03/06/02 第4回社会保障審議会児童部会児童虐待の防止等に関する専門委員会議事録 社会保障審議会児童部会 第4回児童虐待の防止等に関する専門委員会 議事録 日時 平成15年6月2日(月)10:00〜12:30 場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) 出席議員 柏女 霊峰 淑徳大学 社会学部 社会福祉学科 教授 津崎 哲郎 大阪市中央児童相談所長 松原 康雄 明治学院大学 社会学部 社会福祉学科 教授 青木 晋 東京家庭裁判所 判事 奥山 真紀子 国立成育医療センター こころの診療部長 加賀美 尤祥 日本社会事業大学 社会福祉学部 教授 影山 秀人 横浜みらい法律事務所 弁護士 川名 紀美 朝日新聞 論説委員 才村 純 日本子ども家庭総合研究所ソーシャルワーク研究担当部長 佐藤 拓代 大阪府健康福祉部 地域保健福祉室長 田中 康雄 国立精神・神経センター精神保健研究所 児童期精神保健室長 西澤 哲 大阪大学大学院 人間科学研究科 助教授 柳田 喜美子 日本医師会 常任理事 次第 1.開会 2.意見交換 3.閉会 ○事務局 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第4回「社会保障審議会 児童部会 児童虐待の防止等に関する専門委員会」を開催させていただきます。 委員の皆様におかれましては御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうご ざいます。 なお、本日は高橋委員、山田委員、吉田委員から欠席とのお知らせを受けております。 なお、欠席の吉田委員からは事前に御意見を伺っております。 本日のお配りしている資料につきまして、御確認いただきたいと思います。 最初に「『児童虐待の防止等に関する専門委員会』報告書( 素案) 」というもの。 それから「『児童虐待の防止等に関する専門委員会』論点事項」。 そして最後に、各検討チームの協議資料がA3の横の表であります。 以上でございます。 それでは、以後の議事運営につきましては、柏女委員長にお願いいたします。よろし くお願いします。 ○柏女委員長 皆さん、おはようございます。ずっと熱心な検討を去年の12月から進めてまいりまし たけれども、今回、報告書の素案ができ上がっております。事前に各委員の皆様方に事 務局の方からお送りをしていただいておりますので、御一読いただいた上でさまざまな 御意見をお持ちの上、今日、お集まりをいただいたのではないかと思います。 今日の議事の進め方ですけれども、前回の専門委員会でこれまでの議論の内容を踏ま えて、報告書素案をとりまとめていただくことに御了解をいただいて、そして、事務局 の方で素案をとりまとめいただきました。 今日は、その報告書素案につきまして、事務局の方から御朗読をいただきまして、そ して、その後に順次御意見をいただきながらという形で進めていきたいと思いますので、 どうぞよろしくお願いをいたします。 それでは、事務局の方から報告書素案についての朗読をお願いしたいと思います。 ○古川虐待防止対策室長 では、読み上げをさせていただきます。座って失礼いたします。 「児童虐待の防止等に関する専門委員会」報告書( 素案) 1.はじめに 児童虐待への対応については、「児童虐待の防止等に関する法律」( 施行: 平成12年 11月20日。以下「児童虐待防止法」という。) の施行以来、広く国民一般の理解の向上 や関係者の意識の高まりが見られ、また、この間、様々な施策の推進が図られてる。 しかし、全国の児童相談所に寄せられる虐待の相談件数は、ここ数年の間に急増し、 最近では急増傾向は落ち着きつつあるものの、平成13年度においては約2万3千件にも 上るなど、児童虐待への対応は、依然として早急に取り組むべき社会全体の課題である。 また、「児童虐待防止法」の附則においては「児童虐待の防止等のための制度につい ては、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加 えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」と規定されている。 こうしたことから、本専門委員会においては、児童虐待に関する現行制度の実施状況 等を踏まえ、制度全般にわたる検討を加えた。 具体的な検討を進めるに当たっては、児童虐待への対応は、一般的には、●発生予防 ●早期発見・早期対応●保護・支援の3段階に整理されることから、各段階ごとに3つ の検討チームに分かれての集中的な議論を進め、これらの検討チームにおける9回の会 合を含め、○回にわたる検討を重ね、今般、当面早急に取り組むべき課題を中心に、そ の取り組みの具体的な方向性について取りまとめたものである。 2.児童虐待防止制度見直しの基本的な視点 虐待は子どもに対する重大な権利侵害であり、その防止に向けては社会全体で取り組 むべき課題との認識に立ち、児童虐待を予防し、発見から再発防止、さらには社会的自 立に至るまでの総合的な支援の手を親子に対して用意することが必要である。 それは、虐待を受けた子どもの保護や支援の充実に加え、保護者に対する支援や家族 の再統合を視野に入れたものである必要がある。 そして、そのことは、専門機関・施設のみならず、地域の幅広い支援ネットワークに よって初めて実現するのである。 児童虐待という親子間の最も深刻な事象に対応できる社会を創りあげていくことが、 すべての子どもと子育てにやさしい社会づくりにつながるとの視点を持つことが必要で ある。 3.具体的な取り組みの方向性 本専門委員会における児童虐待防止制度の見直しの検討に当たっては、別紙に示した ような幅広い論点事項について、議論、検討を重ね、早急に取り組むべき方向性につい て、以下のように整理した。 I.発生予防における取り組み 虐待は、その後の子どもの発育障害や発達遅滞、情緒面の問題、更には虐待の世代間 連鎖なども引き起こすと言われており、子どもの一生涯・更には世代を超えて大きな影 を落とすものである。 また、養育問題があるため、いったん特段に援助が必要な状態にまで至ってしまうと、 その改善は容易ではなく、相当手厚い支援を必要とすることになる。 こうしたことを考えれば、保健事業の充実や子育て支援対策の充実など保健や医療、 福祉等の連携による取り組みを通じて、できる限り、虐待の発生を未然に予防すること が極めて重要である。 しかし、現実間題として人的資源等に限りがある中でより効果的に虐待を未然に防止 していくために、専門的な支援については、これまでの「支援を望む人に幅広く」から 「支援を必要とする人によりきめ細かく」という考え方に転換していくことが必要であ る。 ●一般の子育て支援の充実 【取り組みの方向性】 日常的な育児相談や診療、学校教育、家庭等の様々な場面において、子育て支援の取 り組みを充実することにより、育児負担の軽減を図り、養育者の孤立化を防ぐことが虐 待を未然に防止していく下支えとなる取り組みとして重要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・子育て支援サービスに関する情報の周知や育児支援機関の連携の強化により、産後 まもない時期から地域全体で支えていく一般子育て支援の充実が重要 ・産後のマタニティーブルーズ等のうつ状態への対処法などについて、母子健康手帳 交付時や母親学級、プレネイタルビジット( 出産前小児保健指導) 等の機会を利用し、 適切な情報を提供 ・子育てOBなどのボランティアによる育児支援とそうした支援活動を専門的にバッ クアップするため、保育所や児童養護施設の機能を活用 【今後の課題】 ・男性の働き方の見直しや子育ては楽しいと思える希望を持てる教育の充実など、社 会全体で子育てを応援していくという意識・文化の醸成 ●虐待リスクのある家庭の把握 【取り組みの方向性】 養育者が精神的にも肉体的にも最も支援を必要とする出産後間もない時期を中心に、 母子保健事業や日常診療等の強化を図り、自ら訴え出ない、しかし実際には過重な育児 負担のある養育者が確実に支援と出会えるように積極的なアプローチを図ることが必要 である。 また、限られた社会資源の中で様々な要因をもつ虐待リスクのある家庭(育 児困難家庭)が効果的な支援に出会うためには、虐待リスクのある家庭を的確に把握し ていくことが重要であり、そのため、リスク要因が明確に把握できるアセスメント( 評 価・判断) 指標の開発が童要である。 なお、虐待リスクのある家庭を把握していくにあたっては、育児困難家庭が必ずしも 虐待につながるわけではない、という当然のことを十分に認識した上で取り組みを行っ ていくような配慮が必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・乳幼児健診等の従来の母子保健事業の中で虐待発生予防の視点を強化し、必要な支 援が必要な時に提供できるような体制整備が必要。 ・育児困難度が高いと考えられる家庭はそうでない家庭に比して相対的に虐待のリス クを抱えているという考え方があり、限られた資源の中で効率的な発生予防の活動を行 っていくには、アセスメント指標等を用いて、ある程度リスク因子を明確にしていくこ とが必要。 ・養育者が精神的にも肉体的にも最も支援を必要とする出産後間もない時期を中心に、 家庭訪間等の積極的なアプローチを図るとともに、乳幼児健診未受診者等、自ら訴え出 ない様々な背景要因をもつ養育者に対してもアプローチしていくことにより、虐待リス クを早期に把握し、必要な支援につなげていくことが必要。 また、保健師等がそうした支援活動を行いやすいよう、その根拠を明確にすることも必 要。 ・小児科等において、母子健康手帳を活用した育児に関する悩み相談を行うなど、 虐待予防を念頭においたさらなる取り組みが重要。 ●虐待リスクのある家庭のリスク低減 【取り組みの方向性】 虐待のリスクを低減していくためには、リスクの内容や程度を適切にアセスメント( 評価・判断) する指標を確立し、支援の方向性を的確に判断することが必要である。 また、保健師などの虐待発生予防に係る専門職種の資質の向上を図るとともに、市町 村の相談機能の強化、虐待予防に資する子育て支援サービスメニューの充実によるリス クの低減、グループワーク等による養育者の孤立を防ぐための専門的な支援等が重要で ある。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・市町村における子育てや虐待に関する相談機能の強化 ・保健所においては、市町村における対応事例で処遇困難な者やネットワーク会議に おけるコーディネート機能などにおいて市町村を積極的に支援する体制をとるとともに、 未熟児・精神保健相談等ですでに関わっている虐待リスクのある家庭に対しては、関係 機関の協力のもとに主体的に関与 ・地域子育て支援センターや子育てのOB、産褥ヘルパー、ショートステイ、グルー プワークの活用など虐待リスクのある家庭を支えるサービス等( 補償因子) の強化 ・虐待リスクのある家庭の様々な背景や程度をアセスメント指標等を用いて専門的に 判断し、リスク低減へ向けて濃厚な家庭訪間を行う等有効なサービスを確実に提供 ・保健師、助産師、看護師、保育士等の虐待の発生予防に関わる専門職の研修による 資質の向上 ・自ら訴え出ないが、子どもにとって問題があり、支援が必要である家摩に対する支 援の充実 【今後の課題】 ・精神保健福祉との連携強化により、子どもと養育者とを共に診ていくなど家族全体 に関わるという視点からの精神医療による予防的アプローチの充実 ●連携による支援体制の確保 【取り組みの方向性】 地域の実情に応じた支援体制の強化をはかるためには、関係機関それぞれの役割を明 確化し、さらなる取り組みを促すと共に、民間の相談機関も含めた機動力のある連携体 制を組むことが必要である。 その際、特に住民に最も身近な市町村においては、子どもに関する一義的な相談に積 極的に関わるなど、虐待の予防についての役割を強化することが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・住民に最も身近な市町村において、子どもに関する相談を積極的に実施 ・市町村における虐待防止ネットワーク体制をさらに充実し、発生予防の機能を強化 するとともに、柔軟で機動力のある地域ネットワークとの連携の推進 ・NPOなどの民間機関等との連携の強化を図り、ネットワーク間での情報の共有化 をスムーズに行うことができる体制を整備することにより、虐待への対応力を強化する とともに、ケース対応の進行管理等を行う支援体制の強化も必要 ・ファミリーサポートセンター、地域子育て支援センター、児童家庭支援センター、 保育所、男女共同参画センター等、既存の子育て相談機関等との情報の共有化等、地域 における支援体制の構築 【今後の課題】 ・地域の小児科医等における虐待予防の視点をさらに普及していくため、情報データ バンクの構築やスーパーバイザーの育成等地域に拠点を設けてバックアップ体制を強化 ・NPOなどの民間機関等の取り組みに対する専門家によるバックアップ体制の構築 などの支援、連携の強化 ●虐待を認めない社会づくり 【取り組みの方向性】 虐待を認めない社会づくりの基本として、子どもの人権尊重に対する理念の明確化や 虐待を予防するための取り組みの必要性について、広く国民に周知することが必要であ る。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・子どもの人権擁護の理念など子どもの人権尊重に対する理念を明確化 ・CAPプログラム(子どもへの暴力防止プログラム)などの子ども自身の自己防衛能 力や自信を獲得していけるような実践的な教育の推進など・教育からの積極的なアプロ ーチ ・ペアレンティング( 親業、親になること) に関する体験的な学びの機会を学校教育を 中心に積極的に推進 II.早期発見・早期対応における取り組み 虐待の早期発見・早期対応をさらに進めていくためには、その中心的機関である児童 相談所の現行の体制には限界がある・ このため、今後、児童相談所の業務の一部を市町村や他の機関に委譲することや、よ り幅広い専門職種との連携強化、児童相談所の虐待対応に璽する対応力の強化を図るた め、司法関与の仕組みについても検討するなど・児里相談所全体のあり方を見直すとと もに、それに応じた体制の確保を図っていくことが必要である さらに、児童相談所の支援を受けつつ関係機関が一体となって取り組む体制として、 市町村の果たすべき役割を明確化するとともに、市町村における虐待防止ネットワーク の設置の一層の推進を図ることが必要である。 ●対応機関の機能、システム 【取り組みの方向性】 虐待相談件数や緊急事例の急増等により、児童相談所においては、現行制度上、担う こととされている幅広い相談業務の全てに必ずしも対応しきれていない状況にあること を踏まえ、例えば、一部の業務を他の機関に委譲し、児童相談所の業務のスリム化を図 るなど児童相談所のあり方等について見直しを検討することが必要である。 また、児童相談所の機能の強化を図るため、職員の専門性の向上や医師、保健師・助 産師・看護師や弁護士等の幅広い専門職種との連携強化を図るとともに、一時保護所の あり方についても検討することが必要である。 さらに、早期発見・早期対応における地域の機関・住民の果たす役割は大きいことか ら、福祉事務所に設置されている家庭児童相談室や児童委員、とりわけ主任児童委員等 を地域の福祉の核として、積極的に活用を図るとが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・虐待対応の緊急性を踏まえ24時間・365日対応が望ましいが・現時点においては地 域の実情に応じた体制を整備 ・一時保護所における混合処遇( 被虐待、非行、不登校、障害児など) の改善や治療 的関わりを強化 ・児童相談所における相談業務のうち、障害相談、健全育成相談などは市町村や他機 関での役割分担が考えうる。 ・児童の診察、指導、親指導、職員へのスーパービジョン等を強化する観点から、児 童相談所における医療機能を充実 ・児童相談所の相談業務における対応の強化を図るため、スーパーバイズ機能の強化 や職員の増員が必要 ・虐待等新たなニーズに対応した心理判定員業務の見直し ・子どもの虹情報研修センター等における実践研修の実施、専門相談等の充実や介入 的ソーシャルワークの確立と普及 ・児童相談所、児童福祉司の必置規制の撤廃については、虐待対応等における児童相 談所の有する権限発動の役割や職員の質の確保等の観点からもその是非を慎重に検討す ることが必要 ・中核市における児童相談所の設置については、数が増え、住民の身近になるという メリットと、職員の専門性の確保が可能か、保護児童の入所措置にかかる広域調整が再 能かといった課題も踏まえ、検討 ・一時保護所以外の多様な保護の場の設置などシェルター機能の強化とシェルター機 関を支援する体制の整備 ・児童相談所職員の専門性の確保のため、地方自治体における福祉専門職の採用や専 門職の中途採用、希望任用や人事ローテーションなど人事管理のあり方の見直し ・児童虐待を念頭に置いた診療の充実 ・家庭児童相談室の家庭相談員の常勤化を促進 ・主任児童委員が児童虐待防止に関する活動を単独で行うことができるようにするな ど、主任児童委員の積極活用 ●虐待の早期発見・通告・早期対応のシステム(自治体とNPO、民間団体との連携等) 【取り組みの方向性】 児童相談所のあり方と併せ、市町村の役割を検討することが必要である。その際、市 町村が子育て支援に果たす役割、市町村保健センター等における保健事業の実績等も考 えあわせ、より積極的に役割を強化する方向で検討することが必要である。併せて、保 健所と市町村保健センター等における役割分担についても検討することが必要である。 とりわけ市町村におけるネットワークは、児童虐待の発生予防から自立に至るまで大 きな役割を果たしうることから、引き続きその設置を促進することが必要である。 さらに、民間団体との連携強化を図ることも必要であるが、連携を進めるに当たって は、公的機関とは異なる配慮が必要である。 なお、児童相談所のあり方や市町村の役割などについては、「児童部会」本体におい て児童相談所全体のあり方を見直す中で、当専門委員会が指摘した諸点を十分に踏まえ、 さらに検討を深めることが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・市町村ネットワークの設置促進が重要。なお、民間団体も含めた幅広い関係機関の 連携を強化するに当たってはその関係者が基本的認識を一つにした上で組織的に対応で きるよう市町村におけるコーディネート機能を明確化することが重要 ・児童家庭支援センターなど地域支援の拠点を拡充 ・在宅指導における学校との連携体制の構築 ・例えば、相談への動機がある場合は市町村で、問題意識がなく、強権的な介入が必 要な場合は児童相談所が担うなど、児童相談所と市町村との役割分担を整理 ・児童相談所における児童虐待対応業務のIT化のモデル実施状況を踏まえ、さらな る活用策を検討 ・子ども、親、家族への効果的な支援プランを作成し、実施するために必要な心理的、 社会的アセスメント手法の確立に向けた研究及び実践を推進 ・民間団体の果たす役割や自治体との連携、民間団体の育成や支援のあり方について 検討 ・通告義務の対象である「児童虐待を受けた児童」については、広く柔軟に解釈して 運用することが適当。 ・通告に関する免責及び罰則規定の整備の必要性や是非について検討 ・通告のネックになっている原因等を明らかにし、通告が促進されるような環境を整 備していくことも必要 ・複数の機関による継続的な家族支援を行うことになることから、援助に関する規定 の整備に当たっては虐待防止の観点のみならず、守秘義務、個人情報の保護との関係な どにも留意しながら検討 ●児童相談所の行政権限、裁判所の関与 【取り組みの方向性】 ○立入調査 立入調査については、立入を拒否された場合の打開策がないという課題認識を前提 と しつつ、要件を設定しうるのか、誰が執行するのか、現実的に対処できるかといっ た間 題点等を踏まえ、有効な手だてについて、引き続き、検討が必要である。 ○一時保護 一時保護制度が緊急性がある場合に発動する行政権限であることを踏まえ、人権に 十分配慮した現行制度の運用を図ることとし、制度運営に対する司法関与については、 慎重な検討が必要である。 ○親の意に反する施設入所措置( 児童福祉法第28条措置) 現行制度上、無期限措置となっている家庭裁判所の承認に基づく親の意に反する施 設入所措置については、人権保障の観点からの手続きの適正化という観点や、親が将 来の見通しを持てることで家庭復帰に向けた指導を効果的に行い易いという観点から、 家庭裁判所の承認に基づく施設入所措置は期限付きのもの( 期限付きの承認) とし、必 要に応じ、再審査をするなどの仕組みの導入に向け、内容や要件などを検討することが 必要である。 また、子どもの安全・安定等を確保する観点から、児童福祉法第28条措 置にかかる 審判前の保全処分ができるような仕組みの導入に向け、保全処分の内容や要件などを 検討することが必要である。 ○保護者への指導 保護者に対する指導のあり方については、親子がともに生活していくことを目指す 以上、現行制度の効果的な活用はもとより、司法が関与することによって、保護者指 導の動機付けや実効性を高めるための仕組みの導入は、重要な課題。 このため、司法の枠組みに適するように制度を設計することを前提に、制度導入を 検討することが必要である。 ○親権喪失 18歳以上の未成年者の親の親権喪失について、児童相談所長による申立を認めるこ とが適当である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・立入調査に関し、鍵を壊してでも確認する緊急性が認められる場合は、警察官職務 執行法で対応が可能。同法による対応が想定されない場合に果たして裁判所が命令を出 せるかについてはプライバシー保護との関係で疑問。 ・親子が一緒に住める権利を行政機関の判断のみで行うことは、「子どもの権利条約 」に反し、人権の観点から、不当に長い間分離している場合、親の意見が反映される仕 組みが必要 ・一時保護処分について、司法が審査することになれば、一時保護の緊急性が損なわ れる可能性 ・施設入所措置解除(退所、家庭復帰)に関して、一定のシステムをつくることは、保 護者に対するケア、子どもに対するケアの充実につながる。 ・入所段階で親権と子どもの福祉を比較考慮して承認している以上、一定期間後に再 度、親子分離の必要性を判断することが必要である。また、再度審査があることが、親 の改善への動機付けとなり得る。 ・児童福祉法第28条の家庭裁判所の承認に基づく施設入所措置については・期限付き のものとするとともに、親の努力目標が示されることが効果的。 ・入所措置の期限をどの程度とするか、再審査の要件をどのようにするかについては、 実例の分析等を踏まえて検討する必要がある。 ・入所措置の期限については、ある程度の年限で、一律としないと裁判所の承認にか かる要件の設定が困難である。 ・一時保護を行っているケースにおいても、親による強制引き取りなどの行動によっ て保護の安定性が確保できない実態がある。 ・児童福祉法第28条措置にかかる審判前の保全処分については、28条措置の状態を仮 に承認するような内容とするのか、多様な内容とするのか、慎重な検討が必要。 ・児童相談所としては再審査時や審判前の保全処分に関する資料を裁判所に速やかに 提出する必要があるとともに、保護者に対するプログラムを充実させる必要がある。 ・保護者指導については、児童相談所において、知事勧告といつ現行制度を視野に入 れた運用がなされているか、現行制度を十分使い切っているかどうかなど効果を見極め ることが必要。 ・裁判所が審判の理由中で親に対してカウンセリングの受講を求めることで、改善に つながることが多いという実例もある。また、児童福祉法第28条措置の承認を認めた場 合、保護者の態度は消極的ではあっても、同意するようになるといった調査もある。こ のように、保護者指導にかかる司法的関与は有効。だからといって、全ての困難ケース に第28条を適用することは不可能。 ・保護者指導にかかる司法的関与を検討するに当たっては、行政の勧告権限に対して 司法が関与する類似の立法例が見あたらないことから、司法審査にふさわしい枠組みは どのようなものがあり得るのかを検討する必要がある。 ・児童福祉法第28条措置の承認前の保全処分や期限付き承認を行うことで、実質的に は、親権の一部一時停止につながる。 ・児童相談所長による親権喪失の申立は18歳未満の児童の親についてしか認められて いない。また、18歳以上の未成年者の親の親権喪失について、親族からの申立は可能で あるが、親族が拒否する場合も多い。したがって、本人の申立権や児童相談所長による 申立権を認めることが必要。 ・児童相談所長による申立を認める場合には、子ども本人の意思が尊重、配慮される 仕組みとすることが必要。 ・施設入所中の児童の監護、教育、懲戒について、施設長がとる措置の範囲が不明確。 28条入所の場合、面会、通信の制限は規定されたが、それ以外、特に、医療行為につい ては不明確。 【今後の課題】 ・長期の引きこもりなど安全確認の必要性は高いが、緊急性が明らかでない場合など に、令状を発布してまで立ち入るということについては、どの程度の必要性があるか、 介入すべき要件、介入するための人権保障(適正手続き)など、十分な吟味が必要。 ・一時保護処分や児童福祉法第28条の家庭裁判所の承認に基づく施設入所措置に対し、 行政不服審査に加え、運営適正化委員会や地方児童福祉審議会など既存制度の活用を含 め、親が申立を行い、意見が反映されるような仕組みの整備について検討が必要。 ・一時保護制度に対する司法関与の是非については、その要件や有効性などの問題点 を含め、引き統き検討が必要。 ・親権や面会、通信の制限のあり方については、親権の範囲や一時停止と制限の差異 などに関する解釈が未整理であることなどから、条件の厳密化と併せての整理が必要で あり、現行制度の中での工夫を含め、さらに検討が必要。 ・子どもの医療ネグレクトヘの対応については、医療拒否の実態把握とともに、現行 制度の運用などについてさらに検討。 ・性的虐待を受けた子どもについては、審判プロセスが子どもに与える影響が大きい ため、司法手統上の慎重な配慮について運用上の工夫が必要。 ・児童相談所と保護者の間のトラブル、混乱を緩和し、話し合いができる仕組みとし て、緩衝的機能と支援機能を発揮できるような保護者に対する代理人制度の構築を検討。 III.保護・支援等における取りみ 児童虐待防止対策の目標は、虐待を受けた子どもが安全で安心できる生活を保障する にとどまらず、適切なケアや治療を提供することによって、子どもの心身の健全な発達 と自立を促し、さらには親への適切な指導・支援を通じた家族再統合や家族機能再生に ある。 そのためには、分離保護の場合も在宅支援の場合も可能な限り、家族の再統合 や機能の再生が望ましいとの基本的な考えの下、虐待を受けた子どものみならず、虐待 を行った親に対する治療や指導の充実など「家族」への支援という視点に立ち、十分な アセスメントと家族再統合や機能再生に向けた精度の高いプログラムの開発が必要であ る。 また、親子の分離(保護)を行った場合であっても、可能な限り家庭的な生活環境を保 障するとともに、必要に応じ、適切な治療や、自立を促していくための支援を充実して いくことが必要である。 なお、子どもの自立や家族再統合・家族機能の再生に向けた取り組みは、幅広い関係 機関の連携による長期にわたる支援が必要であり、関係職員の資質の向上やネットワー クの強化が必要である。 ●児童福祉施設、里親等の機能、システム 【取り組みの方向性】 子どもの社会的自立に向け、安全で安心した生活環境を保障するとともに、個々の状 況に応じてきめ細やかなケアと治療を可能とする規模の小さな施設や里親制度の充実、 自立援助ホームの充実等について検討していくことが必要である。併せて、それらに対 応した支援体制の確保を図っていくことも必要である。 親子分離や家族再統合などを進める場合に、親と子が置かれている状況を客観的に判 断するアセスメントツールの開発や、養育サービスの質を維持するための客観的評価の 確立が必要である。 なお、児童福祉施設の体系や里親のあり方などについては、児童部会に新たに設置さ れた「社会的養護のあり方に関する専門委員会」において、当専門委員会が指摘した諸 点を十分に踏まえ、さらに検討を深めることが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・できる限り、個々の状況に応じた支援を行っていくため、施設の小規模化や里親制度 の充実を基本にしながら、そのあり方を考えていくことが必要。 ・小規模施設の整備に当たっては、施設を小規模化する誘導策や里親型の小規模施設 の運営の促進など多様な手法を検討。 ・虐待を受けた子どもの多くは、安全な「生活」はもとより、精神面における治療的 な支援が必要であり、生活と治療の両側面の充実が必要。 ・子どもに最適の社会的養護を提供するために、子どものニードを図る的確なアセス メントが必要。 ・児童家庭支援センターを核にした児童福祉施設による地域支援のあり方などについ て検討が必要。 ・ケアの連続性の観点などから、乳児院と児童養護施設の関係についての検討が必要。 ・施設の満杯状態への早急な対応が必要。 ・家庭復帰できない18,19 歳の子どもが自立していくためのプログラム及びその支援 体制について、自立援助ホームの整備・充実や年齢延長といった点なども視野に入れ検 討していくことが必要。 ・子どもの自立年齢は上昇していることを踏まえ、社会生活の中で個別に対応する仕 組みを、NPOなどの活用も視野に入れた検討が必要。 ・里親が普及しない根本的な原因を究明し、その対策を講ずることが必要。 ・レスパイトやケアワークを含め、施設が里親を支援するなど里親に対する抜本的な バツクアツプ体制の強化が必要。 ・里親・施設・児童相談所が一体となった柔軟な取り組みが必要。 ・施設内虐待を防止する体制など施設内での子どもの行動上の間題に対応する体制が 必要。 ・施設で暮らす子どもの権利を擁護する仕組みをより実効性のあるものとすることが 必要。 ・施設等の客観的な評価を進める評価者の養成が必要。 ・児童福祉法28条に基づく入所にあっては、その期間を定めることも有用。 【今後の課題】 ・子どものケア内容に応じた措置費体系の見直しや児童福祉施設最低基準の改善につ いて検討が必要。 ・虐待を受けた子どもへのケアと治療を目的とした施設として、地域の施設の中核と なる拠点を定め、そこを中心として地域全体の関係機関が連携して虐待を受けた子ども を支えていくということをモデル的に検討すべき。 ●児童福祉施設職員、里親等の資質向上、資格要件、人材確保・メンタルヘルス 【取り組みの方向性】 虐待を受けた子どもやその保護者をケアしていくには、専門的なトレーニングを受け た職員が必要となる。 そのため、実習を充実させた研修などによって、施設で子どもの生活・治療にかかわ る職員の養成、資質と専門性の確保とともに、関係機関施設職員の意識などの向上を図 ることが必要である。 また、資質・専門性の確保に加えて、担当職員数の一層の拡充についても「社会的養 護のあり方に関する専門委員会」での議論を踏まえて検討することが必要である。 【具体的な取り組みに関するチームからの意見・提案】 ・フレックスタイムの導入など柔軟な勤務態勢を敷くことも有用。 ・職員等のメンタルヘルスのために相談体制の確保や、スーパーバイザーの養成・配 置。 ・児童福祉施設にケア担当職員の増員が必要。 ・虐待を受けた子どもを育ててみたいという里親をトレーニングするとともに、里親 がいつでも相談に行ける体制が必要。 ・子どものケアに関わる研修プログラムを開発して、ケアワーカーを養成することが 必要。 ●在宅支援の強化 【取り組みの方向性】 虐待の進行防止、家庭復帰後の支援のために民間も含めて市町村の在宅支援機能を充 実するとともに、市町村レベルでの子育て支援のさらなる充実・展開が必要である。 また、地域で虐待を受けた子ども(及び保護者)の自立に向けた長期的な支援を行うと いう観点からは、見守り役としての市町村の役割は重要となる。 ただし、市町村の取り組みに当たっては、児童相談所の支援・協力は不可欠であり、 重篤なケース等については、児童相談所が支援する過程を管理することを含めて関わり が必要である。 なお、その際は、家族再統合を目指した支援を行う観点から、虐待を受けた子どもの みならず保護者を含めた「家族」への支援のあり方を援助方針のなかに含み込むことが 必要である。 また、児童虐待防止対策においては、福祉、医療、保健はもとより警察、教育、司法、 さらにはNPO等民間団体や地域住民等の広範な関係者が基本的認識をひとつにした 上で、組織的に対応していくことが必要である。 その一つの手法として多くの関係機関からなる市町村ネットワークの整備が重要であ るが、ネットワークが有効に機能し、虐待を受けた子どもが自立に至るまで、継続的に 関わり、その時々に適宜適切な支援が行えるためには、その運営の中核となる、市町村 の果たすべき役割を明確にするとともに強化することが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・通所型の支援では限界があり、支援意欲をもった専門家による継統的な訪間型の支 援が重要。 ・NPOが親グループ活動などに対して市町村と連携して運営して効果を挙げている 例もあり、積極的に活用。 ・市町村などと連携し、施設のノウハウを活用した在宅支援を行うため、児童家庭支 援センターの整備促進やファミリーソーシャルワーカーの配置などの体制整備が必要。 ・学校の教員を対象にした研修の充実にあっては、子どもの指導にかかわるプログラ ム作成も必要。 ・市町村の役割強化とそのための人材養成、研修システムが必要。 ・地域での見守り体制は、多様な機関による連続性が求められることから、これらを きちんとコーディネートする者(機関)を育てることが必要。 【今後の課題】 ・虐待の予防に向けては、関係機関・施設のみならず、地域社会がこうした問題を理 解し、支えることも必要。例えば、子育て中の親を孤立化させない、虐待を受けて施設 に入所している子どもを学校等で他の保護者や子どもが正しい知識と理解を持って受け 入れるなどが求められる。こうした地域社会を形成するためのプログラム検討と実施が 必要。 ●子どもに対する治療・指導法の確立( 福祉・医療・保健機関等) 【取り組みの方向性】 虐待を受けた子どもや親のケアや、治療に関する知識や技術の一層の開発・普及、ま たそのあり方を明らかにするアセスメント方法の一層の研究、開発・普及が必要である。 特に、性的虐待を受けた子どもに関する治療やケアは特別な注意が必要である。 また、子どもの養育に関する情報の共有化や、専門性の維持のために必要な情報を適 宜活用できる仕組みを整備することが必要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・今までの研究をべースにしたアセスメントのガイドラインをつくっていくべき。な お、アセスメントは、子ども、家族、地域資源など、多角的・重層的に行われることが 重要であり、それに基づき、総合的な支援計画を立て、一定期間後に見直すことが必要。 ・情報を集積した情報センター( 子どもの虹情報研修センター) を活用。 ・施設内での記録を画一化するなどの手法により、セキュリティに十分な配慮をしつ つ、情報を共有化することが必要。 【今後の課題】 ・児童虐待にかかわるアセスメントについては、その方法・技術の開発・普及だけで はなく、望ましいアセスメント実施のための体制の確立に向けた検討が必要。この検討 の中では、児童相談所の一時保護所と児童福祉施設の役割分担も検討されるべき。 ・子ども・親への適切な支援を始め、ケア評価をするためのアセスメントの研究、開 発及びアセスメント機関の機能的拡充、アセスメントセンターの創設。 ・性的虐待を受けた子どもへは、他の虐待とは異なるケアが要求される。保護した直 後の関わり方から重要であり、よりきめ細やかな対応を確立していくことが必要であり、 新たな施設体系を検討する際に考慮すべき課題の一つである。 ●保護者に対する治療・指導法の確立( 福祉・医療・保健機関等) 【取り組みの方向性】 家族再統合を目指した支援を行う観点から、虐待を受けた子どものみならず、親も含 めた「家族」に対する支援という考え方が重要である。 すでにいくつかの関係機関によって実施されている保護者に対する治療・指導プログ ラムを充実、発展させ、普及を進めるとともに、家族再統合に向けたプログラム開発に ついても研究を進めることが必要である。 なお、保護者に対する指導のあり方については、II●「児童相談所の行政権限、裁判 所の関与」の欄を参照。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・虐待を行った保護者で、治療意欲が乏しく、対人関係を図ろうとしない者も少なか らずいることから、そうした者に対する支援の在り方も検討することが必要。この場合、 専門家による継統的なねばり強い支援をしなければ対応は困難であり、効果は期待でき ない。そのため、関係機関職員に対する養成・研修の拡充と併せて、訪問型在宅支援の 強化が必要。 【今後の課題】 ・家族再統合に向けたケアワーク、治療、ソーシャルワーク機能をもった治療システ ムの確立。 ・家族再統合プログラムの開発・研究。 ・子どもと親のライフサイクルに応じた治療・生活モデルの構築。 ・ソーシャルワーク、心理、医療などを結合させ、単一ではない支援のメニューが必 要。 ●医療機関の機能、システム 【取り組みの方向性】 虐待を受けた子どもは複雑なトラウマを抱えており、精神医学的な介入が必要な子ど もが多い。このため、こうした子どもに的確に対応できる医療墳境の整備が必要である。 虐待を受けた経験のある、あるいは精神疾患を抱えている保護者に対しては、地域の 医療機関による一層の専門的な支援が必要である。 また、その他の医療関係者に対する教育・研修の充実を図るとともに、小児科医と精 神科医の連携強化を図ることが重要である。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・虐待を受けた子どもの入院加療中の人権を保障していくためには、保育士によるケ アなど生活を保障する福祉と治療する医療・看護と合体するシステムを整備することが 必要。 ・小児科医と精神科医との連携。 ・地域に児童精神科の専門医が少ない現状にかんがみ、小児科医の研修等が必要。 ・治療のための医療関係者の人材養成及び医療対応システムの開発が必要。 ・虐待をする保護者は精神病とは異なり、これまで一般の精神科医が扱ってこなかっ た問題である。更なる知見の集積と治療技術の向上のための研究とそれに基づいた卒後 研修が必要である。 ・虐待のケースヘの係わりは、非常に多くの時間を費やさなければならず、この点を 考慮にいれ、医療機関の対応を促す対策が必要である。 【今後の課題】 ・医療対応システムに関する研究。 ・都道府県レベルでの拠点医療機関の設置。 ・児童精神科医、小児精神科医の充実。 IV.その他( 全体を通じた指摘事項等) 【取り組みの方向性】 発生予防、早期発見・早期対応から保護・支援に至る各段階において、市町村の役割 強化、民間機関も含めた関係機関の連携によるきめ細かな取り組みが重要である。 また、児童虐待防止対策に関する継続的な検討の場の確保や制度の運用状況を踏まえ た法律の定期的な見直しが求められる。 【具体的な取り組みに関する意見・提案】 ・児童虐待防止法に子どもの人権尊重の理念を盛り込む必要。 ・児童虐待の定義(範囲)を検討(性的虐待の加害者・DVの目撃等)。 ・児童虐待防止法に予防や援助、ケアについても規定すべき。 ・関係機関を幅広く法律上に明記することが必要。 ・制度の検討に当たっては、国による家庭への過剰な介入への配慮が必要。 ・児童虐待への対応を向上させるためには、児童虐待に関する総合的データベースづ くりを行い、それを基に的確な分析を行って。科学的根拠に基づいた対策をとることが 必要。 ・更に、データだけではなく、総合的・統合的に検討して、継統的にプランニ ングする機関も必要。 ・国において援助、ケアについても骨格や指針を示すべき。 ・虐待の予防と対応について、全体的なシステムのあり方の検討を継続的に実施して いくことが必要。 4.さいごに 以上、児童虐待防止制度の見直しについての取り組みの方向性を整理してきたが、取 り組み全体を貫く考え方を集約すれば、おおむね以下の4点に集約されるものと考える。 I.発生予防から虐待された子どもの自立に至るまでの1 望れ目ない支援 児童虐待防止対策の目標は、虐待という重大な権利侵害から子どもを守り、子どもが心 身ともに健全に成長し、ひいては社会的に自立に至るまでを支援することにある。 早期発見・対応のみならず、発生予防から虐待された子どもの自立に至るまでの各段 階において、こうした「子どもの権利擁護」という理念に立脚した多様な関係機関によ る切れ目のない支援体制が必要である。 II.「待ちの支援」から要支援家庭への「積極的なアプローチによる支援」へ 児童虐待の特性(家庭(地域)内での発生、虐待と認めない親が多いなど)にかんがみ、 その解決に向け、親の権利や個人のプライバシーには最大限配慮しつつも、幅広い関係 機関が、積極的に親・子にアプローチする形での新たな支援のあり方が必要である。 III.家族再統合を目指した子どものみならず親を含めた家庭への支援 家庭的な暖い養育環境の生活が子どもの健全育成には望ましいとの基本認識の下、家 族再統合を目指す方向で、子どもに対する支援はもとより親(含む里親)も含めた家族 への支援という視点が必要である。 また、それが困難な場合であっても、できる限りそれに準じた生活環境の確保するこ とが必要である。 IV.虐待防止ネットワークの形成など市町村における取り組み強化 児童虐待問題の解決に当たっては、地域、特に市町村における取り組みを強化するこ とが必要である。なお、その際には、県(児童相談所、保健所等)との協力関係の確保に 特段の配慮が必要である。 児童虐待防止制度の見直しについては、本報告書において指摘した点を踏まえつつ、 さらに議論を深めるとともに、その実現に向けた早急な取り組みを期待する。 以上でございます。 ○柏女委員長 ありがとうございました。 前回、議論をさまざまいただきましたが、その中での3つのワーキングチームの報告 を土台にして、それに全体を貫く視点も入れていただいた上で、報告書という形で本題 を作成をしていただきました。 これに、今日お配りをしてあります論点事項、あるいはその各ワーキングチームでの 御意見などを添付した上で、全体の報告書という形になるわけでありまして、今は