、小児神経かある いは小児精神科、あるいは児童精神科医というものの住み分け、あるいは役割分担というのが私はどうしても必要になってくるのではないかというふうに思っております。 1つは子どもと親のライフサイクルに合わせて連続性のある治療モデルといいますか、生活モデルというものを構築しなければないらないのではないかというふうに考えて おります。医師会の先ほどの話でも、乳幼児期は非常に生命的な危険が高いということですので、ここはもう小児科医を中心とした医療チームが構築されていかなければなら ないだろうというふうに思いますし、学童期に関しては、やはり教育との関連というもの、教育保証との関連がないと大変ではないかなという部分です。 そして、児童精神科医の舞台としてやはり思春期・青年期ということが大きくクローズアップされてくるのではないか。いわゆる情緒行動面での問題、行為障害とか最近で は非行と言われるような状況、あるいは人格変容、解離性障害という問題や、その後の人格的な歪み、あるいはPTSDの問題などについては、思春期・青年期として児童青 年精神科医が関与しなければならない。乳幼児期、学童期に関しては、やはり生活モデルを十全に活用したモデルを考えていかなければなりませんし、思春期・青年期に関し ては、そういった意味でのソーシャルスキルトレーニングとかロールプレイなどを介した治療プログラムを個別に打ち上げていかなければなりませんし、自立支援を目指した 就労プログラムということも考えていかなければならないだろうと。そして、大人になっている方に関しても、精神科的なアプローチというのは当然必要になってきますので 、ここでの育ち直し、あるいはDVとの関連などに含めても、三次予防として治療的介入を考えていかなければならないのではないかというふうなことを考えております。以 上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、津崎委員お願いいたします。 ○津崎委員 大阪市の中央児童相談所の津崎といいます。よろしくお願いします。 私は児童相談所一筋で来ておりまして、既に30数年、現場で実務に従事してきたという立場です。 虐待に関しては、児童相談所は中心的な機関でありますから、非常に具体的な問題を実感しています。相談所という立場でその辺を提言しないといけないのではないかと思 っていますが、私だけが相談所の実務の立場ということで、もう少し複数の人がいてもよかったのではないかというような気がしています。 虐待問題にかかわっては、15年 ぐらい前から意識をして取り組んできたという経過はあります。そういう意味では15年の流れの中で見ると、この問題が相当社会問題として認識されて、対応についてもかな り前進をしたという評価をしているところです。 ただ、虐待防止法を、見ていただいたらわかりますが、防止法そのものができたということは1つの援助の骨格ができたということで評価をしていますが、一方で、要は児 童相談所につなげば、それで問題が解決をするという錯覚を生じさせるような法律になっておりますので、その辺に対しては腹立たしさととない混ぜになった感じを持ってい ます。 基本的には虐待は広範な領域の問題とかかわりますから、今回の法律の改正の中で、是非実現していただきたいのは、一極集中主義ではなくて、より幅広い子どもにかかわ る機関が、虐待という問題に対して、わが身の問題としてどういう対応ができるのかということを具体的に考えて、それを法律としてどういう形で実現可能なのかということ を真剣に考えていただかないといけないだろうと思っています。 今、児童相談所とか、受け皿となる施設は戦場のような状態で日々が混乱状態です。先般も児童相談所の集まりがありまして、いろいろ話をしていましても、時間内だけの 対応では済まなくなっていまして、24時間対応の必要が出てきている。そういう状況を踏まえて、各相談所も涙ぐましい努力をされています。24時間の通報体制を敷いて、そ れに対する対応体制を取るとか、今までは5時半に閉めていた窓口を午後9時まで延ばしたとか、あるいは土曜日に人を配置して、閉庁だったのを開庁に切り替えたとか、あ るいは夜間パトロール隊をつくって地域を巡回しているとか、本当にいろいろ努力をされています。 だから、単に件数が増えたということだけではなくて、24時間・365 日の対応をしないといけないとか、あるいは職権主義的な対応になっていますから、才村さんが先ほど 多少説明されましたけれども、摩擦の最前線として、トラブルも日常的に背負っているということです。更にはどんどんとケースが来ますから、次々に保護しないといけない んですが、一時保護所が満杯で入れない、施設も満杯で入れない、そういう状況があって、これを今どうするんだというふうなさし迫った問題に対して、対応できなくて、非 常に困った状態に陥っているということですから、余り悠長にいろいろ考えていただいていると非常によろしくないといいますか、この緊急事態に対して、どういうカバー体 制を取るのかということも含めて、本来は検討が要るのではないかというふうに思っているところです。 特に、児童相談所の実務で、強く感じているところを言いますと、1つは通告の受理機関が福祉事務所と相談所しかない点です。福祉事務所というのは虐待に対する援助の 体制が非常に弱いですから、ほとんどは要は児童相談所に来るわけです。ところが、24時間の通報受理体制を敷くと、どういう通報が入るかというと、夜中の12時・1時に、 親の怒鳴り声と子どもの泣き叫ぶ声が聞こえるから、すぐに出動してほしいというような、そういう電話が入るわけです。そういうことに対して緊急的に何らかの対応を取ら ないといけない。けれども、180 か所の、そして、今の職員体制の児童相談所でできるのかということになったときに、極めて不可能に近い。 そうなってきたときに、24時間のニードに対して通報を受理、そしてそれに対する対応ということを考えたときはどうすればいいんだということを考えると、やはり警察の 協力体制なり、場合によっては警察が通告の受理機関として機能して、そういう夜間、24時間も含めた安全確認なり、必要なケースの要保護通告なりを行うということをしない と、現状に合わないということが1つにはあろうかと思っています。 それから、先ほども触れましたが、一時保護所が今物理的に満杯状態で緊急ケースが保護できないという事態です。また多くの県レベルあるい政令市レベルでは一か所しか ないところも結構多い。そうすると、その保護所には単に被虐待児が入るのではなくていろんな子どもが入っています。非行の子も入ってます。そうすると、その雰囲気が非 常に悪いですから、虐待の子を保護したときに、非行の子にいじめられるというような、そういう事態が出て、安全な子どもの保護の場所にならないという状況もあるわけで す。そうすると、緊急保護の機能は一時保護所だけでいいのかとなってきたときに、もっと地域レベルでシェルター機能を果たせるような一時保護の在り方ということも是非 検討が必要だろうと思っています。 それから、今とにかく苦労していますのは、保護者が虐待の自覚あるいは自分が指導を受ける、あるいは改善しなければいけない、そういうニードがない部分に対して、ど う効果的な援助が果たせるのかという点です。欧米の場合は裁判所が主導的役割を果たして、カウンセリング命令とかを出されるわけですが、日本は先ほどお話がありました ように、そういう機能がないわけです。 そこで、ニードのないケースに行政だけで効果的な介入・指導・改善の役割が果たせるのかとなると、これは実際上不可能に近い。そうすると、その部分に対する裁判所の 役割が一挙に進まないのであれば、どういう次善策があるのかということも真剣に考えなければいけない。私はできれば保護者に対する代理人制度を何らかの形で具体化する ことによって、もう少し話し合いができる保護者代理の人と具体的な改善を目指した調整、そういうものが裁判所が積極的に関与するまでの間は必要ではないかなというのが 実務から非常に強く感じているところです。 それから、本来的には親を改善していくためには、親権の一時停止制度を設けないと難しいだろうというふうに思っています。一時停止制度を設けた上で、保護者の改善の 具体的効果に照らして、その一時停止を解くというふうな、一定の縛りと改善の努力を抱き合わせにした、そういうシステムが要るんだろうというふうに思っていますし、当 然、停止にしましたときには親権をだれが代行するのかという問題が出てきますから、これは一民間人が親権を代行するのではなくて、やはり公的機関として親権を代行する ような制度とリンクした制度というものをつくらないと、多分本当の解決にはならないんだろうというふうに思っています。 更には、施設が今、被虐待児のウェイトが相当高くなってきていまして、児童養護施設といいながら、中身は情短施設になってきています。情短施設の少なくとも職員配置 基準とか、設備などをそこに適用しないと、入っている子どものケアそのものが本来できないはずです。だから、そういう意味では施設の最低規準の話も出てきましたが、当 面、今、現状として出てきている施設の状況に対して、どういう手だてをとるべきなのかということは、もっといろいろな工夫が要るだろうというふうに思っています。それ から、相談所の職員体制もいろいろ増員に努力していただいているんですが、特に心理判定員とか他の職種に対する具体的な手だてがありませんので、心理判定員等に対する 手だてもやはり何らかの考慮がいるだろうと思っています。 それから、今回の虐待防止法で一番効果がありましたのは、要は特定職種を列挙して発見の努力義務があると規定された部分で、かなりの影響効果があったと考えています 。ただ、これは発見努力して通報したらそれで終わりです。そうではなくて、やはり援助に関しても特定の機関を名指しで、あなたたちの機関は援助に対して責任を負うんだ という形を法文上明確化しないと、自分たちが援助に関して責任を負っている自覚が高まりませんから、やはりネットワークを効果的にするためには援助に対しての義務付け を法文的に明確化することが最低限必要だろうというふうに思っているところです。 以上、少し時間が過ぎたかもわかりませんが、とりあえず思っているところを提起させていただきました。 ○柏女委員長 ありがとうございました。現場一筋の先生から、包括的に現場の思いを伝えていただきました。時間が大分迫っておりますので、手短にお願いできればというふうに思いま す。 それでは、西澤さんお願いいたします。 ○西澤委員 大阪大学の西澤でございます。よろしくお願いします。今、平均8分30秒かかっておりますので、私としては5分でおさめたいと思います。 今までの先生方の意見の中で論点はもうかなりたくさん出ていますので、その重複を避けるということで、私自身は臨床心理学を専門にしています。残念ながら、今、虐待 の領域では臨床心理というカウンセリングであるとかセラピストと言われますけれども、ほとんどごく少数の例外を除いては、関与していないという状況です。ただ、その人 たちに対する幻想とでも言えるようなものがありまして、例えば、この今回提示いただいた資料の中でも例えば指摘事項として、親に対するカウンセリングの開発であるとか 、あるいは再統合プログラムの開発であるとか、あるいは性虐待を受けた子どもの心理的なケアに関する技術の開発と、さらっと書かれていますけれども、この領域はまだま だ全然わが国では行われていない領域でございまして、いかに多くの力を結集してこの部分を確実につくっていくかというのがこれからの心理臨床に課せられた課題であろう というふうに思っています。 私は情緒障害児短期治療施設で20年ほど前に虐待を受けた子どもとかかわり始めて、今日では、児童養護施設で虐待を受けてきている子どもたちのケアという仕事をやって いまして、ですから、臨床心理と言いながらも福祉のケアというところにも身を置いています。ですから臨床心理の人間としましては異端児的なところがありますが、その中 で子どもたちが児童養護施設等に虐待を受けて入ってきているという現状を目の当たりにしております。 その中で、加賀美先生であるとか、あるいは高橋先生も言われましたけれども、小規模化の問題というのがあります。ある研究ではやはり小規模施設の子どもたちの方が、 大規模な施設の子どもたちよりも虐待による心理的な影響が少なく出てくるというような、あるいは、虐待というのはかなり精神的な後遺症をもたらしますけれども、その影 響を軽減する効果があるというようなデータが出てきてます。あるいは今、虐待がもたらす影響の中で非常に深刻なものとして考えられるのが、愛着障害という、人と人との つながりの問題です。 これは先ほど奥山先生の方からも議論が少しありましたけれども、愛着障害がその後の反社会的人格障害とか、そういった人格の歪み、特に昨今増加していると言われるか なり援助困難な人格障害との関連が指摘されております。そういった愛着障害を虐待が引き起こすとしたら、その子どもに対して個別的な愛着関係を提供していく枠組みにな らなければいけない訳です。残念ながらわが国では集団養育が基本であり、個別養育が保証されてないという状況にあります。このためいかに個別養育を保証していくか、あ るいは施設の小規模化を図っていくかということが、子どもたちのその後の人格形成にとって非常に重要な意味を持ってくるだろうと考えます。 そういうような観点から幾つか、ようやく遅ればせながら日本でも心理学的あるいは精神医学的なリサーチが細々ながら始められている中で、その成果をどれだけうまく吸 収して、議論に反映させていくかというのが私の一つの役割かなというふうに思っています。本当は、私は最近専門は何ですか言われて、心理学ですと言わなくなって、子ど もの虐待学ですと自分を言うようになっているんですが、先ほど川名委員の方からも言われたように、地域の問題というようなことがあって、虐待という現象は、もちろん個 別の対応が必要なんですが、より大きく文化の危機であるとか、精神文化の危機であるというような、そういふうな観点も必要かなと思っているんですが、ここまでいくと、 委員長の方から叱責されそうなので、これはまた後日に置いておきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○柏女委員長 どうも御協力をいただきありがとうございます。それでは、お待たせしました。山田委員お願いいたします。 ○山田委員 国立保健医療科学院の山田と申します。職種は保健師です。私は大阪府の保健所でずっと勤めておりまして、早い時期に虐待の子どもに出会って、そのことがきっかけにな って虐待に関心を持って、今研究をやらせていただいています。 平成11年に全国の保健所の調査をさせていただいたんですが、その中でかなり地域差はあったんですけれども、軽度のケースに多く対応しているということがわかりました 。その中でも、保健機関の特徴として低年齢、0から3歳という子どもたちが多いというようなこと、それからネグレクトで長期的に援助をしていく必要のあるケースという のが多いということ。それから、医療との連携、特に小児科とか産婦人科とかの連携をしていることが多いのが保健機関の特徴としてありました。 特に保健所は低年齢の子どもたちと接することが多いものですから、やはり生命の危険があるというようなすごく大変なケースも抱えているんだなということがみてとれま した。その一方、調査の中で予防的なかかわりをしていることもありました。虐待の疑いというレベルからかかわっているということもかなりありました。それから国立保健 医療科学院では公衆衛生関係者の教育を行っておりますので、その中で各地から研修に来られた方とお話をする中で、少し各地の状況も把握できていますので、その辺の立場 を踏まえて、発言できればというふうに思っております。 虐待の取り組みは今、全国的にどれぐらいかということなんですが、やはり都市部というのは出生数も多いですし、取り組みも都市部を中心に進んできていると思います。 ただ、やはり地域格差はかなりあるのではないかと思っております。また保健に求められているものはすごく幅広いものがあります。発生予防、早期発見、早期の対応、それ から在宅での支援ということもあります。その中で考えるには、特に保健分野だからこそ取り組めるものとして、ハイリスクへの支援、あるいはハイリスクの発見というよう なところではないかなと思っております。今は虐待への早期発見、それから早期の対応というようなことが中心になっておりますけれども、今後は特にハイリスクへの発見、 それから支援というようなところも重点に置いて、取り組めたらいいと思っております。 保健分野だからこそできること、例えば早期発見のためのスクリーニングをどうしていくのか。それをどういうふうに普及していくのか。というふうなことと、それから見 つかったハイリスクへの支援をどういうふうに展開していくのか、これはかなりきめこまやかに行われないと、そのリスクを下げるというようなことも難しいと思います。そ ういう意味では先ほど佐藤委員がおっしゃいました法的な位置付けをどうするのかということと共にマンパワーの問題もあるかと思います。 それから、一方、保健だからできるというところでは、スクリーニングということもありますけれども、相談とか、育児支援みたいなところを母子保健の中でどう位置付け ていくのか、そこを強化するということも重要と思います。 3つ目としては、いわゆる一次予防の中でも広く健全育成というようなところで関係機関との連携しての取り組みというのも、これも保健分野だからこそできるような取り 組みかなと思います。そうした健全育成向けたシステムをどう構築していくのも課題です。 一方、保健分野でも、最近、マニュアルができたんですけれども、虐待をどういうふうに発見していくのか、あるいは支援をどういうふうにしてやっていくのかという迷い が大きいというところもあります。その辺を相談できるような体制とか、あるいは困ったときに事例検討ができるような体制ができたらいいのかなと思います。 それから、虐待件数というのもかなり増加し、保健機関などでも集中的にかかわったりとか、夜遅く電話が個人的に掛かってきたりというようなこともありますので、そう いう中では組織内でどういうふうに対応してくのか、担当している人へのバックアップ、先ほどストレスという話もありましたけれども、組織内での体制をつくっていくとい うようなこともこれからあるのかなと思います。 それからもう一つは、先ほど精神科医療のお話がありましたけれども、うつとか、それから不安感が強いお母さんたちの精神科とつながった連携というものもありました。 今までは小児科とか産婦人科との連携というような話は出ていたと思うんですけれども、精神科との連携ということも、これからも大きな課題となっていくと思います。 それから、最後に保健所と市町村とどういう連携をしていくのか、多分児童相談所の方から見られたら、一体どちらに相談したらいいのだろうというようなことを、よくお 話を聞きます。保健所と市町村、どういうふうに機能あるいは役割を分担していったらいいのか、どういうふうに連携をしていったらいいのかというのも、保健の中では大き な課題かなと思います。以上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。それでは、吉田委員よろしくお願いします。 ○吉田委員 駿河台大学の吉田と申します。よろしくお願いします。 私は虐待の問題につきましては、法学からのアプローチで入りまして、民法それから親権という、その延長線上で虐待の問題に当たりまして、児童福祉の法律などを勉強す るようになりました。勉強を始めたころ、福祉の分野に法律が入ってくるというのは大変奇異に見られまして、ソーシャルワークの問題を権利義務として構成したり、制度と して論じるのはどうなのかということでいろいろと疑問もありました。関係の方とお話をしていく中で、やはり法的な視点が福祉の中でも必要であり、受給権者の権利をどう 守るかということを当初考えておりました。そうしましたら、最近では介護保険なり、支援費なり、また成年後見なりというところで、法律と福祉の結び付きが大変強くなっ てきている。これはやはり権利というものの視点がやはり福祉の中でも大変重要であることが社会的に認識された結果ではないかと思います。そういう点で、虐待の問題も、 親の権利、子どもの権利ということ、これを視点に考えていく必要があるだろうと思っておりますし、そういう立場でこの委員会でも発言させていただければと思います。 言うまでもないことですけれども、虐待対応は確かに子どもの命を守ることを最優先しなければいけないわけですけれども、同時に介入によって子どもの権利や親の権利を 侵害する可能性もあるということにも目を向けておかなければいけないだろうと思います。先ほど青木委員や影山委員がおっしゃいましたように、そうした権利を守るための 適正手続きをどうするかとか、そこに司法がどのように関与するかということ、これは虐待の場合とても大きな問題だろうと思っております。ある意味では医療と似ている部 分があるだろうと思います。医療の中で出てきたインフォームド・コンセントの考え方がやはり福祉の方にでも入ってくるということで、当事者の意向というものが制度化さ れたりしましたけれども、そうした配慮が必要だろうと思います。 虐待防止法の施行後の状況で申し上げますと、私がかかわっている子どもの虐待防止センターでの、防止法施行後における電話相談での1つの変化として、相談される方が 相談をしたことが児童相談所に通告されるのではないかというような危惧を持ったり、または自分の子どもを泣かせてしまい、これが通告されるのではないかというような危 惧を持たれているというお話が聞かれるようになりました。 これはある意味では親に対する権利侵害ということにつながりかねません。虐待者というラベリングをすることであるとか、虐待者として通告されたことによるスティグマ であるとか、こういうことに対する配慮というものをしなくてよろしいんだろうかと思います。この辺りを制度の中でどういう位置付けをしてよいのかということも考えてい きたいと思っております。 そして、もう一つは虐待の対応の仕方ですけれども、これも欧米の例を見ますと、大きく時計の振り子が揺れるように変化しています。ある時には非常に介入的な政策が取 られ、それに対する社会的な反動があって、また今度は抑制的な方向に走るというような振り子の中で、制度が揺れてきています。 日本は今、どうかというと、かなり介入的な方向に走りつつあるのではないかというふうに思います。従来、余りにも介入しなさ過ぎたわけですから、そうした点では望ま しい方向ではあると思いますけれども、これがそのまま行きますと、先ほど申し上げましたような権利の点で大きな反省を迫られることになるのではないかと思います。 最 近、私どもが厚生科学研究でやらせていただいた欧米の制度研究では、虐待の問題というのはそれだけ特化して行うという例はそう多くはない。イギリスやドイツは、一般の 家庭支援の中に虐待問題を位置付けているようです。例えば要保護児童という中に被虐待児を位置付けるということで、あくまでも子どもに対する支援、家庭に対する支援、 そして、そうした支援の中で、特殊な支援方法を必要とするものが虐待なんだということかと思います。 虐待の法制度それ自体を特化させて、これを強行するようなことになれば、国による家庭に対する過剰な介入を招きかねないということもありますので、虐待対策を児童家 庭施策の中でどう位置付けるかということは非常に重要な課題かと思います。私はそういった意味では虐待の問題は一般の家庭支援施策に位置付けられるし、もっと広く、子 育て・少子化対策の中に含めることができる。そういった意味で、今回の位置付けが先ほど局長さんがおっしゃいましたような総合的な対策の中での児童虐待対策というスタ ンスからスタートするというのは、私としては大変うれしいところであります。 ただ一つ、私の今日の注文なんですけれども、ここで一次予防、二次予防、三次予防という言葉が使われておりますが、ここにおられる皆さんは専門家でこの言葉ですぐお わかりになるかと思うんですけれども、今後、虐待対策が全国的に普及して、そして、これを実効性あらしめようというときに、こうした名称が果たしていいのかどうか。も う少しわかりやすい、例えば早期発見対応施策であるとか、予防施策であるとか、こういう名称の方がよろしいのではないかと思います。ちょっと注文になりますけれども。 以上です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。この議論は国民一般に開かれておりますので、用語一つ一つについてもわかりやすい議論をしていきたいというふうに思います。 それでは、松原副委員長お願いいたします。 ○松原副委員長 明治学院の松原です。副委員長ということですが、今日の大切な役割は、多分議事進行に委員長に協力するというのも大切なことだと思うので、できれば3分ぐらいでポイ ントを述べたいと思うんですが、専門は児童福祉とソーシャルワークというふうに言っております。研究室の中でやるのではなくて、なるべく現場とのかかわりを持ちながら というふうに考えております。今日、机の上に乗っております『子どもの権利を擁護するために』というのも、相沢専門官が非常に努力されましたけれども、私も手伝いをし てつくりましたが、こういうものもつくらせていただいております。 さて、ソーシャルワークという観点から3点ほど述べたいと思うんですが、1点目がソーシャルワークというのは何をするんだというのをよく聞かれるんですが、最初に私 がいつも言うのは、カウンセリングとか治療というところまで行かない前、やはり聞くとか支えるとか、そういう大切な仕事があるだろう。そこの部分を担えるところを一つ ソーシャルワークの大きな仕事だろうと思います。 その観点から考えて虐待に結び付けますと、やはり子育て支援の部分は非常に大きいなと思います。ただ、それを受け止める機関が十分な力を持っているかどうかというこ とについてはまだまだ改善すべき点があるかと思いますので、この点の施策の充実あるいは指摘事項で改革の必要性というふうに書いてありますけれども、そのことが必要か なと思います。 それからもう一つソーシャルワークで大切な機能ということで、ネットワークを形成をすることと、そこへ親と子どもを組み込んでいく。ネットワークへの媒介ということ が大切な役割になります。その観点から考えたときに、ネットワークの形成という中でいつも考えるのは、日本の場合、民間の機関というのは非常に弱いなと思います。勿論 、こういう国の検討の場ですから、民間機関にああしろここしろというふうにはできないんですれども、しかし、どういうふうに民間機関を育成をしていくかというようなこ とは考えられるのではないか。そのことも是非視点に入れていただきたいなというふうに思っております。 そのネットワークとかあるいは聞く・支えるというソーシャルワークの現場を形どっていくセッティングという問題があります。つまり、そういうものを機能させていくシ ステム的な背景と言っていいかと思いますが、このことはもう皆さんいろんな形で法の問題、あるいは行政の問題、おっしゃりましたので、このことを書いて、技術的なソー シャルワークの議論はできませんので、ここはもう繰り返しません。今まで10数人の方がおっしゃったところを是非考えていきたいなと思います。 最後、3点目なんですけれども、ソーシャルワークというのは1つのプロセスというのを大切にします。何人かの委員がおっしゃったように、現場で振り回されている翻弄 されているというのはよくわかりますけれども、しかし、とにかく一旦何か、親子分離をしたら、ほっとしましたではやはり困るので、例えばアメリカのように90日経ったら 見直すというような形で、一定の対応を取った後の見直しということをシステム化していく、あるいは制度化をしていくということも是非考えていく必要があるのではないか というふうに思います。以上、3点です。 ○柏女委員長 ありがとうございました。各委員からさまざまなお立場から、さまざまな御提案をいただきました。各委員のお話から、この虐待に問題に対応するための強い思いを感じと ることができました。しかし、残念ながら、この後の意見交換をする時間がなくなってしまいました。意見交換は次回からということにさせていただきまして、実は今日、オ ブザーバーとして、関係省庁の方もお見えをいただいております。委員からの御発言の中に、関係省庁の施策に及ぶものも提案としてございましたので、ここで、各関係省庁 の方から一言ずつ何かございましたら、お願いをしたいというふうに思います。私のところからは警察庁の方が一番端に見えますので、そちらの方から順に横にお願いをでき ればと思います。 ○中島(警察庁) こんにちは。警察庁少年課の中島と申します。今日は改めて警察の立場と現在の取り組み状況について一言だけお話申し上げます。 警察は責務として国民の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防、鎮圧及び捜査という責務を持っておりまして、児童虐待防止というのは本来の責務の1つであります。また 、110番通報、事件捜査、少年補導、少年相談等、直接認知し得る立場にあります。3点目に児童相談所、各医療機関、学校、民間被害者支援団体など関係機関とかねてか ら接触するという立場にあります。そういう立場にありますので、児童虐待については、先ほどから御発言のとおり、重大な問題であるというふうにとらえまして、児童虐待 防止法の趣旨を踏まえて積極的に取り組んでいるというところでございます。よろしくお願いいたします。 ○柏女委員長 ありがとうございました。順次お願いいたします。 ○山野(法務省) 法務省人権擁護局の山野と申します。法務省の人権擁護機関では子どもの人権を擁護する立場から児童虐待の問題に取り組んでいるところです。今後、我々の活動がどうし ていけばいいのか、参考にしていきたと思いまして、オブザーバーとして参加いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○土屋(法務省) 同じく法務省の民事局の局付をしております土屋と申します。先ほど人権擁護局からごあいさつがありましたが、民事局としては、民法を初めとする基本的な法制を所管する立場から、オブザーバーとして参加させていただきたいと思っております。先ほどの 委員の方々の御指摘の中にも民法等の考え方についての御指摘がありましたので、我々としても十分検討しながら参加させていただきたいと思っております。よろしくお願い いたします。 ○田中(文部科学省) 文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室の田中と申します。よろしくお願いいたします。 文部科学省におきましても児童虐待は大変憂慮すべき状況にあると考えております。当省におきましては、児童虐待について従前から学校教育関係者や社会教育関係者に対 して児童相談所への通告義務等について周知をしてきているとともに、家庭教育支援等を初めとしてさまざまな施策を行っているところでございます。関係省庁・関係団体の 方々と連携をしながら、今後とも、児童虐待の防止に努めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。 ○岡田(最高裁判所) 最高裁判所事務総局家庭局の岡田と申します。裁判所における児童虐待の関与は本日の委員の御意見の中にもございましたとおり、いわゆる28条審判であるとか、児童虐待 が問題となる親権喪失事件等ということになりますが、私どもとしては個々の事件というよりも、家庭裁判所としてのシステム、運営全般について関与するという立場から関 係機関との連携であるとか、ネットワーク、そういったこともこれまで進めてまいりました。本日の御意見や今後の御意見等も参考にしながら、また今後の取り組み等に生か していきたいと考えております。 ○大槻(最高裁判所) 同じく最高裁判所家庭局の大槻と申します。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 ○柏女委員長 ありがとうございました。今、委員のお話、オブザーバーのお話を伺って、事務局の方で何かございますでしょうか。 ○事務局 ございません。 ○柏女委員長 それでは、最後に次回以降のディスカッションの仕方とか、委員会の運営に関して取り決めをして、この場を終えたいと思うんですけれども、それまでに、何かこれまでの 意見を伺った上で、是非これだけはということがございましたら、委員の方から、もしあれば、御意見を伺いたいと思うんですが。 よろしいでしょうか。 それでは、今後の委員会の運営の仕方ということで、少し事務局の方で御提案があるということですので、事務局の方から御説明をいただきたいというふうに思います。こ れだけ多くの人数の方で、あと皆さん、強い思いを持たれ方々ばかりということですので、この席で議論をしていくとなかなかまとまりにくいのではないかというふうに思いますので、事務局の方でもあらかじめお考えのようですので、何かありましたらお願い をしたいと思います。 ○古川室長 今、委員長の方からお話をいただきましたように、本日の各委員からも非常に広範かつ深いテーマを多数御指摘をいただきました。これだけのテーマを、しかも深いテーマ をきちっと深く議論していくというにはかなりの時間を要すると思われます。 一方で、津崎委員からも先ほどお話がございましたように、悠長なこともしていられないということであれば、例えば一般予防、早期発見・早期対応、それから保護、支援 、アフターケアというグループ分けをさせていただきまして、そこに特に御関心の高い委員に一旦お集まりをいただいて、いわば議論の粗ごなしといいますか、整理をしてい ただくという場を設けて、議論をして頂き、その成果を本委員会に戻してそれを基に議論し決定をしていただくという方式を1つの提案としてさせていただきたいと思います 。 ○柏女委員長 今、事務局の方から御提案で、先ほどの資料の中で言ってみれば発生予防、あるいは早期発見早期対応、保護、アフターケアといった3つの分野でそれぞれのところで委員 の方にお集まりをいただいて、小グループでディスカッションをしていただいて、その上でまたこの委員会の方に持ち寄っていただくと、こういう提案でございますけれども 、いかがでしょうか。少しディスカッションをしながらこちらに持ってくるというやり方なんですけれども、よろしいでしょうか。 ○柏女委員長 ありがとうございます。それでは、ここで、どのグループにということで議論をしていてもまたすごく時間が掛かってしまいますので、各委員の御専門等配慮しながら、事 務局の方で実は独断と偏見と申しましょうか、こういう構成ではどうかなというような案をおつくりいただいているようでございますので、それをちょっと御配布いただいて もよろしいでしょうか。 ただ、ここで、それで私はこちらに移りたいとかいうのをしていただいても構いませんし、それから他のグループに参加をしていただくことも自由にしたいというふうに考 えています。それから、自分は参加できないけれども、他のグループにペーパー参加をしたいとかいうような方もいらっしゃるのではないかというふうに思いますので、そう したことも認めながらやっていきたいなというふうに思っています。 また、そういう意味ではそれぞれの先生全員に例えば第一次予防グループの集まりは何月何日何時にあるとか、第二予防グループは何月何日何時にあるとか、それらをすべ ての委員にお知らせをして、そして、可能であれば御参加をいただいても構わないと、こんな形でやりたいというふうに思っておりまして、ということで、独断と偏見のペー パーということになりますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。いろいろと御不満もあるのではないかというふうに思いますが、例えば津崎委員の先ほどの御 報告だと一次・二次・三次すべてにかかわるものですので、そういう場合には是非御意見を出していただいたら、あるいは参加をしていただくというような形でお願いができ ればというふうに思います。 このグループはどういうふうに開かれて、次の委員会はどういうふうに開かれて、いつごろまでに例えば報告をまとめるのか、その辺の見通し等はお知らせいただいてもよ ろしいでしょうか。 ○古川室長 はい。議論の収斂がいつ頃になるのかは事務局では確たることは申し上げられないわけでありますけれども、冒頭に申し上げました来年11月が法施行後3年ということで制 度見直しをする1つの目途ということで考えますれば、少なくともその前の時期、夏前には論点の整理をしていただければと考えているところでございます。 御承認をいただきました検討チームにつきましても、このように進めていだきたいというものがあるわけではありませんので、基本的には1回か2回、委員会と委員会の間 に御議論を進めるための場というものを設けていただき、それをこの本専門委員会にお戻しいただくというような形で、適宜行っていただければと思っているというところで ございます。 ○柏女委員長 わかりました。夏前ぐらいには一定の方向性といいましょうか、それを目指していくということであれば、委員会を月1回ぐらいの開催にして、そして、その間に小委員会 、グループを持っていくというような、そんな感じにもなるのかなというふうに、2か月に1回としましょうか、専門委員会の方は。そんな形になって、委員の方にはかなり お忙しい時期にもかかわりませんず御足労をお願いするような形になるかと思いますけれども、是非、御協力をよろしくお願いをしたいと思います。 それからもう一つですが、小委員会の公開の件なんですけれども、これについてはどうしたらいいでしょうか。事務局の方で何かお考えがございますでしょうか。 ○古川室長 この小委員会というのは社会保障審議会令に基づく、正式な組織ということではございませんけれども、基本的に情報は公開するのが前提と考えております。しかし、一方 で、社会保障審議会の規定におきましても、個人の情報とか、特段中立性を阻害するとか、さまざまな事情から公開しない方が適当だと思われるものがある場合については、 それは委員長の判断として非公開とすることもできるとされておりますので、その議論の中身によってはそういうこともあり得ると考えております。 ○柏女委員長 今、事務局の方から小グループの方も原則公開という形にさせていただいて、そして、例えば小グループでのディスカッションになると、細かな事例の話が出てきたりとか 、プライバシーに関するようなことが出てくる可能性が高いので、そういう可能性が高いディスカッションなどについては非公開にするというような形で、なるべく透明性を 持って議論を進めていきたいということですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。 それでは、是非御協力をお願いをしたいと思います。 それでは、次回の日程についてどう考えていったらいいのか、事務局の方からお考えがあればお願いいたします。 ○司会 まだ皆様方の次回の御日程についてお伺いしておりません。今から封筒に入れた日程調整のための用紙をお配りしますので、御都合を記入いただきまして、そのまま机の上 に置いていただくとか、事務局のものにお渡しいただければと思います。それで、もうお忙しい先生方ばかりなので何とか都合がつけばというところを是非三角ぐらいにして いただいて、できるだけ日程を広めにとられていただくようにお願いしたいと思います。 ○柏女委員長 それでは、正式な開催の日程については、そこに記入をしていただくとして、小グループの、どんなふうに進めていくかということを、できたらこの委員会終了後に5分程 度お集まりいただいて、お取り決めをしていただきたい。今日は全員出席ですので、帰られた方もいらっしゃいますが、是非それをしていっていただいて、委員会の開催前に 1、2ど御議論をいただければありがたいなといふうに思っております。 最後に局長さん、何かございますでしょうか。 ○岩田局長 皆様今日はどうもありがとうございました。実は国会の用務が入りましたので、私どもの方で時間が調整できない用務でございましたので、事務局の側が出たり入ったりで 、大変恐縮でございました。しかしながら、出席できた時間の中でも、各委員の先生方から日常の御経験を踏まえた専門性の高い御意見がお伺いできましたので、大変いい議 論のスタートになったというふうに思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。 ○柏女委員長 ありがとうございました。来週には日本子どもの虐待防止研究会の第8回大会が東京で開かれ、ここにいらっしゃる委員の方のほとんどがその大会に関与していらっしゃる のではないかと思います。また、関係省庁からも話題提供などを大会の中でいただくことになっているかと思います。その大会のテーマも児童虐待防止法の見直しに向けてと いうことになっておりますので、関係団体でも活発な意見が展開されてくるのではないかというふうに思います。それらの意見を踏まえながら、是非、有意義な報告をしてい きたいというふうに考えております。 それでは、以上で、本日の委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。 (了) (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課 虐待防止対策室調整係 代表03−5253−1111(内線7799)