03/01/29 社会保障審議会児童部会 第2回児童虐待の防止等に関する専門委員会議事録 社会保障審議会児童部会 第2回児童虐待の防止等に関する専門委員会 議事録 日時 平成15年1月29日(水) 9:45〜12:10 場所 厚生労働省専用第17会議室 出席委員 柏女 霊峰 淑徳大学 社会学部 社会福祉学科 教授 津崎 哲郎 大阪市中央児童相談所長 松原 康雄 明治学院大学 社会学部 社会福祉学科 教授 青木 晋 東京家庭裁判所 判事 奥山 真紀子 国立成育医療センター こころの診療部長 加賀美 尤祥 日本社会事業大学 社会福祉学部 教授 影山 秀人 横浜みらい法律事務所 弁護士 川名 紀美 朝日新聞 論説委員 才村 純 日本子ども家庭総合研究所ソーシャルワーク研究担当部長 高橋 利一 法政大学 現代福祉学部 教授 西澤 哲 大阪大学大学院 人間科学研究科 助教授 柳田 喜美子 日本医師会 常任理事 山田 和子 国立保健医療科学院 公衆衛生看護部看護マネジメント室長 吉田 恒雄 駿河台大学 法学部 教授 次第 1.開会 2.各検討グループからの報告 ・虐待の発生予防に関する検討チーム ・虐待の早期発見・早期対応に関する検討チーム ・被虐待児童に対する保護、支援等に関する検討チーム 3.意見交換 4.閉会 ○ 司会 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第2回社会保障審議会児童部会児童虐待の防止等に関する専門委員会を開催させていただきます。 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございました。 本日は、佐藤委員、田中委員におかれましては御欠席ということで御連絡を承っております。また、オブザーバーといたしまして警察庁、法務省、文部科学省、最高裁判所 からも出席をしていただいております。 では、早速ですが、この後の議事運営は柏女委員長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 柏女委員長 皆さんおはようございます。今年第1回目の専門委員会ということで、まずは、今年も是非よろしくお願いいたしたいと思います。 先生方には、今年の初めから検討チームの方で様々な御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。年末年始と年賀状などを卒業生からいただきますと、児童相 談所に勤務していたんだけれども、体調を壊して異動の願いを出したとか、あるいは児童養護施設に勤務をしているんだけれども、非常に有意義な仕事だけれども、僕にはも う続けられないよというような御意見をいただいたりいたしました。また、今年になって親から虐待されて亡くなった子どもたちのことも報道されております。そうした子ど もたちあるいは御家族の福祉を守るために、あるいは現場で汗を流している方々の苦労を少しでもくみ取っていくために、この専門委員会に与えられた役割は非常に大きいも のがあるのではないかと思っています。そういう意味では、是非今年もよろしくお願いいたしたいと思います。 さて、今日の議事の進行についてでございますけれども、この後、まず事務局の方から今日の資料につきまして御説明をいただきたいと思います。そして、その後、第1回 の前回の専門委員会で設置いたしました3つの検討チームでの御議論の概要につきまして、それぞれ代表の方から、おおむね10分程度を目途に御報告をいただきたいと思いま す。そして、その後、10分程度3つのチームから御報告をいただいた後で、それぞれの分野ごとに20分から30分ということになると思いますが、皆さんで御議論いただければ と思っております。 それでは、事務局の方から、今日の資料につきまして御説明をお願いいたします。 ○ 古川虐待防止対策室長 御説明申し上げます。まず、緑の冊子を1冊配付させていただいておりますけれども、これは日本子どもの虐待防止研究会の方で、児童養護施設におけます実態調査など の取りまとめがなされたものを御提供いただきましたので、これを参考ということで配付させていただいているものでございます。後で御一読いただければと思います。 それから、A3の表でございますけれども、前回の第1回の検討会の際には、一番左側に現状といいますか、データ編を整理していたのでありますけれども、検討チームで さまざまな御議論をいただきました結果、指摘事項が膨大になってまいりましたので、今回はその欄は削除させていただきまして、「指摘事項」という前回は一番右側にあっ た欄を中央に持ってきまして、その右側に「委員から提出のあった論文等と具体的施策の例」という欄を設けさせていただいたということでございます。 指摘事項についてでありますけれども、これは本専門委員会での御議論、一番当初に私どもの方から項目として出させていただいたのが「○」でございます。それを踏まえ まして関連の御指摘がありましたのが「●」であります。その後、検討チームなどでさまざまな御議論がされたものを更に詳しく詳述させていただいております。 同様の記述をA4版にもまとめて出させていただいておりますけれども、これは今後議論が積み重なっていくにつれまして、A3版はさまざまに膨らんでいくということが 想定されますので、とりあえず現時点で、実際に検討チームではどのような議論があったかということがわかるように、本日の段階では両方の供述は全く同じでありますけれ ども、2種類用意させていただいていたということでございます。 A3の資料に戻りまして、指摘事項は今申し上げましたとおり、議論のサマリーを載せさせていただいております。 そして、下の方の網掛けの部分でありますけれども、例えば1ページ目に「健診・訪問等」という記述がございますが、ここは検討チーム、それから、本専門委員会で議論 が進んでいけば、最終的にはおおむね右側の欄にありますような具体的施策を考えていく際の基本的な考え方としては、このような考えとなるのではないかという欄を今後設 けさせていただきたいということで、事務局限りの責任において、今日の段階では整理させていただいたということでございます。したがいまして、議論が進んでいくにつれ て、この欄につきましては加筆・修正がされて、表現が大きく変わっていくということも十分想定されますし、この表現のまま残っていくということもありますので、現時点 では暫定版ということで御理解をいただきたいと思います。そういう意味で網掛けになっておりますので、確定されれば、この網が外れていくということでございます。 右の欄の、「委員から提出のあった論文等と具体的施策の例」でございますが、このように指摘事項をさまざまな御議論をいただきまして、おおむねの方向性が出たという 段階では、それを踏まえまして具体的な取り組みというものについても議論をいただければと考えており、この欄を将来的には埋めていただければと考えているということで ございます。 そして、前回のときにも申し上げたと思いますけれども、できる限り具体的なエビデンスに基づいて御議論いただければということで、各委員の皆様には今般御協力をいた だきまして、いろいろなデータあるいは数字、論文などもいろいろ御提出いただいており、可能な限り載せさせていただいたということでございます。その中から導き出され る施策というものが今後、記述をしていければありがたいと思っているわけでございます。 この欄にも矢印がございまして、例えば、1ページ目「新生児訪問の見直し」と書いてありますが、これは現時点では既に論文などで公表された記述ということでございま して、このようなエビデンスをベースに、このような具体的な施策というものを書き込んでいただきたいという、これも例示として私どもの方で整理をさせていただいたもの でございまして、専門委員会として御了解いただいたものではございません。これも先ほどの網掛け部分と同様に、まだ変わり得るものだということを御承知いただきたいと 思います。 以上でございます。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 1回目の御議論あるいは検討チームでの御議論、それを踏まえて暫定的にこのA3の資料でこういう方向が考えられるのではないか、あるいはこういう指摘があったのでは ないかということを事務局の方で整理をしていただきました。何もないと議論が繰り返しになってしまったり、堂々巡りになってしまう可能性が高いものですから、やや先走 り過ぎだとか、あるいはちょっと意見を反映していないのではないかといったような個々の御意見はあろうかと思いますけれども、今、事務局の方の御説明にもございまし たように、今後このペーパーは暫時皆様方の御意見あるいはこの後また検討チームが予定されておりますが、ここでの議論を踏まえた検討チームでの議論、それらによって暫 時修正されていく可能性のあるものということで御理解を賜りまして、議論を進めていきたいと思います。 また、「委員から提出のあった論文等と具体的施策の例」ということでありますけれども、これも過去に何らかの形で公表されているものを中心に取り上げさせていただき ました。これまで発表したものを中心にということで御報告をいただいておりますが、現在もこの虐待の問題というのは日々変わっておりますので、変わりゆく現状にもっと 反映した意見も入れるべきではないかといったようなお考えもあるかもしれませんけれども、そうしたことも踏まえながら進めていきたいと思っております。 それでは、まず、それぞれのチームからの御報告をお願いできればと思います。まず、虐待の発生予防に関する検討チームの方から御報告をお願いできればと思います。 今日は検討チームの座長でありました佐藤委員が欠席ということでございますので、山田委員の方から御報告をお願いできますでしょうか。それでは、10分程度でお願いいた します。 ○ 山田委員 佐藤委員がちょうど所用で御欠席ですので、まとめられたものを読ませていただきます。 虐待の発生予防に関する検討チームは、1月7日に川名委員が御欠席でしたが、会議を行わせていただきました。発生予防に関する検討チームが重点を置くのは、虐待ハイ リスクとは把握されないけれども、その要素が非常に強い状況にある方。すなわち、非顕在のハイリスク群に対する虐待発生予防について検討することとしました。検討する 際に、5つの柱を立てて検討することにしました。1つ目は一般の子育て支援、2つ目は虐待ハイリスク家庭の把握、3つ目は虐待ハイリスク家庭のリスク低減、4つ目は連 携による支援体制の確保、5つ目は、虐待を認めない社会づくりという5つの柱で検討を進めております。1つ1つの柱について少し出ました意見を御紹介させていただきま す。 1つ目の「一般の子育て支援」についてですが、資料にありますように、母子保健事業を中心とした意見のほかに、医療機関、民間機関、地域、学校といった幅広い機関等 における支援対策について様々な意見が出されました。被虐待児は6か月未満に特に多く、育児について一番心配だった時期は産後から1か月というデータがありますよう に、保健師による早期の家庭訪問を行うこと。特に、新生児期の家庭訪問は親から喜ばれることが多く、親からの要請があって訪問する現行の新生児訪問を充実すべきとの意 見が出されました。 母子保健事業の中では乳幼児健診は受診率が高く、この場を疾病や障害の発見の場ということから、親が相談できる場へと目的をシフトして、来てよかった健診へイメージ アップし、保健サービスに出会う機会を増やす必要があるとされました。また、日常的に保健機関が子育ての相談にのるということをもっとPRすることも重要であるという 意見も出されました。 そのほか、学校教育や男女共同など男性の子育てへの関与、子育て支援には各地で温度差があることから、連携をスムーズに進めるためのシステムが必要であるとの意見が 出されました。 2つ目の「虐待ハイリスク家庭の把握」についてですが、援助が必要な対象者を把握するため、周産期医療機関と保健機関との連携の強化が必要であり、直接連絡を取るよ うな仕組みや医療機関での乳幼児健診や診察から保健機関へつなげるような仕組みが必要であるという意見が出されました。特に、マタニティ・ブルーズや産後うつ病は発生 率が高く、生後1か月未満の取り組みが重要であるという意見が出されました。 また、虐待の死亡事例は把握に至らない段階での死亡が多いことから、乳幼児健診の未受診者のフォローが重要であり、地域の家庭児童相談室や民生委員等を活用できない かといった意見が出されました。 乳幼児健診でも、ハイリスクな母子には確実に家庭訪問など次につながる支援体制の充実が必要であり、また、育児不安とは違い、自ら訴え出ない親にネグレクト等のマル トリートメントが多く見られ、濃厚な支援につなげる仕組みが必要であるという意見も出されました。 医療機関では、プレネイタル・ビジットといった周産期から小児科のかかりつけ医を確保する事業がありますが、現在のところ実施箇所は少ないですが有効であるという評 価がされております。このような試みや産後のメンタルヘルスに関する啓発等が必要ではないかという意見も出されました。 また、虐待ハイリスクに関する研修などが必要であること、サポートが必要な人が地域の資源を有効に使えるような仕組みが必要であることなどに加えて、虐待ハイリスク への支援を法定化することが必要であるとの意見も出されました。 3つ目の「虐待ハイリスク家庭のリスク低減」については、保健師の資質向上とマンパワーの確保、保健所と市町村の機能の明確化と役割分担、また、アセスメントツール を用いるなどアセスメントからインテンシブケアまでの体制をつくるといった関係機関の役割やあり方を明確化する必要があるといった意見が出されました。何よりも、アメ リカのデータで、ハイリスク妊産婦に子どもが2歳になるまでにプログラム化された内容で、濃厚に保健師等の看護職が家庭訪問することで、有意に虐待が軽減したというエ ビデンスがあり、このような子どもの理解を促進し、親子関係を育てていくようなかかわりを行う必要があるとの意見が出されました。 精神保健福祉との連携の強化も重要であり、親の相談や治療を入り口に虐待を発見することもあり、親の治療とともに子どもの状況も同時に見ていくことも必要です。 また、マルトリートメントしている親がペアレティングを学ぶような支援が必要であるとの意見も出されました。 4つ目の「連携による支援体制の確保」では、前提として関係機関それぞれが役割を果たし、機能を理解することが必要ですが、地域の実情に応じたネットワークの構築が 必要であること、また、NPO等民間機関との連携では、相談機能に対するバックアップの必要性やプライバシー保護の明文化が必要であるとの意見が出されました。 連携を推進するために、リスクアセスメントに関する考え方を共有するなどが必要であるとの意見も出されました。 5つ目の「虐待を認めない社会づくり」では、子どもの人権尊重理念の法定化、学校での予防教育の実施、地域での人のつながりをつくることの支援、虐待がスディグマに ならないような位置付けなどが必要であるとの意見が出されました。 以上が、発生予防に関する検討チームの検討内容です。 ○ 柏女委員長 どうもありがとうございました。 御意見は後の時間でいただくことといたしまして、何か今の御報告につきましての御質問はございますでしょうか。よろしいですか。幅広い視点に立って御議論いただきま して、本当にありがとうございました。 それでは、続きまして、虐待の早期発見・早期対応に関する検討チームの方から御報告をお願いしたいと思います。これにつきましては、座長の津崎委員、よろしくお願い いたします。 ○ 津崎委員 それでは、虐待の早期発見・早期対応の班の方で論議した内容について御報告申し上げます。事務局がつくっていただいた資料では6ページ以降ということになるんです が、一応討議の順番を踏まえまして、この資料どおりではなくて討議の道筋のテーマに沿ってどういう論議がなされたかということを中心に報告したいと思います。時間がな くて、討議ができたテーマも絞られますし、十分な論議で一定の結論を得たというところまではいっていないように思いますので、率直にこういう意見交換があったというこ とを御報告申し上げたいと思います。 まず、児相の在り方等については、冒頭に今の児相の窮状を考えたときに、現在の状態を前提にした在り方というのは意味を成さない、児相の相当な人員増とか拡充を前提 にした論議が必要であるというような提起がなされております。 更に、児童相談所の現場の実情を踏まえたときに、虐待の通報が急激に増加している。その増加という件数の多さだけではなくて、今は夜間も含めた24時間365日の通告 対応のニーズが出てきており、そのことに現相談所の体制では対処し切れないという事態が出てきているということを現場報告としてお伝えしました。そういう24時間365日 の通告対応ということを考えたときには、警察の御協力が必要ではないか。そういう意味では、通告先に警察を加えていただくことについてはいかがか、そういうことについ ての意見も求めたところです。実際上は、警察の方に現在でも通告は行っているという実情があり、それに対しては、それなりの対応をしているという現実があるわけです が、新たに通告先に警察を加えるということよりも、夜間対応も含めた警察との連携関係をより強化していく、そういう形の中でクリアできるのではないだろうかというふう な複数の意見が出ていたように思います。しかし、一方で、どこかで24時間通告に対応できるような体制の整備ということも必要である。それを今の児童相談所ができるのか どうかという課題も含めて、その辺の整理が必要であろうというような意見、論議があったように思います。 引き続き、立入調査に関してですが、現行の立入調査が相手が拒否をしたときに、強制的な手続あるいは強制的な打開策を持っていないということの問題点があるわけで す。これに関して一部の委員の中から、何らかの手続を踏まえた形で強制力を持たせるような、そういう制度が必要ではないか。児童福祉だけではなくて、行政機関の例えば 麻薬関係などでも似たような行政的な手だてがあるというふうな御指摘もあったように思います。このことに関して、非常に緊急性がある場合は、今の警察官の職務執行法で 可能ではないかという意見もありました。ただし、これに関しては極めて要件が厳格であるので、日常の児童虐待のケースがこれをうまく適用できるかのどうかということに は問題があるのではないかという意見もありました。 実際には、どんなケースが多いのかという照会の中で、比較的児童相談所が困っているのは閉じこもり等のケースです。場合によっては何年間も閉じこもって出てこずに、 子どもの生死・安否すら確認できないとか、あるいは医療入院の手続が必要であるのに無理に退院したままこもってしまうとか、そういういろいろなケースがあるわけです が、そういうケース、福祉的なニーズ、子どもの安否確認等に対して、司法的な例えば礼状発布ということを考えたときに、要件の整理をどうするのかというようなことは非 常に難しい判断が要るのではないかというふうな意見があったように思います。いずれにしましも、実例ケースの実情を踏まえた上での具体的な打開策といいますか、クリア の方法の検討が要るだろうというふうな話であったかと思います。 それから、調査におけます情報提供の問題ですが、虐待の通告があったときに調査活動に入りますが、この調査には立入調査と任意調査があります。ほとんどは任意調査で 調査活動が進むわけですが、これは個人情報保護の関係で、情報の提供に対して拒否といいますか、消極的対応をされるというようなことがあって、速やかな安全確認なり、 速やかな調査ができにくいという実情があるわけですが、これに関しては基本的には、連携義務を強化するという形で調査がしやすくなるということを肯定しつつも、より細 かい情報の提供の仕方については整理が要るのではないか。あるいは、連携の義務ということを考えましても、民間までも射程に入れた総縛りというのは、なかなか難しいも のがあるのではないか。むしろ、その辺の場合はマニュアルで浸透させるとか、場合によっては情報源を明かさないということをクリアにすることによって、情報提供を得や すくするという別の側面からの配慮も必要ではないかという意見があったように思います。 それから、機関に対する虐待への支援の努力義務を明確化することについての論議がありました。これは、今の虐待防止法がいわゆる通告をするだけの役割になっています が、それに対して、援助・支援についても一定の努力義務を負わせる方が、今後の取り組みの進展あるいはネットワーク化について有意義ではないかというふうな意味合いが あるわけですが、これに関しては公的機関はそれでいいけれども、民間機関までも含んだ義務ということになってくると困難な面もあるのではないか。むしろ、そういう支援 の努力義務ということになってくると、それぞれの機関の体制の拡充、そういうことを前提にした対応策ということも考慮が要るだろうというような意見があったように思い ます。 それから、調査に掛かる期間の限定、これは通告を受けて、そして、調査をし、一定のアセスメントをし、処遇に掛かっていくわけですが、それに対する一定の期間の設定 といいますか、どのくらいのめどで処遇に結び付けていくのか、そういう期間設定が要るのではないかという御意見がありました。海外の場合は、例えば、2週間以内に一定 のアセスメントなり処遇についての方向性を出すという規定になっているところも多いという御紹介もあったわけですが、日本で期間設定されたときに、非常に多様なケース があって、今の体制で一律的に縛りを受けるとなったときには、なかなか現状では困難な場合もあるだろうというふうな意見交換があったように思います。 それから、一時保護所の体制の問題ですが、児童相談所が緊急性があったときに保護をするわけですが、一時保護所は子どもたちの保護の場としての問題性、例えば、ここ はいろいろな子どもが混合処遇されているわけです。だから、非行の子なども入っているわけで、そういう被虐待の子が安心した形で保護できない。あるいはまた、保護所そ のものが満杯状態に全国的になってきているということもありまして、保護の場としても問題性があるけれども、次の処遇に向けてのアセスメントする場としても問題性があ るのではないかという御意見がありました。これに関しては、より多様な保護の場ということを確保していくことが課題であるという意見提起があったように思います。 それから、一時保護に関しては、一時保護に異議を唱えるような制度、保護者が強権で保護されたときに、異議を唱えるような制度も必要ではないかというような御意見が あったように思います。あるいは児童相談所が職権で保護したときに、児相の権限発動と福祉支援の矛盾がそこで出てくる。そういうようなことも踏まえて、司法的な審査と いうことが一時保護に関して必要ではないかという意見があったように思います。 ただ、これに関しては、司法的な審査を一時保護の段階で入れるとなると、緊急的に対応するということについて、できにくくなる要素があるのではないかという意見が あったように思います。これに関しては、場合によっては事後的な審査でもいいのではないか。だから、事前の審査ではなくて事後的な審査ということもあり得るのではない かという意見も出ていたように思います。 こういう職権保護的な部分でいろいろあつれきがあるわけですが、その1つのあつれきの解消の方法として、保護者の人権立場を重視し、調整的役割を果たすための代理人 制度。保護者に代理人をつけて、その人が機関との間に入って調整的な役割を果たすという制度を新たに構築することも、今の状況を踏まえるとより意義がある制度ではない かというような提起が現場サイドから出されたわけですが、こういう虐待親というのは、なかなか強烈なパーソナリティの持ち主でもあるので、そういう代理人機能を具体 的に果たせるような人材の確保ということについても、なかなかスムーズにはいかない要素もあり得るのではないかという意見があったようにも思います。 ただ、この保護者との対立の問題については、イギリスの制度などを見ていたときに、処遇決定に当事者も参加させて、保護者との新たなパートナーシップを築くという 方向性が将来的には望ましいのではないかという意見もあったように思います。これは具体的にどう位置付けをするかというのはなかなか難しい問題でありますけれども、そ ういう方向性の問題としての提起があったように思います。 それから、28条の保全処分についても一定の論議がありました。この保全処分は、今、家事審判規則の中にはないわけですね。ただ、運用面で実際的には保全処分が下ろ されている例もある。そうなってきたときに、規定のない部分に保全処分を適用するということはなかなか難しい面もあるので、むしろ家事審判規則を変更して保全処分を取 れるような形にする方が、すっきりするのではないかというふうな意見があったわけですが、新たに規則なり法律を変えるときには、必要性を基礎付ける事実ということが きっちりと押さえられる必要があるという意見提示がありました。その保全処分の考え方の中に、場合によっては28条の保全を親の指導の実効性に生かすことはできないか、 そういう思いももたらされているところです。 それから、時々実務の中では28条申立をしたときに、すぐに審判を下ろすのではなくて、裁判所が一定の調整機能を果たされて、その上で取り下げになるという実例も結構 多いんですね。そういうことを踏まえたときには、少年事件の中間処分としての試験観察的な要素があるわけですが、そういう試験観察的な運用ということがいかがかという ふうな意見提示があったわけですが、それに関しては、運用としては確かにあるという指摘があったわけですが、ただ今の28条の承認するかしないかという法文構成から考え たときに、そういう試験観察的な運用を積極的にしていくということについては、いかがかというふうな御提議があったように思います。 それから、28条は入り口の部分だけの審判規定になっていますので、出口の方にも家裁の審判規定がある方が、例えば、親に対して具体的な引き取りのめどの枠付けをする というふうな意味でも、いろいろメリットがあるのではないか。親が入り口の部分だけ決められて、出口の部分での申立てができないということについてはいかがだろうかと いう意見ですが、このことに関しては、裁判所サイドとしては、出口の部分をどう判断するのかという具体的な要件の提示が、今の裁判所の中のノウハウとしては非常にしに くい部分もあるというような御意見があったように思います。 いずれにしましても、時間が非常に限られていまして、議論が十分深まったというところまではいっていないんですが、大ざっぱに言いまして、そのような意見のやりとり があったということをとりあえずの御報告とさせていただきたいと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。この部分は制度的なところで非常に細部にわたって御検討をいただいた部分でございます。特に、子どもの権利と親の権利の間の調整をするという 非常に難しいところですので、当然のことながらいろいろな意見が出ているのではないかと思います。今の津崎委員の御報告でも、まだ細部は詰められていないということも ございました。また、この委員会の方でも議論がこの後できることを願っております。 何かこれについて御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。真剣な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。 それでは、続きまして、被虐待児童に関する保護・支援等に関するチームについて御報告をお願いいたします。これにつきましては、松原委員の方からよろしくお願いいた します。 ○ 松原副委員長 昨年12月24日に、お手元のグループ、検討チームのほかに他の検討チームの方にも御参画いただきまして検討を進めました。事務局が用意してくださった柱立てに沿います と、11ページ以降になるのですが、検討事項がずっとめくっていただきますと15ページの「その他」まで8項目になります。これは、おおよそ予定されている回数で毎回毎回 ベタでやっておりますと、とても十分な議論ができないだろうということで、座長として最初に検討チームで提案をさせていただいて、この8つの項目をおおよそ在宅での支 援、それから、特に入所施設を中心にした社会的な養護、それから、アフターケアというような3つに、また少しくくりを掛けまして、24日は社会的養護について少し中心的 に話をしようということで議論をさせていただきました。ただ、先ほど津崎委員もおっしゃっておりましたけれども、そうは分けたんですが、いろいろ議論が関連する項目へ 及んでいったことと、それから、時間の制約もありまして、では、この社会的、特に柱で言いますと2番、3番あるいは5番のところにも関連するのでしょうか、それで一定 の結論が出たかと言いますと、なかなかそうもいかないので、恐らくまた総合的に1回議論をしなければいけないかなというふうに思います。委員の中からは、24日の話につ いてももう一歩進めて議論をしよう、あるいは後で少し詳しくお話をしますけれども、何か図式化したものが出ないだろうかというような御議論もありました。この11ページ 以降を見ていただいておわかりかと思うんですが、「●」ですとか「◆」のところが中心的には議論をしたところが増えているということで、次回は少し在宅支援の話をして いくことになるというふうに考えております。 さて、11ページ目から少し順を追って中身を説明したいと思うんですが、とはいえ、やはり児童相談所の話というものが出てまいりました。特に、入所施設の場合にも親権 ということについては、それぞれの現場で配慮せざるを得ませんので、11ページに掲げましたように、特に親権の一部停止についてはさまざまな御意見が出たところですが、 これも先ほど津崎委員からお話があったように、第2のグループとも重なるところがございます。そこで、我々の方でも議論が出るかもしれませんが、是非第2グループの方 で中心的に検討していただくということもお願いしたいところなんですけれども、おおよそ出た意見については、ここをお読みいただければと思います。 さて、12ページのところですが、児童福祉施設等の議論が中心的に行われました。特に、年齢的には中核となります児童養護施設の話の中では、12ページの「○」の1つ目 の「・」になりますが、戦争孤児の受け皿としての緊急対策をそのまま使ってきたのが児童養護施設なんだということで、虐待ということへの対応が主として設立の目的とし て掲げられてきた施設ではないこの施設が実際には今、虐待を受けた子どもへの対応をしているということについて、この機能をどういうふうに見直していくかということが 議論になりまして、議論の中では、例えば、里親をもっと活用していったらいいとか、施設の小規模化というような話も出てまいりました。特に、虐待を受けたということで は、子どもが心身、特に心の部分にさまざまな傷を負っているわけですから、そこをどう癒し、治療していくかというような話も随分議論に上ったところです。 その中で、施設の小規模化ということについても、12ページの下段の方にありますような議論が出てまいりました。ただ、こういった議論をするためには、やはりアセスメ ントが大切だということが大方の意見として委員の中から出されまして、その子どもたちを中・長期的にどういうふうに施設であるいは里親であるいは場合によっては親子の 再統合ということになるのでしょうけれども、ケアをしていけるかということで、そのアセスメントの大切さということも議論の中では確認をされたところだろうと思いま す。そういった中で、施設についても場合によっては、さまざまな特色を持たせたような形で検討し直すことも必要ではないかというような御意見も出ました。 それに伴って、施設で対応するときの職員の状況はどうかという話も出まして、それが13ページの中身になろうかと思います。その中では、職員の労働条件の改善の話です とか、特に、虐待を受けた子どもが二次的な被害を受けないような形での教育・研修というようなことも必要だという意見がありました。これについては、里親へのトレーニ ングも必要ですし、里親がもしそういう社会的養護として活用される場合には、その里親がいつでも相談に行ける形というのも必要だというような御意見も出ましたし、研修 プログラムの開発の必要性、そして、それをモデルにして社会福祉部門のケアワーカーを養成することの必要性というような御意見が出てまいりました。 4番のところは、次回中心的に議論されることになると思いますので、かかわって5番のところでは、やはりアセスメントの必要性ということが出てまいりました。実際に これから5番、6番、7番というようなところで議論が進んでいくのだろうと思いますが、なかなか現実のさまざまな施設、今回の議論では入所施設の話をいたしましたけれ ども、情緒障害児短期治療施設に関する御意見も出ておりますが、虐待を受けた子どもへ、そこをメーンターゲットにしてどういうふうに生活と治療を保障していくことがで きるか、このことについては、もう少しアセスメントのための社会的な送致も含めて、我々の検討委員会でもう少し議論を進めていきたいということが、12月24日の議論の行 き着いたステージであるというふうに理解をしております。 ○ 柏女委員長 ありがとうございました。 限られた時間の中で幅広い論点について御検討いただきました。今の御報告につきまして、何か御質問はございますでしょうか。 ○ 青木委員 東京家庭裁判所の青木でございますが、親権の一部一時停止の部分で、協議概要という資料の網掛け部分と、A3の資料の網掛け部分の内容がちょっと違うものですから、 進行についての確認のようなことになりますが、A3の資料ですと11ページで、協議概要ですと13ページ。先ほどの事務局の御説明では、現時点では網掛け部分は同一という ふうな説明であったように思うんですけれども、A3の資料の11ページは、親権の一部一時停止につきましてなお書きがあって「なお、この検討課題については第2グループ において検討してもらうこととする」という文章が入っているんですが、協議概要の13ページにはその2行がないので、進行について今後この親権の一部一時停止の問題を第 3グループでも更に独自に議論されるのか、これは第2グループに委ねるということなのか、大変個人的な質問で恐縮なんですけれども、私が第3グループの方にも出席した 方がいいかどうかというところと絡んでくるものですから、御質問させていただきました。 ○ 柏女委員長 進行の関係なので私の方からよろしいでしょうか。実は、議論に入る前に私の方で申し上げようと思っていたことなんですけれども、今日の議論は、それぞれ検討チームの 方で御議論いただいたものを一度報告していただきましたので、これについて、この部分はこちらでやってもらった方がいいなとか、この部分については私たちで引き取るよ とか、そういうことも踏まえてディスカッションしていただければありがたいなというふうに思いますので、そうしましたら、そのときに出していただけますでしょうか。よ ろしくお願いいたします。 ほかにはございますか。よろしいでしょうか。 それでは、議論の方に入っていきたいと思います。できれば議論を積み重ね深めていくという意味がございますので、この資料に基づいて御議論をお願いできればと思いま す。なお、資料の右側のところに各委員の方から御提出いただきました論文等がございます。そして、それに基づいた知見が載ってございますので、御意見をいただく際に は、そのことにも若干触れていただけるとありがたいなと思います。 それから、この専門委員会としての最終的な意思決定というのは、あくまでもこの場ということでございますので、検討チームの方で御議論いただいたことについては、是 非そのチームの方も勿論御発言いただいて構いませんし、それから、他チームの方から、今、青木委員からの質問もございましたけれども、この部分についてはどうなの か。例えば、発生予防のチームで検討した結果、児童相談所についてはこういうことを願いたいという意見が出たんだけれども、それも第2グループの早期発見・早期対応 チームの方で検討してもらえないかとか、そういうような御意見も含めて是非お願いしたいと思います。 それから、前回この方式、つまり児童虐待への対応を3つのレベルに分けて、そして、それぞれ検討チームをつくって対応、検討するというやり方を提案させていただき ましてお願いをしたわけですけれども、この方法のデメリットと申しますか盲点というのは、3分野に共通して当てはまる部分とか検討しなければいけないこと、あるいは全 体を貫くものというのがどうしても見えにくくなってしまうということがあります。それらについては、私や松原副委員長が全体をツウガンしながら、あるいは事務局の方に も御援助いただいて、全体の中で考えていかなければいけないこと、それらも併せて視野に入れながらやっていく必要があるのではないかというふうに思っております。 それでは、時間の関係で各チーム20分から25分ぐらいになるかもしれませんけれども、御意見を賜りたいと思います。それでは、最初につきましては、御報告をいただい た順番でいきたいと思いますので、発生予防チームの御検討につきまして、御意見を賜ればと思います。どなたからでも結構です。よろしくどうぞお願いいたします。 ○ 松原副委員長 非常に有意義な議論をしていただいて、大切なポイントをたくさん教えていただいたと思うんですが、ご報告の中では比較的保健というようなことが中核に置かれていたと 思うんですが、柱の1つ目に「一般の子育て支援」というところがありまして、従来例えば保健所以外でも保育所等でも子育てグループの支援をやっていたり、あるいは児童 館でそういうものをされていたりということで、生まれて少し経った、0〜2歳児ぐらいの年齢を考えますと、児童人口の大半はまだ地域で生活をしておりまして、そういう 方たちがまた社会的に孤立をして、リスクを負うというようなことも言われておりますので、その辺の子育てグループあるいは最近でいいますとファミリー・サポート事業と いうようなお話が出ていたのかどうかというような御質問と、その辺の議論を是非、発生予防のグループでもしていただけないかというお願いも含めて発言させていただきま す。 ○ 柏女委員長 どうでしょうか。検討チームの方、どなたかございますか。 ○ 山田委員 今の御意見は、保健だけではなく、子育て支援について幅広くいろいろな機関があるので検討してはどうでしょうかという御意見だったと思いますが、検討する時間も短い ですし、この内容を出すだけでまずは精いっぱいだったというところがありまして、まずは発生予防ということでいかに潜在しているハイリスクの家庭を把握するかという論 点が中心になっていました。まだ一般の子育て支援の部分は確かに弱いかなというふうに思っております。 最近は、子育て支援センターも各地にできていますので、支援センター等も含めた地域での子育て支援の体制をどうつくっていくのかということも重要だと思っています し、特に、一般の方は親子で通えるようなところとか、あるいは自主的なグループ、サークルも孤立の解消という観点からは重要だと思っておりますので、そのあたりも含 めてグループの中で検討をしていきたいと思っております。 ○ 柏女委員長 そうですね。親子の居場所づくりとか、あるいはその親子に対する情報・支援といったことについても、是非必要なのではないかという御意見でした。 ほかにはございますでしょうか。 ○ 奥山委員 多彩な御意見が書いてありまして、非常に感銘を受けました。2ページのところにも書いてあるんですけれども、ハイリスク家庭というのは子ども、親、家庭さまざまな側 面があるということで、多分お時間の問題だったと思うんですが、全体として親、家庭側に対しての注目が多くて、育てにくい子どもということに関する問題がもう少し語ら れるといいのかなという気もいたしました。いわゆる障害を持っているお子さんもそうですし、ディフィカルト・ベイビーと言われるような、ちょっと育てづらいような部分 を持っているお子さんとか、そういうお子さんに対応していく形での虐待に結びつく危険性が多いというふうにいろいろなところで、特に海外でも指摘されていますので、そ ういう部分のことも少し次回に検討していただけるとありがたいと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 ほかにはございますでしょうか。 ○ 津崎委員 児童相談所の立場からして、発生予防で是非考えていただきたいテーマは、複雑な家庭あるいはステップ・ファミリー、内縁の夫、内縁の妻、そういう家族変動が起こった ときに非常に虐待が発生しやすく、また、エスカレートの仕方が非常に早いんですね。私たちのいろいろな今までの例でも、途中から親になるということについては、極めて リスクが高いんです。里親家庭などに子どもを預けましても、すっと溶け込むということはあり得ないです。必ず退行現象が起こってトラブルの連続で、それを乗り越えて初 めて安定した親子関係が形成される。ステップ・ファミリーとかそういうところは全部そういう困難さを引き受けるわけです。その辺がうまくいかないときに虐待に移行して いく。ところが、再婚とか離婚とか新たな家族が生じたときに対する具体的なその辺の手だてというのは何もないんですね。そういう意味では、非常にハイリスクを伴う家族 だという認識を持ちつつ、社会としてその辺のところに、どう具体的な支援の手だてを取るのかということも非常に重要な課題ですので、その辺も是非お考えいただきたいと 思います。 ○ 柳田委員 今もお話がございましたように、例えばDVと児童虐待は、その底辺のところで連鎖があるということは言われているわけでございまして、やはり家庭環境がそういうこと を引き起こすことは当然のような気がいたします。 それと、私は小児科医でございますが、地元の方で知事の委託を受けて、いわゆる里親を認定するというような児童分科会にもかかわっておりましたが、2歳ぐらいの女の お子さんが里子として引き取られる率が非常に多い。私の地元は、全国でも里親になる方が比較的多いところなんです。しかも、1人の方が2人も3人も引き取られるという ようなこともございまして、大変感心したことがありましたが、しかし、児童虐待に関して、ただ法律的に親と子を分離して児童相談所に預ければいいというだけのことでは なくて、やはり子どもにとってどんな親であろうと実の親でありますので、子どもとその親を定期的に会わせるというような方向のやり方といいますか、そういうことも含め て考えていただけたらなと思います。引き離すのではなくて、できるだけ定期的に会わせて親業としての自覚を持たせていくというような教育といいますか、そういうことも 一方で考えられるのではないかというふうに思っております。 ○ 高橋委員 ハイリスク家庭の把握の中で、特に養護所等に入所してくる子どもたちの背景を見ると、やはり経済的困窮家庭というのが結構多いんですね。ですから、児童相談所及び福 祉事務所が貨幣的な福祉支援をしているような家庭も、やはり一つの把握の対象であるのではないかというふうにも思います。 それから、もう一つ、愛着関係のところでも施設が変わる、いわゆる措置変更ということによって子ども自身に与える問題があるわけで、この辺は施設の再編成などがまた 別の部会でありますが、そういう連続性のあるような養育体系というのも社会的養護として考える必要があるのではないかと思います。ほかにもありますけれども、とりあえ ず。 ○ 影山委員 5ページなんですが、「虐待を認めない社会づくり」の中で、義務教育等で子育ては楽しいというふうなことを提供していくという……。 ○ 柏女委員長 どちらの5ページですか。 ○ 影山委員 A4の方の5ページでございます。 ○ 柏女委員長 できればA3の資料でお願いできますか。 ○ 影山委員 A3の資料でも5ページですね。「虐待を認めない社会づくり」の項目でございますけれども、義務教育の中で子育ては楽しいというふうなことを提供していったらという 貴重な御提案をいただいておりますが、それに加えて、義務教育の中で、それぞれの子どもたちに自己防衛手段とか、あるいは権利主張の具体的な方法についても教えていく なり、提供するなりということも併せて御検討いただければと思います。これは主に、もう少し大きくなった子どもたちに対する性的虐待防止にかなり関連するような問題に なってくるのではないかと思いますので、この辺りも加えていただければと思います。 よろしくお願いいたします。 ○ 柏女委員長 今の関連で影山委員にお伺いしたいんですけれども、例えば、早期に子どもたちに自己防衛手段を教えていくといいましょぅか、そういう力を獲得していくことで、子ども たちが性的な被害に遭うことが少なくなったとか、そういう活動をすることによってそうしたことができるようになっていったとか、そういう御報告は何かございますでしょ うか。 ○ 影山委員 アメリカでのCAPのプログラムが典型的なものだろうとは思います。したがって、アメリカでは多分、相当な分析なり実績の御報告があるいはあるのではないかと思いま すけれども、ちょっと私は不勉強で存じ上げません。申し訳ございません。日本では、ようやく今各地でちょっとずつ広がりつつありまして、学校の教育の中でも取り上げて いただくような方向が出ているようですので、もし可能であれば、そういう具体的な御報告をいただければ幸いかと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 ○ 吉田委員 A3の4ページの3「虐待ハイリスク家庭のリスク低減」のところですけれども、これは私の疑問として是非お教えいただきたいというか、ここで解決が見れればと思って いるんですが、すぐ上から2行目の「◆」のところで「マルトリートメント者等への濃厚な子育て支援」、そのすぐ下に「レッテル貼りにならないリスクアセスメント」とい うのがあります。この部分が親に対して、あなたが虐待者であるということがその人に対するスティグマになりかねない部分があるのではないでしょうか。他方では、虐待と いう告知をすることでその後の対応が見えてくる。両面あるわけですけれども、一面ではそうしたスティグマ性があるということを考えていくと、この辺りリスクアセスメン トの方法なり、また、それ以前の親に対する対応というところは、非常に慎重かつ複雑な問題があるだろうと思います。ですから、ここの部分非常にいいところを書いていた だいたなと思うんですが、今後更にここのところを深めていただきたいということがあります。 それと関連して、その次の行ですけれども、ハイリスク者にはさまざまなレベルがあることです。特に発生予防のところで難しいのは、ここにあるような「マルトリーメト ント」という言葉と「虐待」という言葉が出てくるわけですが、究極的には虐待とは何かという定義の問題に行き着かざるを得ない。そうすると、このマルトリートメントの 問題を今の児童虐待防止法で言っているような虐待というところでとらえていいのか、それとももっと広く児童福祉法や更に言うと子育て支援というところでとらえていくの か、私たちが虐待の議論をしていて時々違和感を感じるのは、それぞれの人が持っている虐待のイメージがずれていて、そして施策なりの議論がずれていくということがある と思うんです。これはすごく難しい問題ではあるんですが、逆に虐待という非常にハードなものをイメージしてここで取り上げるということになると、ちょっと行き過ぎの部 分も出てくるだろうというので、これも答えは難しい問題で私にはわからないんですけれども、一応考えておいた方がいいだろうなということで、無責任で申し訳ございませ ん。 ○ 加賀美委員 吉田先生からそんなお話が出ましたので、「虐待」という言葉自体の持っている社会一般が持つスティグマについても、一応議論をしておいた方がいいのではないかという ふうには思っておりまして、そういう意味で、マルトリートメントという視点の根底にある虐待に対しての理解がもっと一般化していかないと、大変危険なところにある。特 に、児童相談所の親への対応の場面においても、「虐待」という言葉が持っているスティグマが、非常に業務をしにくくしていくという部分もあるのではないか。そういっ た意味で、虐待防止法そのものの根幹にかかわるところかもしれませんけれども、「虐待」という言葉の持つ意味をもう一度検証しておく必要はあるだろう。それをどう一般 化し、マルトリートメントという幅の広いところで議論できるようにしていくのかというのが課題なのかなと思っております。 ○ 西澤委員 その議論の続きなんですが、従来から「虐待」という言葉と本来の英語の言語である「abuse」という言葉はかなり乖離があるということで議論になっていますし、その言 葉の検討は絶対するべきだと。「abuse」というのは「乱用」という意味なんだけれども、「子どもの乱用」と言ってもなかなかうまく通じないというので、1933年にあった 児童虐待防止法9号の「虐待」という言葉がそのまま流用されたというところが、どうも問題の始まりではないか。マルトリートメントに関しては、アメリカで言えばChild abuse and neglectを常に並列するようになっていて、その2つを合わせて「マルトリートメント」と言うんだけれども、日本の場合には、それに更にグレーゾーンまで 含めて「マルトリートメント」という言葉を使っているという辺りが現状だろうと思います。 ○ 奥山委員 今の流れなんですが、同じ流れで「虐待」という言葉は確かにいろいろな問題を含んでいる。なぜかというと、「虐待」という言葉がどうしても行為を指すように響いてし まうというところにあると思うんです。マルトリートメントというのはどちらかというとメンタルヘルスでよく使われる言葉で、子どもにとってのマルトリートメントという 考え方で、行為を指すのではなくて、子どもにとって不適切である養育、子どもの側からあくまでも見るというのが非常にはっきりするという利点があるわけですよね。た だ、本来はabuseなり日本で虐待と言われているものも、子どもの視点から見なければいけないということは常々指摘されているところです。これが虐待防止法に、虐待罪を つくるかつくらないかということになると、また話が違ってきてしまうんですね。そういう意味で、虐待を罪にしようということになれば行為を指すことになってしまうし、 それから、今のように子どもを守るという視点から考えれば、子どもの側から考える定義という形になりますので、そこのところをかなり詰めておかないと、確かに今後の問 題としていろいろな問題が出てくるのではないかと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。確かにこの虐待というものをどう理解していくのかというところ、親もともに支援するということを考えなければいけないものもあるし、それか ら、親から切り離さなければいけないというものもあるわけですから、すべてを虐待ということでとらえてしまうと、議論が錯綜するということもあると思います。これは大 きな検討課題ではないかなと思います。 それから、この委員会は議論を一つ一つステップを積み上げていきたいというふうに考えております。いろいろな御意見をいただいております。その御意見の中に、先ほど 事務局の方から御説明がありました網掛けの部分がございますが、この網掛けの部分も視野に入れていただきまして、そして、この方向が事務局の間違いなのか、先走りなの か、あるいは勿論、今日の意見も踏まえてということになりますが、ここの部分は大体こういう方向で間違いはないのだろうか、そんなことも御確認をしていただきますと、 今後さまざまな施策や運用の改善等々を考えていくに当たりまして、1つの方向性を導き出してくれると思いますので、それらにつきましても御意見を賜ればと思います。 ○ 西澤委員 A3の4ページですか、「虐待ハイリスク家庭のリスク低減」というところで網掛けの部分なんですが、関係機関の役割や連携の在り方を明確化し、更なる取り組みを促す とともに、各関係機関が役割を十分果たせるようなアセスメントツール等の整備が必要ということでのまとめということだと思うんですが、「アセスメント」という言葉がい ろいろなレベルでいろいろなところに出てくるんです。「リスクアセスメント」「アセスメント」、また、ケアの方でも「アセスメント」が出てくるので、具体的にどんなイ メージでそれぞれが違うのか、同じなのかということを明らかにしておかなければいけないかなと思っていまして、ここにある「関係機関が役割を十分果たすようなアセスメ ントツール」というのは、関係機関のアセスメントなのかよくわからないので、その辺は整理していただければありがたいかなと思いました。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 ほかにはございますでしょうか。もしよろしければ、次のステップに移りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。第2の方にいって、また第1の方に戻るということ もできるかと思いますので、それでは、続きましてA3の資料6ページからになります。早期発見・早期対応のチームの御報告につきましてございましたら、御意見をお願 いしたいと思います。 ○ 津崎委員 第2あるいは第3にも絡んでくる問題で、基本的な認識なり施策の根幹を成す部分について、是非本質の部分を押さえておいていただきたいという思いで発言したいんです が、虐待の援助を社会の制度として考えていくというときに、一番重要な要素は、親性をどう回復させるのかということなんです。ここにもたくさん実際に親御さんである方 がおられると思うんですが、100点満点の親というのは余りいないと思うんです。よくできて90点とか80点、場合によっては70点ぐらいということになるのかもわかりません。 虐待の親も0点の親というのはいないんです。40点であったり30点であったり、そういう一連の連続性なんです。合格点をどこに置くのかということが課題になるんですが、 大学の試験でいくと60点が合格点ということであれば、最低60点を確保できるような形にどうすれば持っていくことができるのかというようなことなんです。 虐待の親が40点、30点とすると、40点、30点だからだめだというのではなくて、60点の親に持っていくための改善の仕組みづくりが最も重要なんですね。ところが、日本の 今の民法の制度でいくと100か0なんです。親権がそのまま100であるか、あるいはそれがだめなときは0にしてしまう。親権喪失のときの保全処分がありまして、一時的に執 行停止等がありますから、ちょっと中間的な要素があるということですが、今の日本の民法の執行停止というのは回復を目的にした制度ではないです。そのまま時間が掛かる から、先に保全的な要素で出しましょうと。要は、日本は回復をこういう仕組みで社会としてサポートしていきますよという制度が実際上はないんです。 虐待防止法でできたその辺の保護者に対する指導の枠組みづくりは、1つは、児童相談所が指導の措置を取れば、それに親は従わなければならないという縛りと、従わなけ れば知事が従うように勧告を出すことができるという、その2つの縛りで改善の枠組みを何とか実行できないかというのが、日本の今の虐待防止法の制度です。ところが、御 存じのとおり知事の勧告例なんてまだないんです。それは現場的に言うと、知事が勧告を出して保護者がその枠組みに乗るということは、現場的発想としてはほとんど可能性 がない。だから、活用されないんです。制度があったとしても、それが実効性を担保されていないということで、この辺の仕組みを支援のためのプログラムづくりとか、カウ ンセリングの強化とかいろいろありますけれども、要は虐待の親というのは自発的ニーズが乏しいですから、そういうものを幾らつくっても乗ってこないわけです。乗せるた めの仕組みを社会としてどういう形でなら可能なのかということが、実は今回の法改正の一番大きな、ある意味ではポイントどころになるんです。その1つの発想として出て きているのは、親権の一時停止ということをつくって、回復のときに保護者に一定の改善の努力を課すことによって回復の制度に結びつける。しかし、これは民法の改正が 伴ってきますから、かなり重たい課題ということになってきたときに、例えば、裁判所の今の機能であれば、28条を承認するか、親権喪失を承認するかしないかという非常に 限られた機能ですから、これでもやはりうまくいかない。そうなったときに、裁判所のより幅を持たせた何らかの手だてによって、そこの部分に実効性を持たせるような方法 があるのかないのか。あるいはそれが非常に難しいということになったときに、その辺の実効性を持った枠組みづくりが、ほかの方法で可能なのかどうなのか。それも1つの 要素として、私などが現場的発想で代理人の制度というのはいかがなものかというふうなことを言っているのは、そういう部分なんです。強烈なパーソナリティの親がいよい よ職権保護されたときに、そのやりとりのトラブルに現場が四苦八苦して、実際には改善の仕組みに乗せることができないという事態に対して、もう少し話のできるそういう パートナーをつけることによって実効性の話し合いができないかというようなことですが、その部分が非常に大きなテーマとしてあると。 だから、それぞれの立場での今の状況を踏まえたときにできる、できない、あるいは非常に困難さがあるというふうな課題は、それぞれがお持ちであると思いますけれど も、その大きな部分について、日本の社会としてどういう仕組みならできる可能性があるのかということを是非、それぞれの立場で十分検討いただきたいというのが私の冒頭 の趣旨でございます。よろしくお願いしたいと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 そういう意味では、司法なのか福祉なのかということではなくて、津崎委員の御意見というのは、虐待をする親子を回復のプロセスに乗せていくための何らかの仕組みが必 要なのではないか。それが司法でできるのならば、司法で協力を得ながら一緒にやっていったらいい。しかし、それが難しいということであれば、別の次善の策をつくって いったらいいのではないか。けれども、方向性は一緒なのではないかというような御意見、そういうことを考えながら、今後の検討を進めていきたいというような御意見で あったように思います。 ほかに何かございますでしょうか。 ○ 松原副委員長 これは第3グループにもかかわるところなので、今日少し御意見をいただきながら確認したいと思いますが、私のグループのところでも、在宅での支援をどうするかという ことが課題になっております。実際に、ある時点での統計を取ってみますと、虐待という形で児童相談所が通告を受けた方たちのマジョリティは親子分離をしていないんで す。それはいろいろな事情があると思いますが。そうすると、一定の通告を受けて児童相談所がかかわり始めたここの部分について、早期発見・早期対応の次のステップだと いうことであれば、我々のところで引き取って議論しなければいけないでしょうし、連続性ということであれば、第2グループでもかかわってくるところだと思いますので、 その辺どちらが主として議論していくかということと同時に、今はなかなか児童相談所として実態的に密に、在宅でまだお子さんを養育されている方にかかわるのは、現実的 に難しい部分もあろうかと思うんです。月に何回訪問できるかという、その辺のところもあろうかと思うので、ほかの委員の方々の御意見も参考にしながら、どういう方向性 で、それは共通してやってもいいのかもしれませんし、どこのグループが議論していくか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。 ○ 柏女委員長 今の松原委員の御意見を聞いていかがでしょうか。発生予防の方でも地域の問題、子育て支援の問題というのは出ておりましたし、第2の早期発見・早期対応のところでも 必要になりますし、それから、保護・支援のグループでも家庭復帰をしたときにどう支えていくかということでは必要になってくる分野ということになりますけれども。 ○ 松原副委員長 家庭復帰していないで、そのまま親子分離をしないで済むというケースがありますからね。 ○ 柏女委員長 そうですね。それもありますね。 ○ 西澤委員 恐らく我々の方のケアの部分では、例えば、分離後の親のケアというのをどうするかということだし、そして、第1グループ、第2グループでは、むしろ在宅の支援の部分 だと思います。それぞれの主眼を何に置いているかによって焦点がずれると思うので、それぞれが検討していきながら、それこそ柏女先生、松原先生辺りですり合わせてもら ってというのが最もいいのかなと。どこかにお願いしてしまうと、ほかの視点が一切入らない危険性というか、そういうふうな怖さがあるかなと思っています。 更に、今の津崎先生のことについての私の意見なんですが、私がアメリカで3年間ぐらい働いておりましたときに、御存じのように、カウンセリング受講命令を受けてやっ てくる人たちがいるわけです。10回何で来るかというと、とりあえず子どもを分離されて次の審査までの半年間の間に、親が子どもを引き取りたいならこういう努力をしなさ いということが裁判で決定されると。その間、審議は停止されるわけですね。その中の1つに、どこどこのカウンセリングに10回もしくは20回行きなさいということで、強制 的に行かせるということを実際やっています。でも、なぜやっているかというと、そうした方がカウンセリングにつながる率が高いというリサーチがベースにあるからで、親 の方も子どもを返してもらいたいから一生懸命通うわけです。ただ、本人たちは来たくなくて来ていますから、そこはカウンセラーの腕でございまして、腕は我々ないのでど うしようかと思うんですが、とにかくつながるというところは、まず強制力でつくっているというのがあります。 ただ、日本ではほとんどそういうことをやっていないのでデータがないわけですが、この間、一応、我々の方もこういった虐待の臨床をやっている専門家たちの間に声を掛 けて、いろいろとみんなで協力してやっていく体制をつくっているんですが、その中で杉山先生のところの臨床の報告がちょっとありまして、刑事罰を受けた親が、本来だっ たら来そうにない加害者が治療に来たというような、これは余り大きい声では言えないのかもしれませんけれども、そういうふうなデータがありまして、やはり強制力は重要 だろうというふうに感じられているみたいで、私は何らかの形で、例えば私など本来は親権の停止をして、親権を停止するというのは子どもを親元から離しますから、親権の 実効性がなくなるので停止するんだというのがアメリカの考え方なんですが、それで停止して、その後にまた審査をする。それも裁判所が審査をするときの親の努力の一環と して、例えば、カウンセリングを受講してきたとか、あるいはカウンセラーの意見書みたいなものがあって判断されて、子どもを戻すかどうするかというような手続論という のは、私は一応はいいのではないかと思っているんですけれども、場合によっては無理だということであれば、例えば28条のさっき出口、入り口論がありましたけれども、出 口の部分の審査のときにはそういった要件が課されているとか、何らかのそういった事前策というか事後策というのかわかりませんが、ほかのオプションもあるのかなという ふうに思っています。長くなりましてすみません。 ○ 柏女委員長 ありがとうございました。 ほかには何かございましょうか。 ○ 奥山委員 非常に近い意見になるかと思うんですけれども、あらかじめきっとこういう意見が出るだろうというので、それを1点お話ししたいと思うんですが、大抵こういう話が出る と受け皿がないではないかと。では、そのカウンセリングをやるところがあるのかとか、先ほども出ましたそういう手法があるのかという話が必ず出てくるんですけれど も、逆に、さっき津崎委員がおっしゃったような仕組みができることによって、やはりそういうリソースをつくらなければいけないという方向に働くと思うんです。ですか ら、リソースがないからできないというのは多分議論が逆転すると思うので、そこはきっと出てくる意見だと思うので、あらかじめそこは押さえておきたいと思います。 ○ 川名委員 西澤さんの意見に賛成してなんですけれども、私もアメリカに行って取材した経験から、やはり親が変わっていけるのを援助する仕組みというのをきちんと保障しないと、 例えば、ようやく今虐待で親が処罰される、かなり重い罰を受けるケースが増えてきたんですが、これは懲罰ですから罰を受けて出てきても、その人が本当に親としてやって いけるかどうかという保証はないわけですね。自助グループなどがあって細々とやっているんですが、やはりこれはきちんとプログラムを保障して、本当に変わっていけるよ うに支援する、それなしには難しいのではないかと思います。そのことは是非、提言に盛り込んでいければというふうに思っています。 仕組みができれば、民間の人もそういう意欲、活動したいと思っている人もいるので、きっと需要ができれば供給体制も整うようなことになっていくのではないかと思い ます。 ○ 才村委員 この問題は非常に大事な問題だと思うんですけれども、非常に時間の掛かる問題ではないかと思うんです。特に、司法制度の問題にもなりますし、片や運用の問題でもある わけですよね。ですから、例えば、児童相談所が現実問題そういう保護者のケアに取り組もうとして、何がネックになってカウンセリングがうまくいかないのかという、そこ の実情把握も十分できていないんですね。ですから、まず基本的に運用の中で何とかできないかというのが1つのアプローチであって、そこを分析する中で、どうしても法制 度のここがネックになっているということであれば、そこの法制度の在り方を次の段階として検討していく必要があるのではないか。そういうふうに考えると、今実際に何が ネックになっているか、運用でどこまで改善、工夫の余地があるのか、また、いかな努力をもってしても法制度の壁にぶつかってうまくいかない、その辺の実情把握すらまだ 十分できていないと思うんです。ですから、まず、その辺の実情把握もする必要がありますし、更に、司法の関与ということになるといろいろな法律も絡んできますので、な かなかすぐに結論は出ないだろうと思うんです。 いずれにしても、どっちみち早急にこの専門委員会の中で方向を出せということであれば、私は非常に悲観的な考え方をしておりまして、そう簡単に方向性は出てこないの ではないか。むしろお願いしたいのは、これは非常に大事な問題なので、どこかで今後引き続き検討していく筋道だけは、何とか残しておいていただきたいなというふうに 思っております。ちょっとわかりにくい話でしたけれども。 ○ 西澤委員 わかりにくいので、わかる部分だけで反論しようと思うんですが、1つは、才村さんがおっしゃることはわかるんですけれども、私は基本的な方向性はここで出して行くべ きだと思います。それが具体的に実現に時間が掛かる、掛からない、それは十分わかりますし、例えば、司法までいじるとなると大変な時間が掛かるということは当然です が、基本的な方向性は絞り込んで出したいと思います。例えば、今の話の中でも、児童相談所で親のケアができないというのは何がネックになっているのかわからないという ふうにおっしゃいました。だから、実情を把握しなければいけないということなんですが、今まで実情把握に何年掛けてきたかというと、10年、20年掛かっているわけですよ ね。いまだに現状把握というレベルにとどまっているので、それはいかんだろうというふうに私は思っています。 実際は、こんなに件数が増えてきたから、児相で親のケアは当然できないということはすぐ出てくるわけですけれども、例えば、通報が1,000件だったころに親のケアがう まくいっていたかというと、これもいっていなかったわけですから、そういう意味では、その当時のことを振り返って考えてみることによって、何がネックになっているか というのもわかるはずですし、また、もう一つは、今の論調の中では必ずしも児童相談所がそれをやるということは規定事実ではないわけですから、それはまた別のことも考 えられると思うので、今はそういった親のケアを促進するための、例えば制度をこういうふうに出しましょうという形で絞り込む方がいいのではないかと思っております。す みません、私もわかりにくい言い方です。 ○ 柏女委員長 才村委員、重ねて何か御意見ありますか。 ○ 才村委員 ですから、何も制度改正すべきでないというふうには言っていないです。ただ、余りにもデータが少ないのではないかと。近々うちの研究所の方で特にケアの実態、何が ネックになってうまくいかないのかという辺りの調査もやることになっていまして、それはそれで把握していきたいというふうには思っているんです。 一番懸念するのは、この専門委員会が非常に期限が限れているから、したがって、例えば司法関与の問題というところで、もう時間がないからそこで落着という形を出され ると非常にまずいのかなと。したがって、今後特に時間の掛かる課題については、引き続き検討していく必要があるというところだけは、きちんと明確に確認しておきたいな というふうに思います。そういう趣旨であります。 ○ 加賀美委員 お2人のお話は全く同じ視点で語られていたというふうに私は理解しているんです。つまりは、ジャーナルなものの言い方をして申し訳ないですが、私が申し上げるより川 名委員辺りに言っていただいた方がいい話なのかもしれませんけれども、今の日本の社会の中での子どものマルトリートメントの一般化というのは、少子化の中で日本の未来 を暗くするというか、そういう状況にあるということを思うときに、虐待防止法の見直しというのを1つの契機として、司法、福祉他あらゆる分野を超えた議論をきちんとし ておく時だと思います。それをする時期だと思いますので、いろいろな制限があるということを前提にしながら話をしていくのではなくて、そういった意味で出すべきことは きちんと出して、今の課題は何なのかということは一応議論しておく必要がある、そういう時期だと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○ 柏女委員長 第1回目の委員会のときに、検討チームあるいは専門委員会での議論の進め方ということでお話をさせていただきましたが、ここでの議論というのは、当面やらなければい けないこと、今、才村委員もおっしゃったように、今すぐ目の前にいる子どもたちのために改善しなければいけないことと、それから、中・長期的な検討の課題として示して おかなければいけないこと、それらを分けていきながら検討していきたいというふうに思います。基本的なところが合意できないからオール・オア・ナッシングで何もできな いという形にだけはしたくないと思いますし、それから、将来的な方向として今は難しいかもしれないけれども、検討の必要性はあるんだというようなことはしておきたいと 思っています。 ○ 奥山委員 先ほどの才村委員の御発言を受けて、2つ違った方向で意見があるんですけれども。1つは、全体のところでお話を出したいと思っていた問題です。時代はどんどん変わっ ていきますし、今私たちがここで話していて、短期的な目標で行うことがすべていい形になるとは限らないわけです。ですから、立法や行政に関して虐待対策を検討する常設 の検討委員会というのをやはりどこかに置くべきだろうと思います。親権の問題だけでなくて、虐待問題全般に関してきちんと議論を定期的にしていく、それから、見張りも していくといいますか、新しくつくられた制度がうまくいっているのかどうかということをきちんと把握していく機関というのを置く。機関といいますか、少なくとも会議と して置くということが必要だろうと思います。 それは1つ横へ置いておきまして、先ほどの議論に戻りますと、先ほど来出てきているのは、親性の回復を提供してもできない親たちに対しての強制力をどうするかという 問題が1つ。それは非常に大きな問題なんですけれども、逆に、私自身は、もう少し親に対してのサービスをきちんとやりなさいというところも明確にした方がいいだろう と。つまり、今確かに虐待防止法に親への支援をしなさいと書いてあるんですが、必ずしもきちんとできている状態とは思えないんですね。ですから、児童相談所あるいは児 童相談所が無理ならばどこかに委託する形という委託する制度も含めて、それをきちんとやりなさいというところも1つ押さえなければいけないことではないかと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 かなりここで議論を取っておりますので、柳田委員は40分まででしたよね。どうぞ。 ○ 柳田委員 徹底的に議論するということはやらなければならないことですが、この問題は緊急を要することでございまして、例えばいつまでに結論を出しなさいという問題ではないわ けです。今この瞬間にも虐待は行われているわけです。ですから、先ほどから出ておりますように、やはり当面取り組むべき中長期的課題、それから、今後徹底的に継続して 議論していくべき課題を少し分けて考えていただいて、こういうことにまず取り組めというような方向性を出していただくといいのかなと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 それでは、吉田委員で、一応この議論の締めくくりをしたいと思います。 ○ 吉田委員 私は先ほどの才村委員の意見、また、柏女委員長のまとめに賛成でありまして、早急に結論を出すには課題が大き過ぎる部分があるだろうと思うんです。虐待についてこの 福祉分野、また、保健医療分野でできるところは何だろうかということを当面考えたいということが1つ。 あと、こうした親の権利制限を伴うような事柄について、言わば行政サイドとして親の権利を決定的に制限するというのは本来の職務ではないわけで、ドイツの例などを見 れば、そうした権利の制限や剥奪については、やはり司法判断ということになってくるわけです。したがって、そちらの部分の大きさを考えると、軽々に行政判断でやるとい うことは、むしろ虐待の問題から親権の問題を突出させることになるので、もっと深めた議論が必要だろうということが1つ。 それから、もう一つは、先ほどの才村委員の話を受けてですけれども、運用の実情がどうなっているのかという点で私も気になっています。親に対する指導をしていくとき に法的な制度を視野に入れた運用が行われているのだろうかと。例えば、民法的な視点で言いますと、親に対して指導し、その治療等を動機付けるというときには幾つかの段 階があると思うんです。例えば、親が同意しないときには28条の申立をする。それでもなおかつ親が強行に引き取りに来るという場合には、親権喪失というのが考えられるだ ろう。更に、子どもにとって決定的に親から切り離すというときには、特別養子という制度もあるだろう。更に言うと、親の動機付けの手段としては犯罪として処罰するとい うこともあるだろうと。こういう制度を視野に入れた今の児童相談所の運用というのがなされているかどうか、ここは是非検証していただきたい。つまり、現在の制度を十分 に使い切っているかどうかですね。 他方で、現在の制度の欠点というのは、今の段階でわかっている部分もあるわけです。例えば、先ほどお話があったように、オール・オア・ナッシングの制度にかなり近 い部分がある。また、反対に28条のような制度では、どこまで制限されるのかはっきりしていない。虐待防止法で面会通信が制限されているけれども、それ以外の医療の部分 とか引取りがどうなのか明確にされていない部分がある。更に、時間的な制限もないということです。そういう制度的な欠点があるということは、あらかじめ現在の段階でも わかっている。それを更に乗り越えていくための運用はどうなのかということは検証していく必要があるだろうということで、かなり私も気を長くこの問題はやっていく必要 があるだろうと思います。今後の課題として、ほかの土俵で議論するということも視野に入れておいていいだろうと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。第3番目の方でもこの関係は見ていきますし、先ほど青木委員からの御質問で、この問題をどこで扱うのかという意見がございましたので、それも 含めながら御意見をいただければと思います。 ○ 青木委員 当面の課題と将来の課題を分けてというような御意見につきましては、私も基本的には同感でございます。やはりまず、現行制度の枠内の運用でどこまでいろいろな問題が 解決可能なのかというところもきっちり検証が必要だろうと思いますので、いろいろな視点からの議論が必要だろうと思っております。 私の方からは、先ほど津崎委員から出た親権の制度そのものについての問題意識等との関係で、若干説明をしておいた方がよろしいかなという点について、述べたいと思い ます。 家庭裁判所で扱う児童虐待関係の事件は、何度も申し上げているんですが、大きく分けますと典型的な事件としては親権喪失宣告事件、もう一つが、児童福祉法28条の承認 申請事件、この2つでございます。そこで、親権喪失宣告事件なんですが、これは意外に見落としがちなんですが、失権宣告の取消という制度があります。民法834条では親 権喪失の宣告ということを定めているんですが、836条で、つまり喪失原因が止んだときには家裁が失権宣告を取り消すこと、すなわち、親権を回復することができるという 仕組みがあります。そういう意味では、親性の回復という話がございましたけれども、虐待親がどの程度期間を要し、どのような努力あるいは支援によって回復するかわかり ませんが、回復後には親権を回復する手だてがあると、現行の制度でもそういう仕組みになっているということでございます。 次に、もう一つの流れとして、児童福祉法28条の承認申請の方でございますけれども、家庭裁判所は親が施設入所に同意しないときに、行政機関である児相が入所させる 措置について承認するだけという枠組みになっていて、一時保護の一番最初の入り口と、それから、承認後の入所後の措置解除の出口、この入り口と出口は、いずれも行政 機関である児童相談所の判断を尊重する仕組みになっています。ですから、そこへの司法的関与の必要性という点につきましては、一時保護のスタートの入り口と措置解除の 出口と、そういう流れで考えた場合に、例えば、児相の実務としてそれをどちらも司法的なチェックの必要があるとお考えなのかどうかとか、この辺も含めまして更に議論を 深めていく必要があろうかと思います。 親権という大きな制度を議論する場合に、第2グループと第3グループにまたがって、両方で議論するというのも勿論1つの方法だろうと思いますが、法律的な議論は第 2グループの方に基本的な重点を置いていただいて、第2グループの委員がそこを中心的に検討するということの方が、私としては望ましいようには思います。 以上です。 ○ 柏女委員長 ありがとうございました。 この議論は、非常に大事なことですけれども、ここで議論をしておりますと保護・支援チームの検討ができなくなってしまいますので、ここで出た御議論をまた第2の早期 発見・早期対応チームの方にお持ち帰りいただきまして、再び御検討をお願いしたいと思います。 今、青木委員の方から御提案がございましたが、第3グループの保護・支援チームで検討の課題になっている親権関係の問題については、第2グループで一括して検討する ような方向でどうだろうかということが意見としてあったわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。松原委員、よろしいですか。 ○ 松原副委員長 議論は多分、これから例えば入所中の親のケアといったときに、引き取り要求に対してどう対応するかということで出ざるは得ないと思います。ただ、今日の全体のお話を 伺っていて、そのことに特化するということでもないですし、長期的な課題については課題として提案していく道というのも確認されましたので、どういうふうな形で考えて いくかということについては第2の方でお願いをして、私たちは議論はそこへ行くかもしれませんけれども、もう少し実態的なサービスの中身みたいなことを中心的に議論さ せていただければいいと。ただ、やっていけば出るということについては、ここで御承知おきいただきたいところはあります。 ○ 西澤委員 別にそれが困るというわけではないんですが、ただ、現場で一番苦労している連中がそこの議論に加わらないというのは、別に信頼していないわけではないですけれども、 そもそも法律議論だけになられるとちょっとしんどいなというのがあるので、それだったら、その会に参加しろというような形で意見をくみ上げていただくみたいな話になろ うかと思うんですが、そういった道を残しておいていただければと思います。 ○ 柏女委員長 当然どなたでもそれぞれのチームに御参加いただいていいという形にさせていただいておりますので、是非そういう形では御参加をお願いできればと思います。 それでは、お待たせをいたしました、保護・支援チームの御議論に移らせていただきたいと思います。決して侮っていたわけではございません。十分な議論をお願いしたい と思います。 ○ 加賀美委員 3つのチームが集まった場でして、先ほど来アセスメントの問題が出ております。アセスメントの問題の中でも、特にリスクアセスメントのことが課題としてあって、その 初期段階での対応の道筋そのものも、まだ明確になっていないというのが現状ではないかと。まず、そのことと、それから、その後、私どもの第3グループが一番関心を持っ ておるところの社会的養護の流れを占う、まさにアセスメントの問題が実は非常に弱いというのが現状だというのは、先ほど報告の中にもあったとおりでございます。そこを 皆さんで社会的システムとしてのアセスメントの問題をどうするのかということを議論しておいていただきたいと思います。 ○ 柏女委員長 ほかにはございますでしょうか。 ○ 川名委員 子どもたちに対する保護で、この報告ですと今の養護施設の在り方、それから、もっと里親などを活用すればいいのではないかという提言をしていただいていて、これは本 当に大賛成で、強くはっきりとそういう方向を打ち出していければいいなと思っています。日本の子どもの保護の仕方というのは、先進国の中でもすごく特異な形で、こうい う施設に収容というような考えに近い形で、今ちょうどいい報告書がタイミングよく出て、これはまだちゃんと読んでいないんですが、ぱっと見ると、100人を超えるような 規模のものもまだありますね。学校で集団生活を送って、また戻ってきて集団生活というような在り方でいいのかどうか。 また、戦災孤児を保護する、当時はとにかく食べ物、暖かい寝床というようなことで始まったと思うんですが、入っている子どもたちの実情がすっかり変わってきているわ けですから、是非施設から地域でケアしていくという方向をきちんと出していければと思います。 そのために、里親をもっと応援したいですね。なかなか登録も増えませんし、実際に子どもを引き取るということも少しずつ数字が低下しています。専門里親という制度が このほどできて、虐待された子どもたちなどにきちんと対応できるように特別な里親を設けるようなことですが、そうではなくて、やはり全体の里親をもっと支援して、そち らの方に子どもたちが移っていけるような仕組みを是非つくっていければいいなと思っています。 ○ 高橋委員 施設に対するいろいろ御批判も今社会的にあるわけですけれども、今の日本の歴史の中では、里親養護を中心に切り替える本来は時期があったんですね。昭和30年代、いわ ゆる戦災孤児等の養育がひと段落したときに一つの時期があったわけですが、その後それを施設養護中心というのが施策としては定着されたわけです。 今日の日本の状況を見ていても、里親養護に対するいわゆる養子縁組を前提とする里親さんが多いという実情の中で、これを養育里親に変えていく必要があると思うんで す。東京では早くから、もう30年前になりますけれども、養育家庭制度というのを独自に打ち出して、里親の開拓などを施設にセンターを置いてやるような、いわゆる地域に できるだけ近いところで開拓しようという仕組みの中でやってきて、一定の目的を果たしたというふうに考えて現在、児童相談所にそれがまた引き継がれていますけれども、 実際に施設が養育してきたということは事実としてあるわけです。 今、虐待の子どもたちを施設が見ていく中に、施設が専門性を高めれば高めるほど地域のとのギャップが出てきている。つまり、子どもが集まるような学校の中で施設の子 どもが起こす行為を、いわゆる一般の地域の親御さんたちが非常に異常な行為としてとらえると同時に、その異常な行為に対して施設のスタッフがどう見ているのか。ああい うことをしたら、引っぱたけばいいというような養育上のギャップがあるわけです。そんな中に施設がまた孤立し出してきている。これは里親になれば、更に個人で地域のリ スクを負っていかなければならないわけですから、当然支援体制というのが必要になってくるのだろうと思うんです。そういう意味で、こういう施設のいわゆる機能を変革し ていく中に、里親養育も更に拡大していく必要もありますし、施設を小規模にしていく中にリスクを少なくしていくという方法もあるのだろうと思います。これが今、施設関 係の方で検討されている事項もあろうと思います。でも、この施設とのギャップを変えるには、やはり地域を変えていかなければならないですね。いわゆる、コミュニティ、 ファミリー・ソーシャルワークとしての視点から、一定のエリアというものを考えながら子育ての環境を整えていくことが必要になるのではないだろうか。やはり広域の中で ものを考えていても、具体的な子どもに対しての理解というのはなされていないわけですから、そういう地域づくりの環境をどう公益機関がとらえながらネットワークを組ん でいくかというのが非常に重要で、個々の子どもたちの問題をだれが見るのかというところに行くのではないだろうかと。現に、里親家庭の中でもいろいろな問題を抱えてお られて、相談する場所がなくて困っておられる。養子縁組をされても、縁組して法的に手が切れた後も苦労されている方々も相当いるわけです。そんなことを考えますと、新 しい体系というのが早急に見直しとして必要なのではないかと思います。 ○ 奥山委員 時間がかなり押してきているので、先ほどの加賀美先生がおっしゃった部分で、多分リスクアセスメントというのは予防と早期発見のところにかかわるリスクアセスメント であって、もう一つ、虐待があったかどうかのアセスメントに関しては、やはり早期発見・早期対応のところでやっていただくと。調査とかそういうものですね。第3にその 子どもにとってどういう治療・ケアが必要かというアセスメントは今度、2番と3番のところにかかわってくる問題なわけです。今、特に2番と3番にかかわるどういう治療 ・ケアが必要かというのは、現時点では少なくとも児童相談所がそのアセスメントをして、いろいろな施設にお願いしているというのが現状なはずなんですけれども、それも 含めて第3のグループで主として話し合うということでよろしいのか、それともやはりそこは第2でやりたいというのか、その辺をはっきりしておいていただいた方がいいと 思います。 ○ 柏女委員長 今の御意見についてはいかがでしょうか。 ○ 津崎委員 アセスメントは2番のところにもかかわってくるわけですが、アセスメントだけが独立してあるというよりは、次の処遇への最初のステップのような気がしますので、でき れば処遇の一連の絡みの中で、第3グループで主にやっていただく方が、一貫性が持てるような気がしますけれども。 ○ 柏女委員長 という御意見ですが、アセスメント関係については第3グループ……。 ○ 西澤委員 事実、いろいろ階層性のことを考えていくと、アセスメントはアセスメントとして1つ貫くものがあった方がいいと思いますし、リスクアセスメントとちょっと違いますか ら。個別のアセスメントだし、家族のアセスメントだから。そういう意味では、例えば、こちらの方で虐待を受けた子どもを在宅でいくのか、分離でいくのかといったよう なことを含めてのアセスメント、あるいはその後の子どもや家族のケアの方針を出していくというアセスメントと、更にちょっと考えているのは、より高度なケア、精神科医 療だったり、心理でもインテンシブなケアを必要とするような、そういった子どもをちゃんとスクリーニングできるような、そういうアセスメントといった3段階構造だと 思うんですけれども、そのうちのシントに据えて第3グループでやっていくということになるだろうと思います。それをやるということはつまり、そういうふうな子どもたち に応じたケアの体制をつくっていくと。だから、アセスメントの根幹が決まるということは、ケア体制の根幹が決まってくるのだろうなというふうに思っています。 ○ 柏女委員長 それでは、そういう方向で第3グループの保護・支援チームを中心として御議論いただき、また早期発見・早期対応チームあるいは発生予防チームの方も御意見を出してい ただくという形にしたいと思います。 ○ 吉田委員 アセスメントとは別のことなんですけれども、課題の多い中で第3チームにお願いなんですが、11ページのところに「家族の再統合のためのプログラム開発」というのがあ りますけれども、確かに家庭復帰というのは大事な問題で、これは是非検討していただきたいと思うんです。施設関係で言えば、家庭復帰できない子どもです。ケースの内容 から見ても難しくなってくるという子どもについては、自立ということを考えなければいけないわけで、そうした虐待を受けた子どもが自立していくというプログラムなり、 また、その支援体制なりということは、とても大きな課題だろうと思っています。このプリントの中にそれが落ちているというのは、ちょっと気掛かりになりますので、その 仕組みも含めて自立のことを是非考えていただきたい。ですから、当然その中では、いわゆる自立援助ホームの在り方ないしその整備ということも視野に入れた議論をしてい ただければなと思っています。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。 ○ 高橋委員 今の吉田委員のお話を受けてなんですが、被虐待児として入所した子どもたちの自立というのは非常に困難になってきています。ですから、児童福祉法上20歳未満とういう ことでありますけれども、施設の退所年齢になってくる子どもたちの分離不安というものが、非常に統計的にも数が出てきているということを考えると、やはり児童福祉法 上、自立の年齢というものをもう一度検討し直す必要があるし、また、家族の支援を受けられないであろう子どもたちについては、やはり支援員的な、いわゆる社会に出ても パートナーが法的にきちんと位置付けられるような、障害の方では既にそういう仕組みができていますが、そういうふうなことも考える必要があるのではないだろうかと思い ます。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 もう1〜2御意見をお願いします。 ○ 加賀美委員 今の一連のお話とも関連があるところです。自立の問題も、それから、この虐待防止法見直しの委員会の条文の第1条に、子どもの権利という文言を明確にうたうべきであ るというようなお話も出ておりましたが、そういった視点から、それをきちんと社会的に担保するという意味での未成年後見制度についても是非議論をしていきたいと思って います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 松原委員、いかがですか。 ○ 松原副委員長 全体にかかわることですので。もし第3であれば。 ○ 柏女委員長 第3関係で何かございますでしょうか。 ○ 西澤委員 さっき高橋委員の方から言われたことと関係するんですが、実はこの第3のところで全然視野に入っていなかったのが、学校との関係なんですね。要するに、今の児童養護 施設というのは、かつての情短施設と言ってもいいほどの情緒的な混乱を持った子どもたちが学校でえらい問題を起こす。だから、学校に行けなくなってしまうんです。そう いった子どもたちの教育権の保障というのはケアの枠組みで考えるんだけれども、それは文部科学省マターでもあるし、そこのところをどういうふうな形で教育的なケアをし ていったらいいのかというのは、第3班の課題かなと思ったので、ちょっと指摘させていただきました。 ○ 津崎委員 今の発言とも関連するんですが、実は今日、配付していただきました緑色の冊子ですが、都市部の特に被虐待児が相当たくさん入る施設での具体的な実態の中身ということ を1つは明らかにするという目的でした調査なんです。これを見て、具体的な各問題に対するいろいろコメントがある部分などもお目通しいただければと思うんですが、すさ まじい状況ですね。これだけの子どもが児童養護施設に入っていれば、ケアできないのではないかという実感を得るような資料でございます。今、児童養護施設がむしろ地域 に対してどういう役割を果たすかとか、児童養護施設が外部に対して更にいろいろ機能を持って、そこの施設の機能拡充ばかりが目につくわけですが、こういう実態を踏まえ たときに、施設が施設だけで独自に成り立たないといいますか、そういう運営そのものができない状態にあるのだろうというような気がするんです。そうすると、施設を支え るための例えば医療機関サイドのバックアップがどういう形でできるのかとか、あるいは教育サイドのバックアップがどうできるのかとか、他の福祉機関のバックアップがど うできるのかとか、いわゆる施設を孤立させないためのサポートシステムづくりということも視野に入れた形で取り組まないと、中だけの問題として処理しても、なかなか問 題の解消につながらないのではないかというふうに私自身は実感していますので、その辺の部分についての論議も深めていただければと思います。 ○ 高橋委員 時間もありません。今、津崎委員が呼び水をくださいましたので、実は今、都市部の施設では、本当に今日、明日をどうするかという問題がどこの施設でも直面している課 題としてあります。私の施設でも今、職員が毎日学校へ見張り役で行くわけです。でも、そこでは手を出せないわけですが、それはなぜかというと、地域の親御さんたちが 施設の子どもによって何らかの行為をされたときに、その施設の子どもを排除しようという作用すら起こってきているんです。そうすると、その子のための教育権を保障しよ うという校長等の配慮からすれば、それは学校の責任だと言われますけれども、地域から施設が違う評価を受けるとなるとすれば、今度はその子ども自身の教育権を考える と、施設としては学校へも出したい、地域の支持も受けたい、そして更に、その子自身が排除されるとすれば、今度はもう一度引き揚げて施設の中に通教的なものを用意する とか、派遣教員等の教育的な配慮を用意してでも、その子の問題を考えようというふうに今なりつつあるわけです。ですから、もう一方が、学校の垣根がなくなっていくとい う選択性が取られるとなると、施設のある学区の父兄の方たちは、他の学区へ自分の子どもを移転させようという発想も出てきている、施設としては非常にそういうおそれを 持っているのが現実の問題としてあるわけです。ですから、非常に専門性を高めるという意味ではプログラムの問題もありますし、施設から地域へより社会化していこうとし たときに、子どもを介してまた違う評価を受けてしまうというような状況があるということを御報告しておきたいと思います。 ○ 柏女委員長 それでは、奥山委員で最後にしたいと思います。 ○ 奥山委員 最後に1つ意見があります。第3グループにできれば法律の方も来てほしいと思う1つの理由なのですけれども。津崎先生の資料をみても、すごいなと思いますね。さっき 津崎先生がおっしゃったとおりなんですが、例えば、投薬をしようとしたときに28条で保護されている子どもに関しては、親権は親にあるのだから親の許可を得ないと投薬は できないと言っているところもあるんです。28条で入れたときあるいは同意で入れたときに、医療行為として一体どこまで許されるのかということも、聞くところによってか なり違ってきてしまって、全く治療ができないような状態というのもありますので、そういう意味でも、親権のどこまでというのは、かなりケアにもかかわる問題だというこ とはわかっておいていただきたいと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 議論も非常に活発で、このままだと時間がいつまで掛かってしまうかわからないんですけれども、第3グループについては今いただいた御意見を基に、再度、前回議論でき なかった部分を含めて御検討いただくということで、基本方向の確認はさせていただくということでよろしゅうございましょうか。 それでは、今、第1、第2、第3のチームそれぞれ御議論をしてきたわけですけれども、全体にわたって御意見がございましたらお願いしたいと思います。 私の方から1つだけなんですが、先ほど来1、2、3のグループで地域の問題が非常に出ておりました。それについてどこで議論するのかということが出ておりましたが、 地域、特に市町村の役割強化については、それぞれの分野で違うと思いますので、市町村の役割機能の強化、子育て支援あるいは虐待に対するものについては、それぞれのグ ループで是非御検討いただければと思います。これが全体にまたがることで1つです。 ○ 松原副委員長 私も全体にかかわることなんですが、先ほど実態把握の必要性が言われて、かなりやってきているものということもあって、研究者としてその辺は反省しているところも あるんですが、是非それぞれのグループの中で、まさにオール・オア・ナッシングではなくて、できる部分で結構です、少しアクション・プログラムみたいな、何かやってみ てそれについて成果を確かめていくというような、何かとにかく大枠掛けてばっとやらないとできないよというようなことではなくて、こんなことをアクション・プログラム としてやってみて、その成果を次へ生かしていくというような提言も可能なところでしていただきたいと思います。提案をしても後が進まないというのではなくて、何かやっ てみてそれを確かめるというようなことも必要かなと思いますので、「施策」と言うと大きく考えがちですが、何かそういうプロジェクトみたいなものを考えられたらなとい うのが私のコメントです。 ○ 奥山委員 全体の問題なんですけれども、先ほど1つ、常設の検討会議という問題をお話しさせていただいたんですが、もう一つは、きちんとした全国統計をどうやって取っていくか ということも全体としては大きな問題だろうと思うんです。アメリカの虐待防止の制度の一番先にあったのは、通告の義務化ということと統計をきちんと取る機関の常設とい うことだったわけです。今、相談数がすごく伸びているというのがありますけれども、統計の取り方としては非常にあいまいな統計ですし、もう少しいろいろなほかのデータ ベースも含めて、いわゆる虐待に関するデータベースづくりというのをどうするかということも1つ大きな問題かと思います。 ○ 柏女委員長 ありがとうございます。 今、奥山委員の方からも御発言がありましたが、いずれこの議論は各チームで検討した後に、また専門委員会の方で議論をしながら進めていくことになりますので、是非、 今の常設委員会の設置ですとか、あるいは全国統計をきちんと取れるような仕組みを国の方でつくるとか、そういうようなことも提言の中には盛り込んでいければというふう に考えております。 ちょっと時間が来てしまいましたけれども、今日は、また関係省庁の方からオブザーバーでおいでいただいておりますが、何かございましたら御発言をお願いできればと思 います。よろしいでしょうか。 それでは、今日は、最初から最後まで渡辺審議官にずっとこの議論を伺っていただいておりますので、渡辺審議官の方から一言ごあいさつをお願いいたします。 ○ 渡辺審議官 座ったままで失礼いたします。 今日は、大変御熱心な、非常に積極的な御討議をいただいて感謝の言葉もありません。加えて、振り返れば年末年始というお忙しい時期に各検討チームを開催させて頂い た際にも熱心に御討議いただいて、今日のこの資料にまで持ってきていただき、その上で更に冒頭申しましたように、活発な御討議をいただいたことについて深くお礼を申し 上げます。 事態の深刻さということについては、皆様方共通の認識を共有しておられると強く信じておりますし、できることとできないことはもとよりあろうと思いますけれども、ま だまだ熱心に御討議いただくフェーズではないのかなと思っております。今まで整理できなかったところをもう少し整理していくという皆さんの気構えが非常に強いと思いま すので、大変心強く思っております。 なお、同時並行でございますが、今、国会に地域の子育て支援の力を再生するというねらいを大きく持ちまして、ここの議論に比べれば総体的あるいは普遍的、一般的な議 論になりますけれども、都道府県、市町村あるいは働き方改革も絡みますので職場等、全体を通じての次世代支援育成のための行動計画づくりというものを立法の形で義務付 けていこうと考えており、与党と調整中でございます。そういうことが船出をしていきますと、その地域の子育て支援の力というのが試されるのがこうした児童虐待などの フィールドになってくる。また、今日、マルトリートメントの議論もありましたけれども、親の子育て不安という大きな広がりも大変深刻なものだと思っておりますので、こ こでの議論が更にそうした面に対してもまたプラスに働いていく、そういったようなことも期待しながら今日は聞かせていただきましたし、また、これからの議論をお願いし たいと思っている次第です。どうもありがとうございました。 ○ 柏女委員長 ありがとうございました。 今日は9時45分から非常に活発な御議論をいただきました。今、渡辺審議官の方からまだまだ議論が必要なんだ、時期だというふうなお話もいただきました。議論を積み重 ねながら一歩一歩目指して進んでいければと思いますし、それをするに当たっては他の情報、今、渡辺審議官の方から他の法案、関連する法案のお話もございましたが、それ らについても情報を適宜提供いただきながら議論を進めていければと思っております。 ○ 奥山委員 先ほどもアクション・プログラムをどうのとか、エビデンスをというような話もありました。どのくらいのタイムスケジュールになっているのかというのを明確にしていた だくと、エビデンスなどを集めるとか、そういうことに非常に役立っていくと思います。どういうプロセスでどういうタイムスケジュールでこの委員会が進んでいくのかと いう大体の目安をお教えいただきたいと思います。 ○ 柏女委員長 前回、暑くなる前ぐらいに提言をまとめられればということでお話がありましたけれども、事務局の方で具体的なタイムスケジュールということでお考えになっていらっ しゃることはありますでしょうか。 ○ 古川虐待防止対策室長 各検討チームでの議論の進行具合にも濃淡がありますので、明示的にはっきりとここで申し上げることはできませんけれども、夏までというのを1つのめどとしております ので次回以降の日程をお聞かせ願うときに併せまして、こんなイメージで進めさせていただきたいという案を提示させていただくということにさせていただければと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○ 柏女委員長 わかりました。よろしくどうぞお願いをいたします。 それでは、今日はこれで終了させていただきたいと思います。また、この後検討チームでの議論が続くことと思いますけれども、次回またコンクリートな案が持ち寄れるこ とを期待しております。ありがとうございました。 (了) (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課 虐待防止対策室調整係 代表03−5253−1111(内線7799)